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(2002/10/28 プロパン・ブタンニュース)


鳥取県LPガス協会 会長 山陰酸素工業 常務取締役
渡部 宏氏
鳥取発の「女性の戦力化」

 鳥取県LPガス協会長の渡部宏氏を訪ねた。渡部さんは山陰酸素工業の常務取締役である。山陰酸素は昨年10月の機構改革でカンパニー制を敷いた。渡部さんは西部販売カンパニーの代表である。西部販売の守備範囲は松江市から浜田市まで東西に長く二百kmに及ぶ。
 山陰地方では中国電力のオール電化攻勢が激しく、最近米子市で建設された住宅団地の70%がオール電化マンションになった。また、松江市で住宅公社が20戸のモデルハウスを建てたが、大半が電化住宅モデル、うち7戸だけがガス化住宅となった。それも島根県LPガス協会の熱心な働きかけによるものだった。鳥取県協では電化攻勢に対抗して近く県協に全国初の「女性会」が発足する。販売店の奥さんや女性社員が消費者も呼び込んでガスのビルトインこんろとIHヒーターの比較実演講習を各地で開催してオール電化に対抗してオールガス化の説明会を始めている。足許に火がつくと女性は強いと、渡部さんは頼もしげに話した。
 鳥取県協会は、販売業者170、消費者16万軒、月平均使用量18kgと小さく、日連の理事会で末席だと謙遜されるが、平成9年以来5年連続無事故でKHKの表彰を受けるなど着実な協会活動が実を結んでいる。
 電磁波の慎重なる回避
 今年の夏、県協の青年委員会に2人の女性が加入した。この2人の女性の1人は女性経営者、他の1人は販売店の女性幹部社員である。県協の青年委員長は今後、女性にしかできない事がたくさん出てくると思う。幅広く女性を集めて魅力ある青年委員会にしたいと言う。県西部や東部地区では女性社員、店主夫人が展示会で活躍している。企業でも山陰酸素工業の販売店会であるヤマサン会が女性会の結成を決めた。鳥取県協発の「女性社員の戦力化」は全国に先駆けた嬉しいニュースである。IHこんろと対比してガスのビルトインこんろの比較実演には付き物の料理教室はまさに女性の説明が打ってつけである。IHこんろによる電磁波を妊婦が浴びてよい訳はない。電磁波の「慎重なる回避」を訴える女性たちは真剣そのものである。渡部さんは県協に女性会を立ち上げることを熱心に説いた。
 ジュウタン爆撃の電化攻勢
 中国電力は10月から現行の供給約款による電気料金を平均5.72%(電灯4.41%、電力6.99%)引き下げた。これにより毎月300kw時を使う標準世帯は306円値下がりとなる。今回の値下げは平成8年以降3度目である。少々古いデータだが、平成12年3月時点で中国電力のオール電化住宅契約戸数は6万8百戸、構成比11.2%だった。同じ時点の鳥取県の電気温水器所有率は16%で、都道府県別順位は全国第2位だった。中電は毎年10〜11月に電化住宅キャンペーンを行う。昨年度の結果は次の通り。温水器は7963台で、前年を下回った。併し、電化住宅戸数はIHクッキングヒーターの周知などから4080件と20%増えた。そして新規購入と買い替えは共に目標、前年を下回ったが、他燃料からの切り替えは前年実績、目標を共にクリアしたと言っている。その営業ぶりはさながら「ジュウタン爆撃」である。
 オールガス化をムーブメントに
 LPガスも黙って泣き寝入りはしない。前述のように女性軍も立ち上がった。今年2月には鳥取県LPガス協会と島根県LPガス協会の競合エネルギー対策委員会の合同情報交換会を持った。鳥取県協東部地区ではガス体エネルギー研究会を設立して電化攻勢に組織的に対応してオールガス化をムーブメントにしている。また青年委員会が中心になってLPガス協会と設備設計事務所協会など建築関係三団体と共催のオールガス化推進の講演会を開催して、建築現場での建築業者との連携を密にすることを図るなど着々とオールガス化の実を積み重ねている。
 鳥取県は三充填所で足りる
 全国LPガス卸売協会の山陰支部(支部長・並河勉氏)が経済産業省から補助金を得てLPガスの末端価額を下げるために充填所の統廃合による流通経費削減の調査、検討を山陰合同銀行のシンクタンクで行った。それによると現在、山陰地区にある57充填所は8つで足りる。島根県5カ所、鳥取県は、鳥取市、中部そして米子、安来の3カ所だという。そうすればほとんどの地区で充填コストの削減が可能と試算している。同調査・検討報告書は、現状シリンダー配送ではキログラム当たり20〜25円のコストを要しているが、共同配送により8円前後の削減が可能としている。渡部協会長は協会の方針として年内に充填所統廃合の運営会社を立ち上げ、末端価格を下げたいと述べた。

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