(2002/07/01 プロパン・ブタンニュース)
日本LPガス連合会専務理事
後藤純夫氏
鬚の殿下 ガスの優位性説く

 日本LPガス連合会専務理事の後藤純夫さんをわが社の編集局では誰いうとなく「鬚(ひげ)の殿下」と愛称で呼んでいる。後藤さんは通産省(現経済産業省)から現職に転じて8年目になるが、通産省時代にリオデジャネイロの領事館に赴任したとき以来、国際協力事業団に出向してアジア諸国を回ったときも口鬚をたくわえた。そして氏が学習院大学出身であることから付いたニックネームだと思う。
 LPG業界が当面する諸々の問題に「鬚の殿下」の見解を聞きたいのだが、今回は対電力問題に限って聞くことにした。IHこんろやエコキュート等を売り込んでオール電化住宅にという電力会社の攻勢が目立つ。それも九州や四国、関西の電力各社のボルテージが高かったが、最近は中電、東電も積極化してきた。日連はどう対応するか。
 九州、中国に始まったオール電化攻勢は東漸
 亡くなった伊藤實前会長が九州でIHクッキングヒーターや電気温水器の普及状況が気掛かりだと言って、注意して見守るべきと言われた。昨年の岡山総会でも電力問題は大きく取り上げられた。そして現在は日連の経済部会(部会長=長瀬輝夫・長野県協会長、副部会長=吉田正・広島県協副会長)の主要テーマが電力問題である。
 また、広報部会はこの問題で15秒もの、30秒もののビデオを作って都道府県協会に配布した。日連はこの秋から15秒ものを全国テレビネットで放映する。この他に15分のビデオを作った。これはLPG展や販売店が消費者訪問時に使う「消費者啓蒙ビデオ」である。映像ばかりではなく活字によるPRもやっている。電気に関する書物も製作中である。同様の趣旨で販売店向けの冊子も製作中である。
 このように電化攻勢に無関心でいられないのは、3、4年後に気付いたときにこれまでのお得意にガス器機が無くなっていたというようなことにならぬようにしたいからである。
 「ためしてガッテン」がガスグリルの優位性を証明
 NHKの「ためしてガッテン」の番組でこの4月に放送されたガスのグリル活用術は、天ぷら、フライ、揚げ物などを電子レンジで温めるよりもガスのグリルの方が遥かにおいしく、一般にガスのグリルだと魚を焼く匂いが立ち込めると思われているが、そんなことはないことをこの放送は証明した。この放送は40分間だったが、NHKの許可を得て20分のビデオにして各県協会に送った。
 この他に電化対策の説明会を開いたり、電磁波についてはその方面の専門家である京都大学の荻野晃也先生の講演会なども予定している。
 エネルギーのベストミックスが日連の基本姿勢
 日連のこの問題に対する基本姿勢はエネルギーのベストミックスだ。つまり電気もガスも灯油も、それぞれの最も得意な分野で住み分けをして、賢いエネルギーの消費をするのが最善だ。
 全国総世帯の半分強の2500万世帯がLPGのお客さんという事実はわれわれの誇りである。したがって、一方的に相手をけなす態度は如何かと思う。社会に対してエネルギー供給者として公正さがなければならない。最近、オール電化住宅推進のために電力会社は建築業者に販売奨励金を出してIHこんろや電温の売り込みをしたり、おまけにガスの容器やメーターを取りはずして放置するケースがあるやに聞いた。こんなことがあってはならない。正確に調査して事実ならば厳重に対処する、と述べた。

全国電力会社別 I H クッキングヒーター販売台数

pbn02/7/1 97年度 98年度 99年度 2000年度見込み 97−00伸び率 電灯契約数(千件) 1万件当たり販売台数
北海道電力 12,570 15,710 24,430 27,290 217% 2,782 98
東北電力 2,460 3,310 5,000 9,430 383% 5,259 18
東京電力 1,170 4,140 11,430 21,000 1795% 20,404 10
北陸電力 1,170 3,430 5,000 9,710 830% 1,331 73
中部電力 2,490 4,710 9,290 16,710 671% 7,082 24
関西電力 4,370 12,290 26,430 53,290 1219% 9,768 55
中国電力 5,660 10,860 19,290 29,290 517% 3,829 76
四国電力 2,060 3,940 7,710 11,570 562% 2,058 56
九州電力 2,800 5,510 15,710 31,710 1133% 6,314 50
沖縄電力 110 110 140 260 236% 607 4
合計 34,860 64,010 124,430 210,260 603% 59,434 (平均) 35

全国電力会社別 電気温水器普及状況

ストック フロー
pbn02/7/1 世帯数(千件) 電温普及率 電温台数 戸建新設件数 電温販売台数 新設向け推定台数 新設電温組込比率
北海道電力 2,306 4.4% 101,464 21,863 8,432 3,359 15.4%
東北電力 4,065 4.7% 191,055 55,707 12,795 3,242 5.8%
東京電力 16,738 3.1% 518,878 212,271 29,459 3,515 1.7%
北陸電力 1,029 9.1% 93,639 14,007 7,445 2,763 19.7%
中部電力 5,220 9.7% 506,340 77,671 29,639 4,322 5.6%
関西電力 7,857 4.3% 337,851 94,932 35,195 18,302 19.3%
中国電力 2,832 10.1% 286,032 29,520 27,446 13,144 44.5%
四国電力 1,541 9.7% 149,477 18,146 19,419 11,945 65.8%
九州電力 4,997 6.4% 319,808 48,093 30,210 14,220 29.6%
合計 46,585 5.5% 2,562,175 572,210 200,040 71,931 12.6%



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