石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

カネカ・・・生分解性ポリマー 米国生産へ

先端事業群 需要増で設備投資加速

カネカは、収益性の高い先端事業群の設備投資を加速させる。各製品の需要増に応じて生産能力を引き上げ拡販を促進し、事業ポートフォリオ変革につなげる。
24年度から始動した3カ年の経営計画で、増産投資を検討中の先端事業群として生分解性バイオポリマー「グリーンプラネット」、変成シリコーン(MS)ポリマー、高機能ポリイミド(PI)フィルム、建材一体型大陽電池、サプリメントの還元型コエンザイムQ10、乳酸菌、乳製品、医療器(血液浄化器、カテーテル)、バイオ医薬品、低分子医薬品をリストアップした。26年度までに投資を実行に移す意向だ。

強み生かす東ソーの石化事業 

四日市のクラッカーは保持 業界平均を超える高稼働率

誘導品 半導体・医療・環境へ
PE 国内差別化率4割強に

多彩な品種を作り分ける四日市のPEプラント

「石化業界再編の機運は当社にとって機会でもある。(四日市の)ナフサクラッカーを保持することを大前提に、将来にわたる安定需要先を確保する取り組みを加速している」。東ソーの桒田守社長は経営概況説明会でこう断言した。
中国をはじめとする石化大増設によるアジアの供給過剰と市況軟化、地政学的リスクによる資源価格の乱高下、経年劣化に伴う設備費用の増大、不確実な収益体質。抱える課題は他の石化センター企業と共通する。だからといって「東ソーも石化再編」とはならない。東ソーの石化事業には強みがある。

  • 三菱ガス化学・・・MXナイロン、増設検討 高ガスバリア性包装材向け26年度までに決定
  • 日鉄ケミカル&マテリアル・・・国都化学と連携拡大 双方の競争力強化
  • 三井化学・・・高速輸送、米新興に出資し支援 個人用システム開発
    三井化学は次世代型個人用高速輸送(PRT)システムを開発する米国スタートアップのグライドウェイズ(サンフランシスコ市)に出資した。これによりモビリティ事業で単なる材料売りにとどまらないソリューション提案型ビジネスの拡大につなげる。グライドウェイズは16年設立。カリフォルニア州を拠点に軽自動車並みの自動運転小型電気自動車を専用レーンで隊列走行させる、オンデマンド型PRTシステムを開発している。「グライドカー」と呼ばれる4人乗りの車両が幅1・7㍍(一般的な道路車線の半分以下)の専用レーンを走行することで、多くの利用者がより快適に持続可能で手ごろな料金で移動することを可能にする。CO排出量がネットゼロになると同時に交通渋滞を緩和することで、気候変動への影響軽減にも貢献する。
  • 日本化学学会・・・新会長に京大の丸岡教授
    日本化学会の第122代新会長に京都大学の丸岡啓二特任教授が就任した。任期は2年。就任会見で丸岡会長は、次世代を担う若手研究者育成と28年の化学会設立150周年に向けた周年事業の準備に重点的に取り組むと表明した。 丸岡会長は天然資源や食糧生産に恵まれない日本では人的資源の活用が重要と指摘し「国民1人当たりの知的レベルを高めるとともに、生産性を上げる努力をしないと、世界で生き残るのは非常に難しい」と述べた。そのために日本化学会として「学会や産業界におけるイノベーションや産業変革などを先導できる人材、 特に次の世代を担う若手人材の育成、輩出の場を提供する必要がある」と語った。

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コベストロ・・・LiDAR用 PC製カバーを提案

自動運転普及見据え

商談会で展示されたライダーカバー

コベストロは、車両・自動運転用LiDAR(ライダー、自動運転向けセンサー)のポリカーボネート(PC)製カバーを提案する。将来の自動車設計においてライダーの取り付け位置が車体上部のルーフ部分になることを見越しての提案だ。既に中国自動車メーカーで採用されており、欧米や日系メーカーにも積極的に売り込む。

  • UBE・・・木質コンポジット拡販 バイオマスマーク取得
  • 日本化薬・・・IJ色素、消費者用途が安定化 欧米向け需要拡大で
積水化学工業・・・PSC 耐風圧・塩害を確認

都と港湾施設で検証へ

積水化学工業は、東京都と協力して国内最大規模となる港湾施設でのフィルム型ペロブスカイト太陽電池(PSC)の検証を開始した。25年3月日まで、耐風圧や塩害に対する耐久性などを確認する。
フィルム型PSCは東京国際クルーズターミナル(江東区)4階送迎デッキの円柱に巻き付けて設置した。発電した電気は蓄電池に充電し、デッキ上部に設置した「TOKYO」サインの点灯に使用する。
5月24日に開かれた点灯式には東京都の小池百合子知事と積水化学の柏原久彦執行役員R&Dセンター所長が出席した。小池知事は「海外から訪れる人にPSCというクリーンな発電設備でサインを点灯していることをPRしたい」と話した。【写真】柏原執行役員からPSCの説明を受ける小池知
事(中央)

  • マイクロ波化学・・・CR、連続式実証機を導入 廃プラ分解開始
  • NEDO・・・長距離物資輸送用無人機開発に着手
  • 旭化成メディカル・・・ウイルス除去フィルター 組み立て工場竣工
  • レゾナックなど3社・・・大分でバイオマス原料使用へ協業
  • 花王・・・使用済み化粧品のプラ容器再生利用
  • 帝人・・・次世代がん治療製品開発を支援
  • ENEOS・・・常圧蒸留装置のAI自動運転開始 川崎で
  • 帝人・・・心臓手術用の血管修復パッチを発売

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  • 液状エポキシ・・・需給環境 世界で悪化 中国新増設相次ぐ
  • 日本化学工業協会・・・岩田体制スタート GX貢献へ課題解決

    岩田圭一会長

    日本化学工業協会は定時総会で新会長に住友化学の岩田圭一社長を選任した。任期は2年。
    岩田会長は就任会見で化学産業を取り巻く状況について「環境問題の深刻化を背景に、循環型社会の構築とカーボンニュートラル(CN)の実現を目指す動きが世界的に大きなうねりとなっている」と指摘。そのうえで「化学産業は社会に必要な製品を安定的に供給するというエッセンシャル産業として社会経済の諸問題に対応できる。CNの実現を含むグリーントランスフォーメーション(GX)に貢献するソリューションプロバイダーとして、また新たな環境価値創出の牽引役として社会からの期待に応えることも可能だ」と強調した。取り組むべき重点項目として「GX」「国際協調」「安全・化学品管理」の3点を挙げた。

  • 日本プラスチック工業連盟・・・新会長に三井化学淡輪会長

    淡輪敏会長

    日本プラスチック工業連盟は、岩田圭一会長の任期満了に伴う後任に三井化学の淡輪敏会長を選任した。任期は4年。淡輪新会長は25年度からの4カ年計画について「プラスチック業界の劇的な環境変化に適切に対応していけるようにする」と意気込みを語った。 プラスチックを取り巻く問題について「プラスチックは極めて便利で優秀な素材で、人びとの生活に不可欠なものとなっているが、海洋プラスチック問題、気候変動問題、化学品としての安全性などの課題もある。プラスチックはこれからも人類のさらなる発展とSDGsがうたう持続可能な社会の実現にとって必須の素材だ。プラ工連の会長として、これらの課題に対し実効的で具体的な成果を上げられるよう努力する」と述べた。

  • ENEOS・・・廃オイル原料に再生潤滑油基油
  • 財務省貿易統計・・・2024年4月石化品輸出実績、2024年4月石化品輸入実績
  • 日本ポリプロピレンフィルム工業会・・・4月のOPP・CPP出荷実績
  • 日本スチレン工業会・・・2024年4月受払表
  • 日本プラスチック板協会・・・4月の硬質塩化ビニル平板生産出荷実績、4月の硬質塩化ビニル波板生産出荷実績、4月のポリカーボネート平板・波板生産生産実績
  • 日本化学繊維協会・・・4月の合成繊維生産・在庫量

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日本化薬・・・高周波基板向け樹脂 新製品を継続投入

27 年度 10 億円超販売

日本化薬はエポキシ樹脂事業で蓄積した知見を駆使して誘電正接(Df)低減などに取り組み、成長が見込まれる高周波基板向けに積極展開する。既にマレイミド樹脂「MIR―3000」が市場を広げており、固形タイプも今期中に市場投入する計画だ。よりDfを低減した「MIR―5000」も開発し、量産体制などを整え年内の本格上市を目指す。27年度には高周波基板の関連材料全体で売上高10億円以上を実現し、さらなる拡大につなげる。

APIC 9年ぶり韓国開催

持続可能な時代開く

アジア最大の石油化学工業会議APIC2024が5月30~31日の2日間、韓国ソウル市のグランドインターコンチネンタル・ソウル・パルナスで開かれた。
「トレイルブレイジング・ザ・パス・イン・ア・サステナブル・エラ~サステナブルな時代の先駆者」をメーンテーマとした今回のソウル大会は15年以来9年ぶりの韓国開催となった。韓国石油化学工業協会(K P IA)の主催の下、日本、台湾、シンガポール、タイ、インドネシア、インドの計7カ国・地域のAPIC運営委員ら盟友が一堂に会し、活発な情報交換や交流を図った。APICメンバー国以外からの参加も多く、36カ国・地域から800人超の業界関係者が参加した。

  • 三井化学・・・石化再構築 第2幕加速 ポリオレ今期具体化
  • 三井化学・岩国大竹・・・半導体用ペリクル次世代品を量産化
  • カネカ・・・3ヵ年計画、先端事業群比率55% 営業利益650億円に
  • 東レ・・・大矢社長、炭素繊維「一番の成長事業」 収益拡大に自信
  • 荒川化学・・・ライフサイエンス事業化へ基盤構築
  • トクヤマ・・・分析ツール自社開発機器学習モデル作成

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