石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

クラレ・・・ポバールフィルム、液晶向け増設検討

浄水用活性炭や歯科材料も

クラレは成長事業への積極的な設備投資を継続する。西条事業所(愛媛県西条市)で液晶ディスプレイの基幹部材である偏光フィルムに使う光学用ポリビニルアルコール(ポバール)フィルムの生産設備を増設する検討に入った。米国では飲料水の浄化に使う活性炭、新潟では歯科材料の各設備を拡充する意向だ。いずれも25年中に機関決定する予定。

新社長インタビュー・・・デンカ 石田郁雄氏

業績戻し成長軌道へ 中長期戦略 新規事業創出に力


「今年創立110年目の節目を迎える当社の歴史の中でも現状は厳しい状況にある。短期的に足元の業績を成長軌道に戻し、中長期的には23~30年度の経営計画『Mission2030』をベースに当社のあるべき姿を実現したい」こう抱負を語るのはデンカの社長に4月1日付で就任する石田郁雄さん。 24年度営業利益は前年度比66%減の110億円となる見込みで、過去最高の21年度(4 0 1 億円)から3年連続の減益になるが、「25年度は必ずや業績を成長軌道に戻せる」と確信する。
業績が低迷する米国のクロロプレンゴム(CR)事業への抜本的対策による効果に加え、最先端半導体向け次世代高機能フィラーや抗原迅速診断キットなどの生産能力増強、全社的なコスト削減策「ベストプラクティスプロジェクト」の効果を発揮する。 社長交代は4年ぶり。21年4月に就任した今井俊夫社長は経営計画でデンカが行うすべての事業をスペシャリティ、メガトレンド、サステナビリティの3要素をそなえた「3つ星事業」にする目標を掲げ、事業ポートフォリオ改革をドラスティックに推進。セメント事業の撤退や大船工場の閉鎖といったリストラのほか、タイでのアセチレンブラック工場新設などの成長投資を決定した。

  • KHネオケム・・・第5次中計、累計営業益449億円に GHG削減前倒しへ
  • クラレ・・・26年営業利益目標1100億円に上方修正
  • レゾナック・・・半導体・電子材が牽引 石化独立運営で2年後上場
  • DIC・・・ケミトロニクス事業、3割超増益と好調 資源集中で成長加速

<特集>ニーズに対応し進化する熱可塑 性エラストマー / 主要各社の現状と戦略 (2~3面)

熱可塑性エラストマー(TPE)は、合成ゴムの弾性と合成樹脂の加工性を併せ持つ機能性材料。オレフィン系、スチレン系、ポリエステル系、ウレタン系、塩ビ系など素材ベースでバラエティーに富み、それぞれの特徴を生かして自動車材料を中心に家電、建材、医療用具、日用品、雑貨など日常的な分野から、各種コンパウンドの原料や添加剤、改質剤など素材の高機能化を実現する用途まで幅広く使用されている。近年ではリサイクル可能な素材として加硫ゴム部材の代替需要も拡大する。メーカー各社は保有する材料技術やコンパウンド技術などを生かし顧客ニーズにきめ細かく対応したグレード開発や技術サービスの提供に力を注ぐ。国内市場に加え高機能化が進む中国や東南アジア、インドなどに展開し新たな需要を掘り起こすとともに現地生産の動きを強めている。

クラレ

  • 「セプトン」、3拠点で世界展開強化
  • 「ハイブラー」、医療・食品関連に力

三菱ケミカルグループ

  • オレフィン系、エアバック向け拡散
  • ポリエス系、バイオ由来で高耐油

旭化成

  • 水添SEBS・・・医療分野で用途拡充
  • 車、靴、通信なども新開拓

アロン化成

  • 年10%成長へ 車、医療ターゲットに
  • タイ拠点、2~3年後に増強検討

三井化学

  • TPV、26年に上海2倍以上増強
  • 自動車内装表皮 シェアトップ堅持

信越ポリマー

  • オレフィン系、グラスラン以外を模索
  • 塩ビ系、アジア展開視野に

東ソー

  • TPU、高耐久グレードに力
  • 日本ミラクトランと総合力

BASF

  • TPU、品種揃え幅広い用途へ
  • リサイクル性でゴム、塩ビ代替

THE PETROCHEMICAL PRESS

  • ダイセル・・・電材用溶剤、半導体関連に重点 レジスト・洗浄用強化
  • ポリプラスチックス・・・長繊維強化PP、再生セルロースで環境と制振性向上
  • 出光興産・・・酒井則明氏 4月に社長就任
    安定供給 CNX加速 固有の強み発揮 事業・製品開発を促進

酒井則明氏

「新事業へのトランジションと(既存の)成長事業への取り組み強化。あるいは財務健全化と資本効率の向上。これらを両立させていくためにはバランスが極めて重要になる。ただ、バランスというと停滞が想起される。われわれは止まることなく目標に向かってしっかりと前進する。とても難しい舵取りだがしっかりと取り組んでいく」
出光興産は4月1日付で酒井則明代表取締役副社長が社長に就任するトップ人事を決めた。木藤俊一社長は代表権のある会長に就く。 木藤氏と酒井氏は先輩と後輩、上司と部下と昔から勝手知ったる間柄。盛り上げ役を買って出る若き日の酒井氏に木藤氏が「少し控えなさい」と突っ込む場面が多々あったとか。「それはお互いさま」と酒井氏も返しつつ「責任ある立場になってからは合理的、理論的、科学的に判断するよう努めてきた。ただ根は情緒的な人間。社長としての経営判断は合理的、総合的な見方に情緒を適切に加味して下していく」と「人が中心の経営」を実践してく方針だ。

  • エフピコ・・・食品容器水平リサイクル拡大 協業先87社に
    エフピコが推進する食品容器の水平リサイクルが拡大している。食品トレーやPETボトルなどから再生したエコ製品を売り場で使用する「ストアtoストア」の協働を宣言する大手スーパーや小売業は87社2640店舗となった。店舗は資源循環やCO排出抑制を消費者に訴求できるメリットがある。エフピコは自社の食品包材ビジネスでリサイクルが完結できる強みを訴求し、協業先を増やしていく考えだ。
  • 住友化学・・・LCP、売上収益倍増へ 旧ソルベイの事業買収
  • AGC・・・26年 化学品部門営業益670億円に下方修正
  • 丸善石油化学・・・イソドデカン年産1.5万㌧に 千葉で倍増
  • 三菱ケミカルグループ・・・米投資ファンドに田辺三菱製薬売却
  • 旭化成・・・鉄道車両内の空気 深紫外LEDで殺菌
  • クラレ・・・アクリル系ブロック共重合体から撤退
  • 帝人・・・社外アドバイザー体制リニューアル
  • 住友ベークライト・・・エポキシ板15%値上げ
  • カーボンブラック協会・・・12月のカーボンブラック実績

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