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(2003/8/25 プロパン・ブタンニュース)

ジャパンエナジー取締役 常務執行役員
大久保武彦氏
LPガスは“流通小売業”

 ジャパンエナジーのLPガス部門の総帥(正確には取締役 常務執行役員 LPガス部門管掌)の大久保武彦常務は、LPガス事業を元売の自分たちも含め最終商品を取り扱う“小売流通業”と言う。
 電気事業法、ガス事業法、LPガス法が改正されて規制緩和・自由化が進み、消費者は選択肢が増えた。ベストのエネルギーを選べる。いわゆるベストミックスが実現できる。こんな中で、LPガス事業者は、自分たちの強み―クリーン性、高カロリー、災害に強い、エンジンコージェネ・燃料電池はGHPの延長線上にあり、そしてLPガスは燃料電池の水素原料として有力である。また、消費者に最も近い位置にあって情報の双方向性を駆使してLPガス以外の生活関連商品を取り扱う新ビジネスもできる等を挙げる。
 このような観点から今後ともLPガスの需要は拡大し、経営基盤を強化できる。さりとて自然に伸び、強化されるものではない。コスト競争力を強め、技術開発に努めねばならない。JOMOの水島製油所(LPガス生産、輸入一次基地)内にシリンダーで直送できる充填設備を作って物流コストの削減を図った。また、燃料電池の水素原料の貯蔵、供給に役立つ技術開発が進められているなど興味が尽きない話をしてくれた。
 『JOMO LPガス販売マニュアル』という50〜80頁の冊子を示された。八分冊ほどあって、「JOMO LPガス基本業務指導マニュアル」「JOMO LPガス機器提案販売マニュアル」「JOMO LPガス電力対策マニュアル」等々である。
 所望したら郵送してあげると言われたが、重いのをいとわず持ち帰ってよっぴて読んだ。読むほどに行間にサイサンや河原実業、秋田のタプロス、岐阜の新日本ガス、京都のキョウプロ等JOMO特約店の人々の顔が目に浮かび、このようにして業績を積み上げたのかとそれらの人々に思いを馳せた。
水島製油所内に大型で効率的なシリンダー充填設備
 水島製油所(LPガスの生産、輸入の一次基地)には現在、LPガスのタンクが二十五基(総容量十九万`g)ある。これまでのローリー出荷に加え需要家へシリンダーで直送ができる体制を整備した。十六連回転式全自動充填機一基、五百`容器充填機一基、定置式充填機一基、これで各種サイズ容器のほか特殊小型容器にも対応できる。来月末には完成する。これによって充填、配送コストが削減されることは確実で、物流コストの削減によってグループ全体の競争力が強化されることは間違いない。
FCの水素の貯蔵・供給技術の研究、開発
 燃料電池に水素を容易に貯蔵、供給する方法として有機ハイドライドが注目されている。有機ハイドライドは、水素を有機化合物と反応させて液体化した物質で、触媒を介することで容易に水素だけを取り出して供給することができる。定置用、車上搭載用、モバイル用の燃料電池に応用可能である。有機ハイドライドから水素を取り出したあとの液体は、再度リサイクルして使用することができる。北海道大学の触媒化学研究センターの市川勝教授は、有機ハイドライドの分野で独自の技術を保有していて、JOMOの石油系芳香族(アロマ)製品が実用化を推進する材料になるとして共同研究をすることになったのである。
 JOMOはこの共同研究を、製油所での水素製造から、安全な水素輸送、水素ステーションでの燃料電池車への水素供給や定置型燃料電池への水素供給等など一貫した水素事業参入への足がかりになると期待している。目下、固体高分子形燃料電池を搭載した実証試験機による評価試験を行っている。
 本稿の執筆中に米北東部とカナダで起きた大規模停電のニュースが報じられた。わが国とても何時このような事態が起こるか分からない。以って他山の石とすべきである。そしてこれを回避するにはGHP、エンジンコージェネ、FCの普及に如くはない。水素インフラが確立されれば燃料電池の利用が著しく前進するに違いない。
バスケチーム、サンフラワーズ後援会長の大久保さん
 「JOMOサンフラワーズ」は平成十四年度に第四回Wリーグファイナルに進出・優勝、第六十九回全日本総合選手権大会にも優勝、平成十二年以来三年連続で二冠王を達成した。通算での二冠王は七回という強豪女子バスケットチームである。
 大久保さんは、JOMOサンフラワーズの後援会長でもあり、サンフラワーズの祝勝会では常に勝利を熱く語る。
 JOMO LPGでも大久保常務がこの“勝利”を高らかに語る日が近からんことを願うものである。

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