プロパン・ブタンニュース

新年特集号 第1部

コロナ禍を超えて前進するTOKAIグループ

着実に進む次世代対応 HD10周年へ、リソース強化も

コロナ禍を越えて前進するTOKAIグループ

2021年の幕開けは新型コロナウイルス感染症の第3波のまっただ中で明けた。コロナ禍は〝新常態〟という言葉通り、社会生活全般の在り様を大きく変えることにもなった。政府によるワクチン確保など希望が持てるニュースもあり、一部産業では回復の兆しもあるものの、経済への打撃とその影響はじわじわと表れ始めている。仮にコロナが沈静化したとしても元通りの日常に戻れるのかは不透明だ。だからこそ、この環境変化、新常態にいち早く、柔軟に対応していくことが求められている。今年4月に発足から10年の節目を迎えるTOKAIホールディングス(本社・静岡市、鴇田勝彦社長)を軸とするTOKAIグループは、記念すべきメモリアルイヤーにあって、未曽有の事態にも立ち止まることなく前へと進んでいる。生活インフラ、特にインフラ事業の一翼であるエネルギー部門を担うTOKAI(本社・同、小栗勝男社長)では、途絶えさせられない供給事業だけでなく、グループが掲げるTLC(トータルライフコンシェルジュ)の提供―顧客に対するソリューション提案についても、次世代技術の実装を目指す「ABCIR+S(アブサーズ)」、独自のDMPプラットフォーム「D―sapiens(ディーサ)」、さらにグループが持つ多彩なリソースを活用しながら新時代への進化を遂げようとしている。

  • 流通段階別の天気図/本紙予想
  • 経営トップに聞く・・・エネルギーの自由化により従来の枠組みが変化するなか、昨年来のコロナ禍の影響でその動きはさらに加速している。ニューノーマル時代にはウェブ会議、非接触型営業、自動検針といったシステムやIoT技術の活用が求められる。脱炭素への対応も迫られている。そうしたなか、総合エネルギー企業化や物流の合理化、顧客囲い込みなどの課題に有力事業者はどのような戦略で挑むのか。経営トップに「2021年の新戦略」を聞いた。
  • エネルギーを巡る変化と新たな新潮流・ 電力自由化=容量市場失敗 制度設計の見直しも・ 再生可能エネルギー=22年度からFIP制度 ノンファーム型接続開始・ グリーンLPガス=産・官・学で技術革新 脱炭素時代の存在感模索・LPWA動向=社会実装着実に進む 企画共通化など課題も
  • 独自企画「業界版ヒット商品番付」
  • 独自調査「2021年初場所大相撲番付」LPG編
LPガスGHPで強靭化 和歌山県業界、常設提案に拍車

有田川町本庁舎 氷蓄熱空調を燃転 発電機に加えバルク導入

LPガスGHPで強靭化

近畿地方は近年、自然災害が相次いでいる。特に2018年9月に上陸した台風21号は強風をもたらし、広い範囲で配電機能に影響を与えた。関西電力管内で延べ1300本以上の電柱が折損、延べ220万件近く給電が止まり1995年の阪神・淡路大震災に次ぐ停電規模になった。和歌山県内では17万件が停電。台風襲来から1週間後も田辺市、有田川町、紀美野町などで約3千件が復旧しなかった。同年9月末に襲った台風24号でも県内6万6千件が停電した。災害は文字通り「いつ」「どこで」生じても不思議ではない。国や地方自治体は東日本大震災以降、自然災害に対する国土強靭化計画を策定した。有事に備え、行政を中心にLPガスを熱源とする空調、非常用発電機、災害対応バルク供給システムの導入が進んでいる。

新年特集号 第2部

WLPGA「e-LPGウイーク」

脱炭素・デジタル化に対応

WLPGA「e-LPGウイーク」
脱炭素・デジタル化に対応

世界LPG協会(WLPGA、ヘンリー・カボン理事長)は昨年11月2~6日の5日間、初のオンライン大会となる「e―LPGウイーク」を行った。WLPGAは同期間に第33回世界LPGフォーラム・ドバイ大会を中心としたイベントとして「LPGウイーク」を実施する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期したことを受け、初の試みとしてオンライン形式に変更して行った。開会あいさつでカボン理事長が「脱炭素化」「デジタル化」をキーワードに挙げるなど、今後のLPガス産業の展望を示唆するセッションが多数行われた。石油化学新聞社/プロパン・ブタンニュースはメディア・パートナーとしてe―LPGウイークに参加、同イベントの概要をレポートする。(延期したLPGウイークは今年12月5~9日の日程で行われる予定)

  •  地域ブロック別の課題と展望・・・存在感高める年に、ブロック別市場の課題と展望 昨年は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)が社会・経済活動を一変させた。コロナ禍が継続するなか、LPガスは平時でも災害時でも地域を支えるインフラ産業としてどう存在感を高めていくか。ブロック別の課題と展望を探った。
  •  輸入価格・為替レートの推移
  •  元売・大手ディーラー今年の戦略・・・新常態や環境対応課題解決へ業界牽引 昨年の今ごろは米国からの調達本格化に伴いLPガスの原油熱量換算比が等価を下回り、他燃料に対する競争力が増すとの期待があった。しかし新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で様変わりした。原油・石油製品が移動制限の影響を受け続ける一方、LPガスはインドなどの大型消費国で家庭用需要増が発生していることから全体として堅調に推移しているようだ。当初はコロナ影響のインパクトで覆われたパリ協定発効年としての環境対応は、経済と環境の両方を実現するグリーンリカバリーの欧米を中心とした機運の高まりが日本にも対応強化を突き付け、秋には菅義偉首相による2050年CO2ゼロが宣言された。コロナによる新常態やCO2削減問題に向けては業界としてもまだ模索の段階だ。元売各社に今年の方針を聞いた。
    質問事項❶国際需給や価格、為替の見通し❷需要開発、物流、料金透明化、保安高度化、自由化など諸課題への対応❸グループ販売戦略の基本方針と各分野の具体的な進め方❹IMO規制や脱・低炭素化の影響と対策
  •  独占企画「2021年初場所大相撲番付」都市ガス編
  •  需要開拓/最前線ルポ・・・制約はね退け需要を喚起 最前線ルポ 昨年はコロナ禍により、LPガス事業の強みである顧客と直接会うことが制限された1年だった。一方、巣ごもり需要の影響で家庭用需要と機器販売は一定の成果を上げ、継続商売の中で積み重ねてきた信頼と実績が実りにつながった。コロナ禍が一段落しても、引き続きSNSなどを活用した非接触型営業が求められるだろう。こうした状況下で趣向を凝らして機器を拡販し、LPガス需要を開拓している事業者をクローズアップする。

新年特集号 第3部

GHP標準化を促進

アイシン精機

GHP標準化を促進 アイシン精機

地震、台風、集中豪雨、さらには夏場の猛暑など毎年大きな自然災害に見舞われるここ数年の日本にとって、熱中症対策、BCP対策、レジリエンス強化は年を追うごとに重要性を増し、行政や教育機関、企業など各方面で意識が高まってきた。こうした「非常事態」への対応策として、省エネ性と快適性に優れ、公共施設や学校普通教室などの現場で活躍するGHPへの関心が高まっている。1台で複数の室内機を運転し必要な部屋だけを個別空調できるビル用マルチから、停電時でも空調や電気が使用できる電源自立型まで、現場のニーズに応じて選択できる豊富なラインアップも魅力の一つだ。アイシン精機は昨年、さらなる高効率化を実現した「エグゼアⅢ」を4月に発売し、世の中のニーズに応える商品提案力を一段と高めた。GHPが注目度を増すなか、その機運をさらに確実なものとし、今年も拡販へつなげていくため、設備を導入したことで課題を解決し快適な環境を手に入れた採用先の事例を紹介する。

  • 新春座談会「ウィズコロナ、アフターコロナのGHP販売」・・・石油化学新聞社は昨年12月2日、新春GHP座談会「ウィズコロナ、アフターコロナのGHP販売~優秀販売事例から探るGHP提案~」を行った。この座談会は、本紙の新年特集企画として毎年実施してきたが、今回は新型コロナウイルス感防止のため、初めてオンラインでの座談会となった。GHPの販売は猛暑対策として実施した公立小中学校普通教室全室冷房化により、2019年度の販売台数は約4万台まで増加した。20年度は教室空調化もほぼ終了し、前期のうちから特需後の新たな需要創出に取り組んできた。一方、春先からの新型コロナウイルス感染症拡大は、GHP事業にも大きな影響を与えている。こうした状況を踏まえ、本座談会では2020年度GHP・マイクロコージェネ販売事例論文コンテストで上位賞を獲得した受賞者の販売事例を参考にしながら、2021年からのウイズコロナ、アフタ―コロナでのGHP成長戦略について意見交換した(発言者敬称略)。
  • 2021年版GHP・コージェネマップ
  • GHPの需要動向と展望 コロナ後のV字回復へ新たな戦略を・・・2020年9月期のGHP国内販売台数は2万5710台(前期比10・7%減)、容量ベースで61万2105馬力(同11・9%減)だった。内訳は都市ガス仕様機が2万5710台(同9・7%減)、48万8973馬力(同10・9%減)、LPガス仕様機は6518台(同14・5%減)、12万3132馬力(同15・7%減)となり、ともに前年を下回った。公立小中学校普通教室全室空調化が20年3月ごろにほぼ終了し、特需の増加分をカバーできなかった。9月以降は新型コロナウイルスの影響が拡大しており、特に21年1~3月の販売は厳しくなると思われる。コロナ禍を耐え抜き、アフターコロナにおけるV字回復を達成する確かな戦術が求められる。
  • 2021GHPメーカーの商品戦略 複合災害対策の強い味方・・・公立小中学校の普通教室の全室空調化が一服したが、新型コロナウイルスの感染拡大で、各省庁で空調や換気設備の導入を補助する動きが出てきた。加えて、感染症も含めた複合災害への対策が重要性を増し、避難所へのGHP導入の意義は一層高まっている。こうした社会的要請に応えつつ需要開拓を図ることができるのも、メーカーが心血を注ぎこみ、開発した機器やシステムがあればこそ。複合災害対策の強い味方となる各メーカーの、2021年の商品戦略を紹介する(アイシン精機は29面に掲載)。

最近の記事一覧プロパン・ブタンニュース一覧