石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

ユニチカ・・・ナイロンフィルム、高バリア品を再増強

宇治で食品包装向け

ユニチカは、高いガスバリア機能を持つ食品包装向けナイロンフィルム「エンブレムHG」の生産設備を増強する。宇治事業所(京都府宇治市)で今年、生産能力を2~3割高めたばかりだが、来年春までに再び引き上げる計画だ。ボイル・レトルト食品包装向けの旺盛な需要に対応する。エンブレムHG以外のガスバリア性ナイロンフィルムの生産は宇治からインドネシア工場に移管し、2拠点で最適生産体制を構築する。

新 話題とその人 機能材料の技術融合を加速する

日鉄ケミカル&マテリアル 常務執行役員総合研究所長 久保 祐治氏

「当社の機能材料は個々の製品を見ると技術的に優れ、独自性も高く、市場で一定のシェアを獲得しているものが多い。ただ、それぞれが点在する状態にある。機能材料の拡充が当社の成長戦略の基本にあるので、研究開発ではまず、各製品の技術を幅出しして足場を固める。そのうえで周辺領域以外にも技術を適用させ、事業を拡大していきたい」4月からは総合研究所長として同社の技術全般を舵取りしている。根っからの鉄屋と思いきや、東京大学大学院で化学を専攻したケミスト。フロンの濃度測定で北海道にフィールドワークし、南極探検隊や現JAXAにサンプル採取を要請したほか、95年にノーベル化学賞を受賞した大気化学者のローランド博士とも交流があった。 当時フロンは人体に安全で安定した「夢の化合物」として冷媒や溶剤などに多用された。しかし、オゾン層破壊が問題化し、87年のモントリオール議定書で製造・輸入が禁止。「環境影響を予測 21年4月に日本製鉄から日鉄ケミカル&マテリアルに転じ、今年してすぐに規制をかけたことで、オゾン層は回復に向かっている」と感慨深げに語り、現代のカーボンニュートラル(CN)への対応については「経済性を含め現実的な解を見出さなければ」と示唆する。

  • 東亞合成・・・LIB用バインダーで海外攻勢 研究新拠点生かし
  • クラレ・・・事業ポートフォリオ高度化 経営資源にメリハリ
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<特集>社会と産業の進 化に貢献する化 学企業のR&D〈中〉(2~3面)

化学各社は業績を緩やかに回復させるなか、研究開発の取り組みを一段と強化している。近年は研究拠点のリニューアルの動きが活発化しており、自らの技術力の深化にとどまらず、外部からの知恵を盛り込み、社会課題の解決で共創を図るオープンイノベーション型の研究センターが相次いで立ち上がっている。テーマは化学の高機能・高付加価値化に他ならないが、特に環境負荷低減技術の開発では炭素資源循環の実現を目指し、新たな化学の世界を切り開こうとしている。主要化学各社の研究開発トップにR&D戦略の現在地と将来を聞いた。

ENEOS
執行理事中央技術研究所長・佐藤康司氏

  • 斬新な発想で推進
  • 新研究棟が26年度に竣工

三菱ガス化学
取締役常務執行役員研究統括管掌・伊佐早禎則氏

  • ターゲットを絞り込み
  • MI活用 グループにも展開

住友化学
技術・研究企画部長・木全修一氏

  • 千葉工場、新研究棟が本格稼働
  • GI基金4テーマ 着々スケールアップ

東ソー
取締役常務執行役員研究本部長・土井亨氏

  • 研究開発体制、再編し部門連携強化
  • DXに全体で対応可能に

三菱ケミカルグループ
執行役シニアバイスプレジデントCTO・葛城俊哉氏

  • 研究要員、8割を事業部へ移管
  • 機能設計など技術に磨き

カネカ
R2B本部長・藤田かおる氏

  • 「R2B」掲げ事業実装
  • バイオものづくり 3研究所を新設

三洋化成工業
常務執行役員・藤井雄一氏

  • グレード開発、研究・営業一体で加速
  • アグリと匂いセンサー 事業へと育成

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