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(2002/11/18 プロパン・ブタンニュース)


シナネン社長
服部輝雄氏
人々の幸せを売る会社

 シナネン社長の服部輝雄さんは、今年六月に就任したばかりのシナネン生え抜きの社長である。社内の結束と新たな活力を生み出す輿望を担っての就任であった。同社株式の26.八87を持つ筆頭株主・伊藤忠エネクスから代表取締役兼専務執行役員の定永明雄氏を代表取締役専務財経本部長に迎え、伊藤忠エネクスと伊藤忠商事から各一人の取締役(非常勤)を受け入れての布陣だった。新たにスタートさせた「2カ年計画」では、全国12支店の総売上高約1700億円の7割を占める石油と、2割を占めるガスをコア事業とする。そして戦略的提携とM&Aに傾注し、販売店支援を重視してお客さま重視の「ひまわりプラン」の遂行を訴えた。
 元売の四極体制、小売の二極分化
 LPガス事業の上流である元売、中流の卸、そして下流の小売と分けてそれぞれの経営を取り巻く環境の変化に対応が最も遅れているのがわれわれ卸段階だと思う。元売の再編は昨年来加速して、四極体制が形成された。すなわち新日本石油ガス+コスモ石油ガス+三菱液化ガスの物流業務提携、ジャパンエナジー+昭和シェル石油の精製・物流提携、エクソンモービル(東燃ゼネラル石油の合併)グループ、出光ガスアンドライフ(分社化)、それに三井石油に分かつことができる。小売段階では一定の規模の消費者を持って営々と業を営むものと、日が高い中に事業の譲渡を考えているものとの二極分化が進んでいる。中流に位置する卸段階は、上流も下流も見渡せるところにいるが、競争激化や情報化、デフレ等で買い手の交渉力が強まり、既存業者間の競争も激しくなり、併せて規制緩和で新規参入者もあり、加えてオール電化攻勢もある。
 物流の戦略的提携
 充填所の共同利用を手はじめに共同配送、さらには認定保安業務まで共同で行う業務提携が昨年来、埼玉、千葉、茨城、神奈川等で実行してコスト削減に寄与した。埼玉ではシナネン、伊藤忠エネクスの提携、千葉では出光ガスアンドライフ、シナネン、そしてシナネンの子会社・チバネンの3社提携である。また、茨城での共同はシナネン、伊藤忠エネクスに地元の伊藤忠エネクスホームライフ東関東、ミトレンが加わり5社の提携となった。神奈川での提携はシナネン、ミツウロコ、三ツ輪産業の提携で規模が大きく、3社の県内の11充填所を9充填所に集約エリアごとに流通の合理化と相互支援体制を確立した。このため運営会社「神奈川エナジック」(資本金15百万円)を3社均等出資で設立した。これにより充填量年30万トン、錯綜配送の回避で配送車両を低減し、充填・配送コストの2割、1億円削減を目標とした。LPガスの価格競争力を高める上に物流コストの削減は避けて通れない。
 「ひまわりプラン」第二ステージ
 平成13年度のLPガス販売量は、業界全体がマイナス成長の中で101.8%と増販した。石油では灯油販売の200万KL(民生用全国シェア10%獲得、13年度実績167万KL)、灯油センター、配送センター拡充、セルフSSの出店、そのノウハウの共有。生活関連では給湯器の倍販、浄水器レンタルの拡大(過去2年の実績=3万台設置)。
 このような実績の上に14年度は、今後のガス料金の低下に備える。しかし、それだけでは他社と同レベル。シナネンならではの付加価値を加え、差別化を狙う。13年度から始めた販売店支援プログラム「ひまわりプラン」の第2ステージをグループをあげて推進する。超・お客様主義ともいうべき「ひまわりプラン」第2ステージは、意欲ある販売店には物心両面で支援、逆に事業継続が難しい販売店は希望に応じて業務を全面受託して、現在14万戸持つ直販の拡大を目指す。
 M&A(営業権の買収)は規模の拡大に加えインフラとノウハウの活用や共有化が大きな目的である。
 M&Aと先に述べた戦略的提携は「ひまわりプラン」第2ステージの根幹をなすもので、大株主のエネクスとも当社にメリットがある限り積極的に提携する。
 ゴーイングコンサーン
 シナネンの仕事は人を幸せにできる良いことをして、その結果収益を上げることができる。こんな素晴らしいことはない。だから私はいつまでもこの仕事を続けたい。
 ある証券会社の人が、シナネンのセールスはすべて相手のためになるものを売ることができてうらやましい、と言った。確かに株を売るのは相手の財産を減らすことになりかねない。そのためにセールスのモチベーションをあげるのが難しいそうだ。
 われわれは自信をもって仕事に取り組める環境にいる。この素晴らしい仕事をいつまでも続けるためには、会社が利益をだしながら永続的に発展していかねばならない。ゴーイングコンサーンでなければならない。

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