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(2004/1/19プロパン・ブタンニュース)

NTTテレコン社長
池田忠緒氏
ブロードバンド時代IP型NCUを発売

  NTTテレコンの池田忠緒社長は、昭和四十五年に電気通信大学の大学院を修了して電電公社に入社した。そして先ず配属されたのはいわゆる線路屋だった。線路屋とは光ファイバー等の設計・施工など屋外の仕事をする部署である。京都・伏見の電話局を皮切りに、東京、長野、広島、つくば、そして昭和五十六年、三十六歳のとき神戸・御影で電話局長、その後に札幌でシステム営業部長、鈴鹿電気通信学園の線路技術部長、大阪・本町電話局長、仙台で東北ネットワークセンタ所長、NTTグループの人材育成サービス会社などを経て、平成十四年にNTT中央テレコンネット社長、そして昨年十月に全国地域別のNTTテレコン会社九社を統合したNTTテレコンの社長に就任した。二年ごとの転勤でご主人が任地に赴任した後で奥さんは柳行李に荷造りをして新しい任地に行った。お子たちは、池田社長の親御さんが東京に永住しているので、おじいちゃんたちはどうしてずうっと東京にいるのかと言ったそうだ。
 通信インフラは日進月歩、進展して止まることなく、かくてブロードバンド時代が到来した。これに対応して全国各地でガス・水道・電気等の集中監視サービスさらには地域に密着して推進して来たNTTテレコングループ九社が合併して統一的に事業を推進するために誕生した新生・NTTテレコンの社長とのインタビューだから、通信技術の難解な話にテクニカルタームがいっぱい出て来るに違いない。筆者はインタビュー記事を書けるだろうかと心もとなかった。
 しかし池田社長は、@NTTテレコングループ統合の意味A新型NCU「IP型NCU」の五月発売B結語としてガスセキュリティーを含め通信の方向性はブロードバンド対応が必然||と分かり易く話してくれた。
テレコングループ9社の統合
 これまでのNTTテレコングループ各社は地域単位で設立されたので地域中心の営業だったが、最近では全国規模の事業者の方が多くなった。お客が全国規模なのに会社が横断的体制にないのは不都合である。新会社の営業展開では支店という形で従来の各社体制の地域密着性を残して、きめ細かなサービスの提供と、全国のお客さまが求める均一なサービスの提供を両立させた。
 統合による合理化では、共同利用センターの一本化による合理化効果が大きい。新センターシステム/受発注システムを導入して今年一年をかけて、この最新システムに各支店の共同利用センターを順次収容・統合する。これは大きなコスト削減になる。また、全国一元的な窓口を持ったことでこれまで対応し切れなかった公的機関をはじめ、大口の新規獲得の成功にも繋がり、企業としての間口・奥行が広くなった。
 従来のNTTテレコングループ全体の年間売上高は八十億円規模で、その構成比は九〇%がLPガス業界、一〇%が都市ガス業界、残りが水道・自販機向けだったが、一社統合によって新しい分野に人材・資金・技術開発等の経営資源の投入を可能にした。
 とくにメーンであるLPガスセキュリティーでは全国に約二百五十万台の端末をカバーしているが、さらに一歩を進めて新しい付加価値事業・ホームセキュリティー分野への展開を策している。
5月にはIP型NCUを発売
 今年五月ころをメドにブロードバンド時代に対応する「IP型NCU」の発売を予定している。「IP」(インターネット・プロトコール)により従来のアナログ方式とは異なるデジタル通信へ移行することである。
 IP型NCUは、ブロードバンド対応のため常時接続という利点があり、機能的には大容量データの送受信により通信コストが大幅に削減できる。
 常時接続で通話料負担がないので需要家のガス使用動態をも把握でき、より細かい検針データの取得、また画像データのような大容量データの送信も可能である。これによってホームセキュリティー事業のオプションとしてCCDカメラ画像を転送するサービスを検討している。
 NTTテレコンは最新環境に対応するハードを提供するだけではなく、利用者である事業者から使い方を教えてもらい双方で育て上げていく「共同制作型」商材にしたいと言う。
池田社長の結語
 通信インフラの進展は止まるところを知らない。昨年十一月末で、ADSLを含むDSLサービスの加入者が九百九十一万件、昨年十月末のインターネット接続状況は、FTTH(光ファイバー)接続が七十五万六千件、CATV接続二百三十七万六千件、携帯電話接続に至っては六千六百七十九万五千件に達するなど、通信の世界ではブロードバンド化が急速な進展を続けている。
 ブロードバンドという「通信の高速道路」に光ファイバー接続をすればアナログの「在来線」が四`ヘルツで送信したものを百メガで送信できる。どれほどの速さかというと、アナログでは六十分を要したCDの送信時間を五秒程度に短縮できると述べ、池田社長はガスセキュリティーを含め通信の方向性はブロードバンド対応が必然であると結んだ。



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