石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

三菱ケミカルグループ・・・宇宙関連材料を拡充

高放熱GSと月の砂含有材

三菱ケミカルグループは宇宙関連材料のラインアップを拡充する。宇宙通信用の平面アンテナの放熱材料に使う高熱伝導グラファイトシート(GS)を開発した。月面基地の構造材向けには月の砂を原料に使う3Dプリンター樹脂材料の開発を進める。宇宙産業を成長分野と捉えて求められるさまざまな高機能材料の開発を加速させ、拡大する需要を取り込む。

GSはすべて炭素原子で構成され、層状の結晶構造を持つシート状の材料。厚み方向の熱伝導率は1㍍・当たり10~20㍗と低いが、層の方向(面を伝わる方向)の熱伝導率は銅の約4~5倍の2千㍗程度に及ぶ。一般的にGSは厚みが増すと熱伝導率が低下するため従来のGSは厚みが20~30㍈にとどまるのに対し、三菱ケミカルGの開発品は100㍈以上の厚みで高い熱伝導率を達成した。

新社長インタビュー・・・住友化学 水戸信彰氏

成長回帰、復元力示す 有機合成・触媒 世界トップの技術発揮

 住友化学の次期社長に4月1日付けで水戸信彰専務執行役員が就任する。80年振りの技術系社長で、農薬事業からのトップ就任は同社史上初。次期会長となる岩田圭一社長は、「資質、実績、適応力と、どれをとっても申し分ない」と太鼓判を押す。水戸氏がアグロライフソリューション事業で確立したリジェネラティブ(再生)農薬のビジョンは、石油化学のグリーントランスフォーメーション(GX)をはじめ全事業のサステナブル化ともリンクする。さらに、別子銅山からの亜硫酸ガスを肥料の過リン酸石灰に変換した住友化学の起源とつながり、現代版のGXを実現するイノベーションの確立に期待が寄せられる。
同社は23年度の大幅な業績悪化(コア営業損失1490億円、最終損失3118億円)を経て、24年度は短期集中業績改善策と抜本的構造改革に全精力を注いだ。住友ファーマのリストラやペトロラービグの再建プランの実行をはじめ、さまざまな構造改革を断行。その間に医薬、ICT、モビリティが回復基調に転じたことも手伝い、24年4~12月期の業績は、先端医療のCDMO(医薬品開発製造受託機関)を中心に育成中のアドバンストメディカルを除き、各事業セグメントで増益を記録。24年度通期ではコア営業利益1千億円、当期利益250億円を見込むまでに復調した。
収益のV字回復にメドが付いたことに加え、25年度からは新しい中期経営計画がスタートする。「次期中計は住友化学が新しい成長への回帰、その復元力を示すタイミング。そこは水戸さんをトップに据えた新体制で臨むべきと考えた」と岩田次期会長は明かす。

  • 旭化成・・・新中計、高付加価値化を加速 営業益2000億円が発射台
  • 三井化学・・・成長領域コア営業益 24年度1200 億円射程に L&H事業などが牽引
  • クラレ・・・高耐薬品エンプラ開発 高耐熱性TPEも
  • 丸善石油化学・・・舟橋取締役常務執行役員が社長に
    丸善石油化学は4月1日付で舟橋克之取締役常務執行役員が社長に昇格する。舟橋氏は京葉エチレンン社長も兼務する。馬場稔温社長は退任する。 舟橋克之(ふなはし・かつゆき)氏 90年京都大学工学部化学工学科卒業、丸善石油化学入社。17年執行役員、20年取締役執行役員を経て24年から現職。57歳。

 

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東レ・・・ナノ積層フィルム用途拡大

車AR対応HUD向け開発

東レはナノ積層フィルム「ピカサス」の用途を拡大する。自動車のフロントガラス上の矢印や時速表示などの運転情報を拡張現実(AR)で映し出すヘッドアップディスプレイ(HUD)の投影情報を鮮明にする効果を持つピカサスの新グレードを開発した。顧客の評価を得て早期の実用化を目指す。

  • 三菱ケミカルと住友ゴム・・・カー黒再生で協業 タイヤ用、CRタール原料化
  • 日本化薬・・・新事業創出 火工品技術を応用 領域の開拓、探索へ
  • ポリプラスチックス・・・再生品を年内上市 PPS、オープンPIRで
  • 三菱ケミカルグループ・・・バイオエンプラが医薬包材に初採用
  • 日本ゼオン・・・高岡のCOP再生設備を9月稼働へ
  • 三菱ガス化学と電気興業・・・バイオエンプラが医薬包材に初採用
  • 第一工業製薬・・・常温硬化2液混合ウレタン樹脂開発
  • 横河電機・・・医薬・食品の品質保証管理システムを発売
  • ブリヂストンなど3社・・・植物由来合成ゴムタイヤ技術実証へ
  • カネカ・・・透析患者の白癬菌抗原検査キット発売
  • JFEエンジニアリング・・・住友ケミエンジの株式66・6%取

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  • 日本化薬・・・ファインケミカルズ、需要回復 成長加速 投資効果を最大化
  • 熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)の24年国内需要・・・今年は数%伸長見通し
  • 旭化成・・・バイオガス精製装置、下水処理場に設置 CO分離回収実証

    倉敷市の児島下水処理場に設置された実証設備

    旭化成は岡山県倉敷市の児島下水処理場に、自社開発のゼオライト系CO分離回収技術を使ったバイオガス精製システムを設置した。システムの性能評価とCO分離回収の実証を開始する。同システムはCOを選択的に吸着するゼオライトを用いて、旭化成開発のPVSA(圧力と真空でガスからCOを分離)プロセスを適用し、下水処理場で発生するバイオガスからCOを除去。高純度のメタンガス(バイオメタン)を高回収率で精製する。バイオガスは下水汚泥や生ごみから発生するメタン約60%、CO約40%を含むガス。欧州ではカーボンニュートラルな燃料として天然ガスを代替するなど注目が集まっている。
    倉敷市は児島下水処理場で発生するバイオガスを燃料に発電している。この一部に旭化成のシステムを組み込み、バイオメタンを生成。分離回収したCOを有効利用・貯留すれば、カーボンネガティブを実現できる。ただし今回の実証ではバイオガスを無駄にしないため、バイオメタンを返送し発電燃料として有効活用する。

  • 四日市工場のPS設備

    DIC・・・色柄トレーMR実現 CRベンチ設備建設へ DIC、PS環境対応進むDICが食品容器メーカーのエフピコと協業するポリスチレン(PS)の完全循環型リサイクルの取り組みが進展している。マテリアルリサイクル(MR)では、独自開発した溶解分離リサイクルの設備を昨年11月に四日市工場(三重県四日市市)で稼働させた。原料のスチレンモノマー(SM)に戻すケミカルリサイクル(CR)では、26年後半にベンチプラント設備を同工場内に立ち上げる計画。将来的には原料のバイオマス化も検討するなど、全方位でPSの環境対応を進めていく構えだ。

 

  • 帝人・・・脱炭素移行への資金 リンクローンで調達
  • 三菱ガス化学・・・メタノール原料の水素生成器普及 海外2社と提携
  • ハリマ化成・・・CTO供給網でISCC認証取得
  • 国産ナフサ10~12月・・・5%安の7万3200円
  • ベンゼン2月ACP・・・10㌦高の930㌦
  • 次世代半導体コンソーシアム・・・3M加わり12社に
  • レゾナック・・・包材子会社全株式大日本印刷に譲渡 譲渡先は社名をDNP高機能マテリアル彦根に変更
  • 化学製品値上げ
    ・クラレ・・・活性炭と関連製品(活性炭繊維、不織布、浄水器用成形体など)を国内外で14日出荷分から10~50%値上げする。
    ・帝人フロンティア・・・ポリエステル繊維、紡績糸、テキスタイルを3月出荷分から10~15%値上げする。

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日本ピグメントHD・・・統合シナジー追求 ROS 10 %めざす

中国・東南ア 顧客開拓に力

日本ピグメントとPLASiSTの経営統合で発足した日本ピグメントホールディングスは国内で生産拠点の最適化といった効率化に取り組む一方、拡大する中国・東南アジア市場で事業基盤を強化し成長につなげる。保有する生産設備や商材、販売網を相互に活用し機能性マスターバッチ(MB)などの差別化商品で海外の顧客拡大に注力する。同社は26年度からの5カ年中計で30年度に売上高営業利益率(ROS)10%を目指し、実現に向けた体制を25年度中に構築する。

  • 信越化学工業・斉藤恭彦社長・・・米PVC、増設後もフル稼働 値上げ貫徹へ意欲
  • 三菱ケミカルグループ・・・新たな「つながり」追求 新技術 イベントで一挙公開
  • 三菱ケミカルグループ・・・樹脂コンパウンド 2子会社を統合
  • 三菱ケミカルグループ・・・増粘多糖類から撤退
  • UBE・・・機能品、用途広げ巻き返し 増産機に成長加速
  • 三菱ガス化学・・・次期社長に伊佐早氏 研究熱心 リーダーシップ発揮

    藤井政志社長(左)と伊佐早禎則次期社長

    三菱ガス化学は伊佐早禎則取締役常務執行役員が4月1日付で社長昇格するトップ人事を発表した。社長交代は6年ぶり。藤井政志社長は代表権のある会長に就く。倉井敏磨会長は退任し取締役を継続する。 伊佐早氏は主に研究畑を歩み、19年東京研究所長就任。20年から3年間は経営企画に携わった。23年から研究統括管掌、知的基盤担当を務める。研究畑出身の社長は初めて。
    新社長として「新規事業・製品の実需化に向け研究と事業の連携をさらに深める。オーガニックな成長だけではなく30年、50年のありたい姿を起点に逆算するバックキャスティングで何が足りないかを考えて研究を強化し事業に貢献する。これによりグループ全体で利益を出し、研究員、従業員がワクワクするような会社にしたい」と会見で抱負を述べた。

  • ダイセル・・・次期社長に榊氏
     ダイセルは榊康裕取締役専務執行役員が4日1日付で社長に昇格するトップ人事を決めた。小河義美社長は代表権のない会長となる。
    榊康裕(さかき・やすひろ)氏 84年岡山大学経済学部経済学科卒、ダイセル化学工業(現ダイセル)入社。14年6月執行役員有機合成カンパニー長、17年6月常務執行役員特機・MSDカンパニー長、19年6月専務執行役員、20年6月取締役。現在は経営戦略本部長のほかセイフティ、ヘルスケア、マテリアル、スマート、ライフサイエンスの各SBUなどを担当する。兵庫県出身、62歳。
  • PLASiST・・・改質PLA投入急ぐ 大手顧客で評価進展
  • 日本ゼオン・・・LIBバインダー米新設を2年凍結
  • 星光PMC・・・社名変更 CHEMIPAZに
  • 三井化学・・・DNAチップ研究所 完全子会社化を計画
  • 横浜ゴム・・・グッドイヤーから事業の買収を完了

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