石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

東レ・・・繊維事業 動物侵入防止柵など 農水産用新製品で攻勢

顧客と共同で相次ぎ開発

東レは、産業用繊維事業で農水産業向けに攻勢に出る。自社の高機能合成繊維素材を使い、顧客と共同で中型動物侵入防止柵、防鳥線、畜産用アンモニア臭分解シート、養殖用ネットと係留ロープを相次ぎ開発した。用途を広げ事業拡大を加速させる。

中型動物侵入防止柵を警戒するアライグマ

中型動物侵入防止柵は動物を感電させる上部の「通電部」、壁となる「樹脂ネット部」、地面に接する「スカート部」で構成される。うち樹脂ネット部は熱硬化性の共重合ポリエステル糸の採用で硬いために動物の噛み付きを抑制し、通電部への誘導を促進する。アライグマ、アナグマ、タヌキ、イノシシ、ハクビシンなどの侵入防止効果を確認済み。同じく熱硬化性ポリエステル糸を採用した鹿侵入防止ネットも揃えた。
これらはネットメーカーのナカダ産業(静岡県島田市)と共同開発した。販売は東レの各地の主力工場にある殖産会社、東レコムズが担い、全国の農家に売り込む。

新 話題とその人 製販技の統合で成長分野拡大

DIC  ケミトロニクス事業本部長 原 穂氏

関連素材のシナジーを
半導体関連 後工程に加え前工程も
「当事業本部は今年初めにファンクショナルプロダクツ事業部門へエレクトロニクス関連の素材・技術を集約し、新設された。発足したばかりだが、生成AI関連などの成長を牽引する用途が拡大したこともあり、事業はおおむね順調だ。市場環境が厳しかった前年に比べ、銅張積層板(CCL)用のエポキシ樹脂をはじめとする半導体製造の後工程用材料が総じて拡大している。当事業本部では25年度の営業利益目標を80億円としていたが、今年度に前倒しで達成できそうだ」
同事業本部ではエレクトロニクス仕様の化学・素材を軸とし、パッケージ基板やプリント基板向けのエポキシ樹脂をはじめとする熱硬化性樹脂やUV硬化型樹脂、界面活性剤、工業用粘着テープ、さらには昨年6月にM&Aで取得したカナダ企業のフォトレジスト用材料などを展開する。世界規模で半導体市場の拡大が見込まれるなか、原穂氏は初代事業本部長としてファンクショナルプロダクツ事業部門や新事業統括本部に分散していたリソースを集中し、製造・販売・技術の一体化によるシナジーによって成長を加速させていく考え。

  • 経済産業省GX支援事業・・・SCの強み 自己問診で収益に 誘導品競争力後押し
  • ポリプラスチックス・・・LCP、25年から増産体制へ コンパウンドも中国で
  • 石油化学工業協会・・・9月の石化製品生産実績

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  • Xiborg(サイボーグ)・・・CFRP製競技用義足で廉価版 利用者拡大へ普及促進

競技用義足開発スタートアップのXiborg(サイボーグ)は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使った競技用義足の廉価版を発売した。これで競技用義足の利用者をパラアスリート以外にも広げ、普及を促す。
サイボーグがパラアスリートに提供する競技用義足の価格は20万~60万円だが、廉価版は10万円程度に抑えた。主材料の炭素繊維を従来の東レ製「T800」より価格の安い「T700」に変更したほか、義足ブレード(板バネ)の形状も見直し、製造工程にできるだけ人の手をかけないようにすることでコストを削減した。ブレードの製造は、東レの子会社でCFRP成形品を手がける東レ・カーボンマジックに委託する。

  • 三菱ケミカルグループ・・・青果物向け鮮度保持コート剤開発 シュガーエステル配合
  • DICとユニチカ・・・5Gスマホ基板向け開発 早期製品化へ評価進む
  • 三菱ケミカルアクア・ソリューションズ・・・膜ろ過システムが複合施設に採用
  • アールエム東セロ・・・OPPでバイオマス認証を取得
  • 三菱ガス化学・・・核酸医薬品開発でVISと覚書締結
  • 帝人フロンティア・・・センサー搭載寝具、圧電組紐が西川に採用
  • JSP・・・XPS断熱材で環境認証を取得
  • 東京理科大・・・染料可溶化の挙動 構造解析で解明
  • エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)・・・国内のCCS(CO分離・回収、貯留)事業、北海道と瀬戸内・九州で設計業務に
  • 双日など3社・・・CO膜分離の都市実装を開始
  • ENEOS・・・潤滑油・グリースCFP算定システムを開発

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  • 出光興産・・・SPS、主力の車載用拡販 グレード開発も加速 耐熱や耐久性追求
  • 石油化学工業協会・・・9月の汎用4樹脂の出荷実績
  • 日本スチレン工業会・・・2024年9月受払表
  • 発泡スチレンシート工業会・・・2024年9月のPSP出荷実績
  • 化学製品値上げ
    ・積水化学工業・・・合わせガラス用中間膜を14日出荷分から6~15%値上げ
    ・タキロンシーアイ・・・アセテートシートを11月1日受注分から15%値上げ

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クレハ・・・シェール掘削用PGA 売上高倍増めざす

新規案件も数十億円規模

クレハはポリグリコール酸(PGA)樹脂「クレダックス」の特徴を生かし、主力のシェールガス・オイル掘削材向けで応用分野を広げながら新規用途の開拓にも拍車を掛ける。30年度までにシェール掘削用途の売上高を低温鉱区に市場を広げ、現状から倍増させる。検討中の米国での成形加工も30年までにメドをつける。シェール掘削以外の用途も複数の案件を立ち上げ、30年度までに新規案件で数十億円の売上高を確保する。

AGC鹿島工場 重曹と板ガラス安定供給

有事見据えBCP対策に力

重曹の反応塔(右)。乾燥させた重曹を10階まで吹き上げてふるい分ける

中川敬広工場長

AGCは重曹とフロート板ガラスの国内最大手。鹿島工場(茨城県神栖市)の重曹製造プラント、フロート板ガラス製造ラインともに国内最大級を誇る。中川敬広工場長(21日付で就任)は「鹿島工場を製造、安全、環境、保安、コストの面で他社がうらやむ工場にしたい」と抱負を語り「供給責任を果たすためBCP対策が重要課題」と強調する。
重曹は医薬品原料、食品添加物、入浴剤、工業、飼料添加物など幅広い用途に使用される。中でも人工透析用は、出荷が止まれば患者の生命にかかわる。東日本大震災の際には経済産業省から停止した設備の再起動の要請を受けた。不測の事態に備え、医薬品用を中心に在庫の確保に努めていく。フロート板ガラスは規模的に鹿島工場の生産量をカバーすることは難しいが「他工場が連携して供給体制を維持する」構え。

  • クラレ・・・低温鉱区向け拡販 新グレード 分解速度を追求
  • 三菱ケミカルグループ・・・イオン交換樹脂、半導体向け増強 超純水用、26年4月稼働
  • 三菱ケミカルグループ・・・光学フィルム、偏光板向け増強 27年度下期、大垣で2700万平方メートル
  • 住友精化・・・SAP再生、実証へ試験設備 姫路で26年稼働
  • 東レ・・・患者QOL向上へ 筑波大と共同研究
  • UBE・・・創薬研究拠点を新設 湘南地区で協働加速
  • 東洋エンジニアリング・・・バイオエチレン設備 タイで基本設計受注
  • TOPPAN・・・高耐候塩ビシート サッシ向け開発
  • 出光タンカーなど・・・4社 メタノール燃料併用VLGC規格を決定

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