(2002/07/22 プロパン・ブタンニュース)
サンリン社長
二木 馨三氏
県民不在 県議団のミステーク

 強い台風6号が接近していた10日、長野県山形村のサンリン株式会社本社ビルに二木馨三社長を訪ねた。
 二木社長は開口一番、いま長野県政が世間の注目を集めている。長野県の田中康夫知事に対する不信任決議案が5日、同県議会で可決された。長野県政に出現した知事不信任事件ほどわがLPG業界の「舵とり」、判断基準の示唆に富むことはない。不信任決議後に地元長野県のテレビ局、新聞社の世論調査では解任された知事に70%の支持が集まった。不信任決議の翌日に田中知事は東京に行って朝日新聞系テレビの座談会に出席したが、そこでは長野での世論調査以上の支持率だった。不信任決議をした県議団は田中知事を下ろしはしたが、対抗する候補をいまだに擁立できないでいる。田中知事は不信任決議後に議会解散か、失職による知事選挙の選択を問われているが、未定と言って県民の思いに耳を澄ますを繰り返している。恐らくは県議会解散はせず、知事選挙のみを選ぶに違いない。要するに県議団は県民有権者を味方につけられなかったのである。
 長野県政の政治談義をしようというものではない。県議団の「県民有権者不在の政治」をLPG販売業者の「消費者不在の商売」と置き換えればよい。
料金引き下げのためにバルクシステム採用 
 家庭用エネルギーのライフラインとして最後まで残るのはLPG、都市ガス、電気であろう。そこでLPGが電気に打ち勝つためにLPG料金をいかに安く設定できるか。そして消費者を味方につけられるか。本当に消費者を味方にするためには競争エネルギーの電気の悪口を言い立てるのではなく、自分の良さを強調するに如くはない。サンリンはLPGの配送コストを引き下げるために平成10年4月、バルクが解禁になったときから主に家庭用消費者を対象にバルクシステムを始めた。
バルクシステム運用状況
 サンリンのバルク貯槽設置実績は、平成14年6月現在で累計4498基になった。貯槽別内訳は、300キロ=3750基、500キロ=590基、1000キロ=158基、この他に経済産業省のモデル事業として実証機32基がある。300キロの貯槽が多いのは主として家庭用消費者を対象にしているからである。業務用需要家はやろうと思えばいつでもできるとしている。かくて1万2480戸の消費者をバルクシステムにした。
 これらのバルク貯槽に民生用バルクローリー13台が供給する。そのLPG供給量は自社直売のLPG供給量の50%に達した。バルクローリーの稼働状況を昨年12月の実績でみると付表の通りである。
バルク貯槽の早期償却
 これらバルクシステムに要する設備費を早めに償却するようにした。近い将来に電気と真っ向からぶつかる時がくる。その時に経営的負担を残さぬように早期償却を図った。1基25万円のバルク貯槽を、貯槽の18万円と配管等の費用7万円に分けることによって、20万円以上の資産は13年償却をそれ以下の3年の均等償却とし、配管等の設備は10万円以下だから1年で償却できると主張した。国税局と3年間にわたっての交渉だったが、ようやくわれわれの主張が通った。過重平均2年4カ月で償却できた。
 これによって現在保有している4500基のバルク貯槽の半数2千基は償却済みとなった。バルクシステムの効果はLPG10立方mにつき1000円の値下げを可能にした。これはひとえに電気との闘いに備えての企業努力である。
 ここで二木社長は、LPGは可能なかぎりコストを削減して料金を下げて消費者に喜ばれる燃料にしよう。県民有権者不在の県議団のようにはなってはいけない、と強調した。

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