石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

国内エチレン 27年度末能力 500 万㌧弱に

ENEOS 川崎1基化で検討

27年度末の停止が検討される川崎のエチレンプラント

また日本からスチームクラッカーの火が消える。ENEOSが川崎製油所で運営するエチレンプラント2基のうち、浮島南地区の設備を27年度末までに停止し、1基化する方向で検討を開始した。既に公表された案件と合わせて同年度末までに合計3基が停止することになる。これにより、国内のエチレン生産能力は年486万4千㌧に縮小する。これは24年の生産実績を下回る供給能力である。西日本連携などさらなる設備集約が検討されている。

エフピコグループの戦略 佐藤守正代表に聞く

製品開発 トレンド変化に応じ  OPP 超高剛性の事業化に力


コロナ禍で中食が進んだことを背景にデリバリーや冷凍食品の市場が拡大した。食品容器メーカー各社は市場トレンドに合わせた製品開発でしのぎを削る。さらに近年では食材価格が高騰。弁当や総菜の内容量が減り容器にはサイズ変更や見映えの工夫などが求められている。一方、環境対応も必須でプラスチック削減やリサイクルも大きなテーマだ。国内食品容器最大手のエフピコグループの佐藤正守代表に事業戦略を聞いた。
◇ ◇
―足元の食品容器の状況はいかがですか。
異常気象の影響などで食材価格が高騰し、特に米は品不足で急騰した。スーパーなどでは弁当のコストを抑えるため量目や品数を減らした。当社は顧客ニーズに合わせてサイズバリエーションを変更するとともに見映えで、つまり感を演出する製品も開発した。
―冷凍食品の市場が拡大しています。
新技術で開発した冷凍容器「耐寒PPiP―タルク」に期待している。従来品と同等の耐寒性と耐熱性を持ちながらプラスチック使用量を25%削減した。冷凍食品メーカーから高い評価を得ており今年から採用が増える見込みだ。
―小売業も人手不足が深刻化しています。
スーパーはバックヤードでのパッケージングが難しくなった。プロセスセンターへ加工作業を集中し充填・包装機械を導入して自動化を図っている。当社は機械メーカーと連携し生産ラインと相性が良い食品容器の開発を進めている。昨年の展示会「エフピコフェア2024」では機械と容器をセットで提案した。今年からスーパーで導入が始まる。 一方、食品包装業界でも人手不足の影響が及んでいる。後継者問題の相談を受けて23年には九州で包装資材問屋を営むアペックスをグループ化し、今年は前橋包装の包装資材卸売事業を譲り受けた。今後も当社とのシナジーが見込める案件があれば事業買収を検討していく。
―新規需要で注目する市場は。
病院や介護施設の給食だ。経営悪化や人手不足で施設内での作業が難しく合理化や効率化が求められている。

  • 日東紡・・・ガラス繊維、電子材料向け増産 福島と台湾で順次
  • ADEKA・・・半導体材料、30年度売上高1100億円に 後工程へ領域拡大
  • クラレ・・・研究センター新設 年内にも具体化
  • 出光興産・・・固体電解質量産へ
  • 横河電機・・・「40年の未来シナリオ」白書を公開

石化専業で効率重視の経営を志向 新スタート切った クラサスケミカル

新しい価値観を創造 今秋メドに本社事務所移転
クラサスケミカルは1月1日付でレゾナック・ホールディングスから正式に分離・独立し、同社100%子会社の石油化学専業メーカーとして新たなスタートを切った。2年後をメドにしている株式上場に向けて、事業体制の整備と社内の一体感を醸成して、自らの成長戦略を推進していく。厳しい事業環境が続くなかにあって、福田浩嗣社長は「効率性を重視し利益の上積みを図る施策を推進していく」と強調する。

福田浩嗣社長

1月17日、クラサスケミカルは東京在勤の社員を一堂に集め、発足式を開催した。これまでの石油化学事業部の社員に、新たに加わった人事、総務、財務、ITなどコーポレート系の社員が一堂に会し、「まずはお互いの顔と名前を覚えてもらう」(福田社長)ことを主な目的に新会社のスタートを祝った。
福田社長はかねて社員に向けて「会社は安全で安心な環境で皆さんが幸せと充実感を感じながら働ける場を提供する。皆さんは積極的に意見やアイデアを発信し新しい価値観を創造してほしい」と語りかけてきた。同社社員のモチベーションは一段と高まっている。
現在、従業員数は850人規模。4月にはレゾナックで採用した新入社員の一部がクラサスに配属され、その後はクラサス独自の採用活動を行い、26年の入社組からは同社初のプロパー社員が誕生する。総勢約900人の陣容で石油化学の厳しい戦いに打って出る。
社員一丸で新パーパス 明日のくらしを化学で支える
高純度アリルアルコール、供給体制一段と強化 環境負荷低減 技術実装を加速
ライセンス、新たな収益源に育成
25年コア営業利益、105億円は必達目標

高付加価値誘導品、ライセンス、外部連携で競争力をさらに高める

トラブルレスで安定安全操業を続ける大分のナフサクラッカー

 

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  • 合成ゴム・・・原料安で値下がり 2~4月 5四半期ぶり下落
  • 中国CPL・・・昨年中国生産25%増 ナイロン需要も好調
  • カーボンブラック協会・・・カー黒需要、今年は微増予測 2025年カーボンブラック需要見通し
  • ENEOSマテリアル・・・川崎の石油樹脂 生産停止を検討
  • 積水化学工業など・・・風車塔にPSC 実証試験を開始
  • 住友化学・・・メチオニン世界販売 全量を伊藤忠に移管
  • ダイセル・・・「技術大学校」設置 グループ統治強化
  • 日本ゼオン・・・富山・万葉線車両にラッピング広告開始
  • 財務省貿易統計・・・2025年1月石化品輸出実績、2025年1月石化品輸入実績
  • 日本プラスチック板協会・・・1月の硬質塩化ビニル平板生産出荷実績、1月のポリカーボネート平板・波板生産出荷実績、1月の硬質塩化ビニル波板生産集荷実績
  • 日本化学繊維協会・・・1月の合成繊維生産・在庫量
  • 日本化学繊維協会炭素繊維協会委員会・・・複合材料セミナー 回収再生新技術も
  • クレハ・・・塩酸を1日出荷分から1㌔㌘10円以上値上げする。

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日本化薬・・・高周波基板向けの拡大 新樹脂3品投入

低Df、固定を提案

日本化薬は高周波基板用の拡大に向け、低誘電正接(低Df)などを特徴とする新樹脂3品目を相次ぎ上市する。マレイミド系樹脂は既に展開中の「MIR―3000」に続き、より低Df(10㌐㌹で0・002)の「MIR―5000」と、MIR―3000の固形タイプを投入する。さらに低Df(同0・0015以下)の炭化水素系樹脂も近く投入する計画。3品目で通信システムの高速化に伴う需要を幅広く取り込む。

  • 大倉工業・・・広幅光学フィルム、液晶偏光板向け拡販 新ラインもフル稼働
  • トクヤマ・・・PVパネルリサイクル 事業化を加速 量産技術にメド 道内で提携先開拓
  • サンノプコ・・・木粉配合ウレタン、JALが試験採用 28年に3.5億円売り上げ
  • 住友化学・・・大阪工場、先端レジスト 評価設備を拡充
  • ハイケム・・・CO有効利用技術 中国企業と合弁設立
  • 三井化学・・・川崎市に共創ラボ iCONMと設置

    共創ラボの運営メンバーが2月7日、福田紀彦・川崎市長(中央)を表敬訪問した

    三井化学と川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)は、世界中の人々が自律的に健康になる「しなやかな健康社会」の実現に向けて組織共創型の共同研究を行う「MCI―iCONM 共創ラボ」を設置した。 共創ラボは同市川崎区殿町にあるiCONM内に元日付で開設した。開設期間は30年3月まで。「超早期に自分の身体の状態を把握できる手法と、自分自身がよりよくあるための適切な選択肢の提供に資する技術開発の促進」を目的に、ナノテクノロジーを活用したモダリティー(治療手段)領域で共同研究を実行し、その社会実装に向けて事業スキームの創出に取り組む。

  • 三菱ケミカルグループ・・・植物由来プリプレグ ISCC認証を取得
  • 日清紡テキスタイル・・・ポリウレタン繊維 GRS認証を取得
  • 日本ゼオン・・・SAF開発新興に出資
  • PSジャパン・・・「ガンプラ」に再生PS採用

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