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(2004/1/12プロパン・ブタンニュース)

伊藤忠エネクス社長
山田清實氏
甲申はよい年回り わが社は第二創業期

  お正月だから明るい話題をとの注文だが、昨年一年を振り返って明るい話はたいへん難しい。イラク攻撃で中東情勢は不安定になり、原油コストは高止まり、LPGも高コストで推移した。国内需要はマクロでは底を打ったと言うが、これで設備投資を呼ぶようならよい。だが、個々の企業としては実感を伴わない。おまけにここ数年にわたって冷夏暖冬の気象条件も加わって、わが業界の収益環境は上流から下流まで警戒感を拭えない。
 伊藤忠エネクスとて例外ではない。石油もガスも規制緩和による自由競争で経営環境は厳しい。平成十六年「甲申」(きのえさる)は、よい年回りだと聞いた。年頭にあたりこの機会を第二の創業期と規定して力強く経営改善を進めたい。
 つじつま合わせでは駄目
 燃料業界は他の産業に比べて改革に少し時間がかかり過ぎているように思う。過剰が至るところに目立つ。企業数、雇用、経費等々。過去の垢をいっぱい持っている。
 これを改革するには新しい哲学=考え方、新しい価値観が無ければならない。それはひとり燃料業界の問題だけではない。わが国はいま、大きな曲がり角に来ている。根本の議論を措いて部分的なつじつま合わせばかりをしていては中途半端にならざるをえない。これでは業界は変わらない。いまは、企業の経営理念、倫理観、価値観が問われているのである。逆風の中で少しずつでもいい、これを強い力にしていかねばならない。かくて社風、組織、教育、事業政策等の改革ができる。
 カーライフステーションと「くらしの森」
 ガソリンにしてもLPGにしても伊藤忠エネクスは、供給者の視点から消費者がどういう商品やサービスを求めているか、またそれぞれの地域でどのような貢献ができるか。この視点の大転換を図った。全国に系列スタンド総数二千百三十二カ所(二〇〇二年度末)は中古車買い取り、車検・整備事業等を新設してガソリンステーションからカーライフステーションへ変身して売上高三千六百十二億円、営業利益四十一億円(同)とした。現在のスタンド数は二千三百カ所である。
 LPガス事業でも新たなビジネスモデル「くらしの森」事業を構築して、家庭用LPガスの販売だけではなく、快適な暮らし全体を演出するサービスや商品を提供して顧客満足の最大化を図った。これによってこの部門の売上高千十一億円、営業利益二十三億円(同)とした。
 やっぱりガスだね
 昨年四月から百日間、「やっぱりガスだね」キャンペーンをグループ会社のシナネンと一緒に全国で行った。ガラストップのガスこんろ中心のキャンペーンである。一年前の同時期の販売台数は五百台だったが、今回は一万台以上販売した。一番たくさん売った伊藤忠エネクスホームライフ九州は四千台強だった。キャンペーン後に九州に行ってこれに携わった人たちの話を聞いた。先ず気持ちだと言う。売るんだという強い意思で臨めば戦果は挙がると言う。ガラストップのよい所を徹底的に勉強して客に如何に説明するか工夫した。クッキングの実演をしてIHこんろとの比較をした。営業マン一人ひとりの成績を毎日競わせたと言う。
 ある主婦からの手紙
 この話の後に山田社長は「ある主婦の手紙」を紹介した。その主婦は厨房のリフォームが念願だった。それにはこんろをどうするかが問題だった。
 IHこんろは清潔で掃除がし易い、電気代が安い、安全で安心である。これらの宣伝に乗ってIHこんろを入れた。使ってみて後悔しているとある。その理由は@持っている鍋釜で使えないものが多いA安いという電気代が高いB気持ちが悪くなる(電磁波の影響か)C料理がおいしくない、などである。
 お話を聞きながら消費者の幸せを増すためにLPガス業者はお客に正しい情報を伝えねばならないと思った。



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