石油化学新聞 5400号
THE PETROCHEMICAL PRESS
- 日本触媒・・・バイオアクリル酸、25年ベンチ実証へ 30年メドに量産化
- 大倉工業・・・次期中計、積極投資を継続へ バイオ薬用バッグ量産
大倉工業は25年度から3年間の次期中期経営計画で設備投資を現中計の実績(22~24年度見込み227億円)より増やす。M&A枠も設け、積極的な投資の継続で収益拡大につなげる。 神田進社長が決算説明会で明らかにした。既に香川県三豊市での地元木材を活用する集成材の工場新設(総投資額約70億円、26年稼働予定)、国内工場でのバイオ医薬品・再生医療の細胞培養工程に使うシングルユース(使い切り)バッグの量産設備建設を決定した。大型液晶パネル向け偏光板用光学フィルムや、電気自動車(EV)関連材料の増産投資などを検討する。
- 日本化薬・・・エポキシ新系列、商業生産は26年度 厚狭で年末完成
<特集>社会と産業の進 化に貢献する化 学企業のR&D〈下〉(2~4面)
化学各社は業績を緩やかに回復させるなか、研究開発の取り組みを一段と強化している。近年は研究拠点のリニューアルの動きが活発化しており、自らの技術力の深化にとどまらず、外部からの知恵を盛り込み、社会課題の解決で共創を図るオープンイノベーション型の研究センターが相次いで立ち上がっている。テーマは化学の高機能・高付加価値化に他ならないが、特に環境負荷低減技術の開発では炭素資源循環の実現を目指し、新たな化学の世界を切り開こうとしている。主要化学各社の研究開発トップにR&D戦略の現在地と将来を聞いた。
日本触媒
取締役常務執行役員・住田康隆氏
- 変革への基盤整備完了
- 医薬品受託製造 SGP棟が本格稼働
デンカ
常務執行役員研究統括・新事業開発部門長兼イノベーションセンター長・戸谷英樹氏
- 新規事業開発、新興への出資で促進
- リソース配分も最適化へ
旭化成
常務執行役員・松崎修氏
- 意識改革、〝価値提供〟を起点に
- FO―MDシステム 実証経て27年度発売
三井化学
常務執行役員・柴田真吾氏
- ICT、名古屋に主力研究棟
- 世界拠点構想 インドに注目
KHネオケム
常務執行役員CMO・磯貝幸宏氏
- 新規テーマ、市場開発ステージに
- 糖鎖の量産化を本格検討
日鉄ケミカル&マテリアル
常務執行役員・久保祐治氏
- 機能材料で技術幅出し
- 感光性接着剤 先進プロセスが注目
出光興産
執行役員次世代技術研究所長・鈴木基弘氏
- 研究者 米に派遣し共創機会
- 27年度 千葉に統合研究所
東亞合成
フェロー・河合道弘氏
- 川崎に新研究施設開所
- 自動車や電子 既存深掘り新展開
JNC
取締役常務執行役員・大塚信之氏
- 液晶材料、非ディスプレイへ展開
- クロマト用充填剤 次世代、次々世代に
トクヤマ
取締役専務執行役員・岩崎哲史氏
- つくば第2研 ライフサイエンス強化
- 水素製造用AEM 世界に有償サンプル
THE PETROCHEMICAL PRESS
- 日本化薬・・・色素材料、環境安全配慮品に力 水系・非フェノール系
- 日清紡ホールディングス・・・FCセパレーター 今期、黒字確保 千葉新設備稼働
- 三洋化成工業・・・人工タンパク質 来期にも上市 30年度に営業益60億円
三洋化成工業が開発を進める機能性人工タンパク質「シルクエラスチン」が、皮膚の創傷治癒材用途で企業治験まで完了した。薬事申請を経て25年度中にも国内上市を果たす予定だ。実現すれば日本初の遺伝子組み換え技術を用いた医療機器となる。
並行して半月板再生材用途の企業治験に向けた準備も進めている。これらを事業化して国内外で拡販し、30年度に営業利益60億円規模の新規事業に育成する方針だ。
ほかにも皮膚、半月板に続く適用部位の拡大に向けた研究開発を推進、常時10~15テーマを抱え入れ替えを図りつつ検討を進めている。ターゲットは肺や筋肉の修復など難治疾患にかかわるテーマで、患者の生活の質向上に貢献する。【写真】シルクエラスチンで作ったスポンジ。フィルム状や繊維状にも加工できる
- 三菱ケミカルグループ・・・廃タイヤでカー黒事業化へ検討開始
- DIC・・・ケミトロニクス好調 25年目標1年前倒し
- 東洋紡エムシー・・・超高強力PE繊維 洋上風力係留索に
- レネゲード・マテリアルズ・コーポレーション(帝人米子会社)・・・低誘電プリプレグ 航空関連認証取得
- カネカ・・・苫東工場オープン血液浄化器を生産
カネカは北海道苫小牧市で苫東工場=写真=の開所式を8月26日に行った。第1弾として、約100億円を投じ建設した血液浄化器プラントの操業を9月から稼働した。
生産する製品は血中の悪玉コレステロールを選択的に除去する吸着型血漿浄化器「リポソーバー」と、重症化した閉塞性動脈硬化症(ASO)を治療する吸着型血液浄化器「レオカーナ」。世界的な糖尿病や慢性腎不全の患者の増加に伴い、いずれも需要が拡大している。血液浄化器の生産は大阪工場(摂津市)との2拠点体制を構築し、供給基盤の強化により飛躍的な事業拡大を図る。
- 第一工業製薬と神戸大発新興・・・低環境負荷製法 秋から実証開始
- UBE・・・CPL8月、90㌦安の1650㌦
- カネカベルギー・・・変成シリコーン増設ライン稼働
- 石油化学工業協会・・・7月の石化製品生産実績
- JOGMECと出光興産・・・米合成燃料に出資
- 石油化学工業協会・・・7月の汎用4樹脂の出荷実績
- カーボンブラック協会・・・6月のカーボンブラック実績、2024年カーボンブラック需要年央見通し
- 化学製品値上げ
・デンカ・・・クロロプレンゴム(CR)を2日出荷分から1㌔㌘120円以上(海外は1㌧500ドル以上または460ユーロ以上)値上げする。
・日本エイアンドエル・・・ABS系樹脂を10日出荷分から値上げする。値上げ幅はABS、AES、ASA、AS、ポリマーアロイが1㌔㌘35円以上、難燃グレードと洗浄剤は100円以上。300㌔㌘未満の小口も11月1日出荷分から別途値上げする。
・旭化成・・・ポリアミド(PA)66を11日出荷分から1㌔㌘60円値上げする。難燃グレードは100円を上積みする。
・旭化成・・・アルミペースト10月1日出荷分から1㌔㌘200~500円値上げする。
・タキロンシーアイ・・・アルミ複合板を10月1日出荷分から20%以上値上げする。
・三井化学・・・メタ・パラクレゾール(MPCR)を10月1日出荷分から1㌔㌘150円値上げする。