THE PETROCHEMICAL PRESS
日本ポリエチレン・・・環境対応型PEを拡充
MR向け改質材と3D印刷用
日本ポリエチレン(JPE)は環境対応型ポリエチレン(PE)製品を拡充する。マテリアルリサイクルを行ったPE(MR―PE)向けの新規改質材を開発した。循環利用に適した3Dプリンター向けPEの提案も進める。環境意識の高まりに伴い拡大するニーズを取り込む。
新規改質材はMR―PEに10~30%の少量添加することで、ボトルなどの中空成形用途に求められる衝撃強度と剛性を高い次元で両立する。これまでMR―PEは熱劣化や酸化劣化、洗浄・分離精度低下による異材料混入などで、バージンPEに比べ衝撃強度などの物性が低下する課題があった。新規改質材はMR―PEの剛性を維持しながら、衝撃強度を洗剤容器グレードのPEと同等まで飛躍的に改質できる。
三菱ケミカルグループ・・・5ヵ年新中計 化学で稼ぐ企業体へ
29年度 コア営業益5700億円に
三菱ケミカルグループが25年度から5年間の新中期経営計画を策定した。新たに定めた「事業選別の3つの基準」と「規律ある事業運営の3原則」を用いて事業ポートフォリオ変革と収益改善を実現するのが基本方針だ。医薬(ファーマ)と産業ガスの両事業で高い収益力を維持しながら、本業の化学事業で稼ぐ企業体への立て直しを急ぐ。
数値目標として29年度コア営業利益5700億円(24年度見込み2900億円)、売上収益4兆9500億円(同4兆4700億円)、コア営業利益率12%(同6%)、ROIC(投下資本利益率)8%(同5%)を掲げた。
会見する筑本学社長
■新経営ビジョンも発表
新経営ビジョン「Kaiteki Vision35」も発表した。ビジョンの発表は20年2月以来約5年ぶりで、その間に想定以上に加速した外部環境の変化を反映し、今回は注力事業領域として「グリーン・ケミカルの安定供給基盤」「環境配慮型モビリティ」「データ処理と通信の高度化」「食の品質保持」「新しい治療に求められる技術や機器」の五つを設定した。35年度のコア営業利益イメージは約9千億円で、化学事業で約5500億円、グループ事業(ファーマ、産業ガス)で約3500億円を上げる構想だ。 ビジョン実行の組織・プロセス・リソースのキーワードは「つなぐ」とし、より速く顧客課題を解決するため、社会のニーズと最適なソリューションをつなぐ。
- INC-5・・・交渉終結へ議長提案 日本からの委員選任を
- 日本触媒・・・エマルジョン事業を買収 高機能材事業拡大へ
- 三洋化成工業・・・上期営業益が2倍超 SAP撤退と値上げ効果で
- 日本化薬・・・3事業で収益改善へ 感熱顕色剤など対象
<特集>機能と周辺技術 で付加価値領域 へ / スーパーエ ンプラ〈下〉(2~3面)
主要企業の現状と戦略
さまざまな最終製品が高度化、多様化しながらグローバルに市場を広げるなか、素材への要求も多様化し、より高機能な素材への要求も増している。スーパーエンプラは代表例であり、日本企業が世界で高い競争力を発揮している製品の一つだ。車両などのモビリティ、半導体などのエレクトロニクス関連に加えてエネルギー、医療、食品・水回りといった領域へも応用分野を広げており、素材機能への評価だけでなく、周辺技術の革新が市場拡大を加速させている。
- LCP、グローバルに用途拡大 新系列稼働 高速通信や車載用も
- PES、パウダー用 分離膜用が成長牽引 ペレットも多用途へ
- LCP、原料一貫の強み発揮
- 低融点タイプ、新市場開拓へ
- LCP、機能で差別化市場へ
- 低誘電材料 高速通信を支援
- 金属接合用 車両重点に横展開
- 電動化を支援 パワー半導体用などへ
- ポリマーコンパウンド、世界で供給体制強化
- 耐トラッキング品 xEV用を拡大
THE PETROCHEMICAL PRESS
日本化薬・・・中期目標達成へ 4事業の成長後押し
触媒、収益安定化にメド
日本化薬は中期事業計画で掲げた営業利益目標の達成に向け、課題となる事業の収益向上に本腰を入れる。最終の25年度目標265億円に対し、24年度見込みは193億円(当初計画は225億円)。遅れの主因とするのが機能性材料、触媒、ポラテクノ、医薬の4事業。機能性材料はエポキシ樹脂で半導体市場の回復に伴う需要増を取り込み、触媒は安定収益の確保を目指す。光学フィルムなどを展開するポラテクノは新製品投入で市場拡大を加速、医薬は抗がん薬の安定供給やバイオ医薬品の浸透を進める。
DIC・・・PS再生 色柄付きトレーに
年産1万㌧設備稼働 エフピコに供給
四日市工場内に竣工したPSマテリアルリサイクル設備
DICが食品容器メーカー、エフピコとの協業で取り組むポリスチレン(PS)のマテリアルリサイクル(MR)が新たなステージに入った。四日市工場(三重県)でDICの独自技術による色柄付きPS食品トレーのMRを可能にする溶解分離リサイクル設備が稼働した。MRによる色柄付き食品トレーの水平リサイクルは業界初。年1万㌧の生産体制を整え、再生PSはリサイクルブランド「RePOS」として協業先のエフピコに供給する。
CR技術開発も協業26年度メドに実用化
左から池田尚志社長、エフピコの佐藤守正会長、四日市市の森智広市長ら関係者
- ダイセル・・・カプロラクトン誘導体 脂環式エポキシを拡販
- 東レ・・・バイオアジピン酸量産 PTTGCと共同検討
- SABIC・・・PEI新設備稼働、シンガポール 1.7億㌦投入
- クレハ・・・PVDFとPGA損益悪化 業績改善策を推進
- 積水化学工業・・・タイでCPVCコンパウンド増強 来期1.6倍に
- 積水化成品工業・・・ポリマー微粒子 車照明向け採用
- デンカ・・・CR業績が悪化 期内に対策発表
- 信越ポリマー・・・半導体容器4割増強 2拠点から安定供給
- 三菱ケミカルグループ・・・東北で半導体精密洗浄拠点を新増設 30億円投資
- カネカ・・・カテーテル設備新設 国内生産能力2倍に 27年春稼働
- チッソ・・・不織布生産を適正化 中国メーカー株売却