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(2004/10/11プロパン・ブタンニュース)

エネジン
社長 萩聰治郎氏/副社長 藤田源右衛門氏
時代認識の一致が統合の原点

 
浜松市のエネジン株式会社の社長・萩聰治郎さんは、ハマネンと丸善ガスの会社統合がスムーズに運んだのは、お互いの時代認識が一致してこれを統合の原点にした点を強調している。総論としてこの認識があったからあとの各論に色々の問題が生じても容易に詰めることができた。今は会社統合の第一段階である経営の合理化、両社で14カ所あった営業拠点を11カ所に集約したり、コンピューター・システムの統一などが終わり一息ついているところだ。藤田副社長によれば、第二段階は更なる合理化とブランド力の向上、サービスの向上だと言う。
 ハマネンは昭和25年、丸善ガスは同32年の創業で共に50年の伝統がある静岡県西部を中心にしたLPガス販売の老舗である。それがお互いの歴史を大切にしながら前向きに一つの目的に邁進しようと今年1月にエネジン株式会社を発足させた。社名のエネジンは、社員の公募で決まった。「エネジン=ENEGENE」は、人(ジン)とエネルギー(エネ=ENErgy)の未来を創造(GENEsis=発生、起源、創世紀)する企業であることを目指して名づけられた社名である。
継続は力なり
 エネジンは、今年1月1日に資本金9,000万円、ハマネン6対丸善ガス4の出資比率で設立された。そして両社の事業の大半を継承した。経営規模は年商58億円(ハマネン39億円、丸善ガス19億円)、年間LPガス販売量2万6,000d(ハマネン1万6,000d、丸善ガス1万d)、LPガス直売客3万3,000(ハマネン2万、丸善ガス1万3,000)、社員数140人(ハマネン95人、丸善ガス45人)である。代表取締役社長に丸善ガス社長の萩聰治郎(62歳)さん、同副社長にハマネン社長の藤田源右衛門(34歳)さんが就任した。萩社長は副社長にやきもちをやくのは年齢と髪の毛が黒いことだ。若いということは間違いなく引き継ぐことだ。自分はバランスのいい人間であり続けたい。継続は力なりだと強調した。
花川エネルギーセンター
 平成11年11月、株式会社花川エネルギーセンターを発足させた。同センターは浜松市桜台、東名浜松西インター最寄りの工業団地・西テクノ協同組合の構成員となり制度融資を受けてハマネンと丸善ガスが出資、資本金3,000万円で設立された。花川エネルギーセンターの社長は、萩聰治郎が務めた。かくて地域でのLPガスの充填、配送、保安の機能を共同化した。その設備の16連式回転充填機は、月に1,756dの処理が可能でフル稼働だと月間2,340d以上の処理能力である。また、地域の共同物流会社として「エリア配送システム」を展開、配送の錯綜を解消した。今日ではハマネン、丸善ガスだけではなく明石石油株式会社も株主として参加して地域に密着したサービスを提供している。
 花川エネルギーセンターの業績は、ハマネン、丸善ガスの両社に利益をもたらしただけではなく相互に信頼を深め、同じ時代認識を共有するに至った。当時エネジンの構想はまだなかったが、企業合同の下地はこうしてつくられた。
配送合理化検討委の提言を地で行く
 全国LPガス卸売協会が平成13年5月に「配送の合理化検討」と題する冊子を発行した。その冊子の「共同配送に向けての提言」に@共同化による効果(配送員1名当たり)、A二次的効果、実施した事業者の直接的効果とともに、周囲の同業他社に与える影響、効果も大きい。近隣事業者との新たな共同体への取り組みが考えられ、結果的に充填量と配送量の拡大につながる。Bパートナーシップ、共同化に当たっては、事業者間に友好な関係を構築しておくことが必要である。企業風土・規模・系列が相違する業者同士が共同作業を行う場合、それぞれの主張を応分に取り入れるためには、顧客情報の公開・費用分担について友好的に取り決める土壌が必要である。また、円滑な運営のためにはリーダーの存在が重要である。C共同化の必要、LPガス業界は50年の歴史の中でたゆまぬ配送の合理化を推進してきたが、これからの競合エネルギーとの競争に打ち勝つためには、価格面・サービス面での競争力を向上させる必要がある。この意味で物流合理化による物流コストの削減は、事業者と業界が生き残るために重要な課題であり、系列などの枠組みを超えた配送の共同化に取り組む必要があると提言している。
 花川エネルギーセンターの実績もエネジンの企業合同もこの提言を実際にやって見せてくれているのである。

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