石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

自動車材料 OEMへの提案力強化

新技術・機能生かし展開

化学製品の主要な需要先の一つである自動車産業が大きな転換期にあるなか、化学系素材メーカーは次世代モビリティの成長を取り込むため、独自の製品・技術を駆使して完成車メーカー(OEM)への提案力を強化している。中でもモビリティに強みを持つ旭化成と三井化学グループは、材料の特性だけでなく部品開発を促進する設計支援などのソリューションや、新技術の実証なども含めて訴求。そのポイントは電気自動車(EV)向けをターゲットとした革新性と大型化による競争優位性だ。

CO2排出削減進める 東レ

上席執行役員研究本部長 井口雄一朗氏に聞く

目標達成へR&D加速
新研究棟 次世代モビリティ材創出
東レは、「東レグループ・サステナビリティ・ビジョン」で掲げるバリューチェーンへのCO削減貢献量の30年度目標(13年度比)を8倍から25倍に上方修正した。革新技術・先端材料の創出でこの目標達成に挑み、50年までにカーボンニュートラル実現につなげる考えだ。研究開発での具体的な取り組みを井口雄一朗上席執行役員研究本部長に聞いた。
◇ ◇
―研究本部として目標達成にどのように貢献しますか。
自社の生産活動でのCO排出量削減はエンジニアリング部門が中心になって取り組んでいる。研究開発本部はバリューチェーン上流の原材料と、川下の製品の部分で貢献する。
原材料では、当社が繊維やフィルム、樹脂に使用するポリエステル、ナイロン樹脂などの基幹ポリマーの再生資源化を進める。基幹ポリマーの原料に占めるリサイクル原料、バイオマス原料、CO由来原料の合計割合を30年に20%、40年に60%、50年に100%とする目標を掲げた。

  • 日本化薬・・・IJインク、産業用を3倍に増強 リードタイムも短縮
  • テラドローン・・・農業分野に本格参入 農薬散布事業を買収
  • 日本化薬・・・新規偏光板 HUD用でOEM向けに採用進展

THE PETROCHEMICAL PRESS

大阪ソーダ・・・高誘電エラストマー開発

人工筋肉向けなどに提案

シート状サンプル

大阪ソーダは、電圧を印加すると伸長する高誘電エラストマーを開発した。用途は人工筋肉アクチュエーター、スピーカー、フレキシブルセンサーなどを想定して提案を進め、実用化を目指す。
開発品は大きく分けてアクリル系(アクリルゴムベース)とポリエーテル系(エピクロルヒドリンゴムベース)の2種類がある。代表グレードの比誘電率(周波数1 ㌔㌹)はアクリル系が8・3、ポリエーテル系が15・7に及ぶ。この高誘電率により比較的低い電圧の印加で高い応力が発生する。
開発品ポリマーを溶剤に溶かし、これを金属板などに塗布して乾燥させ、熱により分子に架橋を施すことでフィルム・シート状の高誘電エラストマーが得られる。
大阪ソーダは、耐油性や耐熱性に優れる特殊エラストマーとしてアクリルゴムとエピクロルヒドリンゴムを展開している。これらの分子骨格中に極性が高い官能基を含む特徴を生かし、高誘電エラストマーの開発にこぎ着けた。同エラストマーの改良と用途開発は事業開発本部イノベーションセンター(大阪市西区)が担う。

  • クレハ・・・バイオスティミュラント事業参入へ 非たんぱく性アミノ酸開発
  • KHネオケム・・・開発と営業活動加速 海洋生分解性樹脂 試作拡大し顧客評価
  • ポリプラスチックス・・・PPS熱暴走対応に新材料 EV電池の周辺へ
  • 東京理科大・・・カリウムイオン電池、界面反応機構を解明 水系KIBに貢献
  • フクビ化学・・・屋外家具ブランド 2商品を追加発売
  • 三菱ケミカルグループ・・・海洋生分解樹脂 釣り具に採用
  • 東レ・・・油抑制と通気性、両立した防護服を発売
  • 東ソー・・・社会課題解決製品認定制度を開始
  • 帝人と日揮HD・・・衣服回収とLCA事例調査結果発表
  • 積水化学工業・・・塩ビ雨どい排水力 業界最大級の能力
  • ユニチカ・・・ヤマハの縦笛にPLA素材が採用
  • ダイセル・・・ヘルスケア通販事業を譲渡へ

THE PETROCHEMICAL PRESS

  • CPL、中国新増設の動き続く 福建永科技 30万㌧が稼働
  • 経済産業省 CE実現へ連携組織 パートナーシップ会員募集
  • ヤンマーエネルギーシステム・・・次世代エネルギー 岡山市に実証施設開設 水素発電など研究
  • 日本スチレン工業会・・・2023年8月受払表
  • 日本ABS樹脂工業会・・・ABS樹脂の8月国内出荷
  • 塩ビ工業・環境協会・・・8月のPVC、VCMの生産・出荷
  • 日本ポリプロピレンフィルム工業会・・・8月のOPP・CPP出荷実績
  • 日本化学工業会福田信夫会長・・・年度内の回復に期待 CNへ税制改善を
  • 化学製品値上げ
    ・東ソー・・・PEを20円以上
    ・旭化成・・・PE10月1日から
    ・ジェイ・プラス・・・DOPとDINP

THE PETROCHEMICAL PRESS

  • 上野製薬・・・LCP、アロイで固有物性発揮 需要喚起へ低融点化
  • ユニチカ・・・基板用樹脂の靭性改良 超耐熱PAR 添加剤向け拡大
  • 東レとホンダ・・・車向けナイロン6、CR技術実証開始
  • 東レエンジニアリング・・・新中計始動 TRENGブランド浸透 事業利益 25年度に最高更新

岩出卓社長

東レ子会社の東レエンジニアリングが23年度から3年間の新中期経営課題(中計)を始動した。骨子は「経営基盤強化」「成長」の2本で、25年度に過去最高の売上収益、事業利益を目指す。岩出卓社長に新中計のポイントを聞いた。
―経営基盤強化と成長に向けた取り組みは。
経営基盤強化は「安全・コンプライアンス」を基本に「生産性向上」「技術力向上」の2本柱でSDGs、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーといったCSR(企業の社会的責任)、CSV(共通価値の創造)を実現する。
成長に向けた取り組みとして「事業戦略」「人材戦略」「ブランド戦略」を連携させ「会社と従業員が共に変化し、成長する」企業体を目指す。事業戦略は事業を基盤、拡大、縮小、育成の4事業に分類し、特に当社の強みのある拡大事業に積極的に投資する。人材戦略は人的資本への投資を強化し、従業員1人当たり売上高の年率5%アップと働きがいの向上を図る。

  • 日本化薬・・・エポキシ中量生産 厚狭工場で稼働 高品質化に対応
  • コスモ石油と日揮グループ、レボインターナショナル・・・SAF、原料調達先を拡大
  • ダウ・・・MDI蒸留とプレポリマー統合生産、新設備稼働
  • 三井化学・・・駅回収PET原料に吸音材 JR東日本などと協業 東北新幹線に
  • テラドローン・・・空飛ぶクルマ実証 3年連続で補助金
  • トクヤマ・・・新第一塩ビを吸収 来年4月
  • レゾナック・・・HDメディア台湾事業撤退

最近の記事一覧石油化学新聞一覧