(2004/1/12 プロパン・ブタンニュース)

波多野素子
(はたの・もとこ=シナネン経営企画部広報室 社内報『えんゆう』編集長)

お正月

 今年の年賀状も、夫のオリジナルメッセージ入り。
 「Yesterday is history・過ぎた事はしかたない、Tomorrow is mystery・明日はあてにならない、Today is hungry・とりあえず今日、腹いっぱいになればと考えております」という言葉が、夫婦の写真とともに三行でつづられていました。毎年何らかのメッセージを書くのが慣例なのです。
 昨年は辛いできことがありました。夫の大学時代の無二の親友が、七月に突然、他界しました。単身赴任先から連休に帰宅し、家族との団欒を楽しんだ後、朝方に心臓発作で倒れられたのです。四十二歳という若さでした。若い奥様と四歳と一歳の幼い子を残されてのことで、さぞかし無念であったにちがいありません。
 八年前の二月、私は夫と結婚し、彼は同じ年の五月に挙式をされ、互いの結婚式で、夫と彼は司会を務め合いました。家族同士で親交を深め、とくに年二回、多摩川のバーベキュー大会でお会いするのがとても楽しみでした。
 このバーベキューには夫の同級生十人ほどが参加していますが、同窓生のなかで既に何人もの方が亡くなられました。「人徳のある人から死ぬもんなんだな」とお葬式の席で、しみじみと語り合っている夫たちの姿には、やるせない想いが溢れていました。夫はその後、彼との学生時代の思い出をしたためた手紙を奥様にお渡ししたり、大学新聞に偲ぶ言葉を贈るなど、ご家族を励まし続けました。
 そして半年。新しい年を迎えました。さて、どんな年にしたいのか。年賀状の言葉について、その背景や真意を夫に直接聞くのははばかられたため、「人生にはいろいろある。過去を振り返らず、今日一日を大切にし、精一杯生きよう」と自分なりに理解した。今年は元旦から仕事をしている夫と、三連休には初詣にと、密かに思いながら。