総合面
20年度LPガス販売量、8.4%減の1294万3312㌧
家業用は下期回復し微減に
日本LPガス協会(小笠原剛会長)によると、2020年度の国内LPガス販売量は1294万3312㌧で前年度比8・4%減となった。休業要請や時短の影響を受ける業務用が含まれる家庭業務用(1・4%減)と工業用(6・8%減)は比較的減少幅が小さかったが、自動車用の32・5%減、化学原料用の23・6%減が響いた。新型コロナウィルス感染症の影響と見られる上期全体12・9%減の落ち込み幅を下期は4・8%減まで圧縮したが、影響は長期化している。LPガス資料年報によると、販売量が1300万㌧を割ったのは1977年度以来44年ぶり。
ニチガス、ガス量減少をEVの家庭充電で吸収
CN時代の方向性示す
ニチガス(本社・東京、和田眞治社長)は17日、投資家向けに事業説明会を開き、各家庭での電気自動車(EV)充電需要によりガス消費減を補うなどとした、カーボンニュートラル(CN)時代の方向性を示した。充電ポートの提供へ東京電力と準備を進めており、CO2削減と電気売上増の両立を目指す。
岩谷産業・間島社長、オールイワタニで脱炭素社会の実現目指す
IGWは普及本格化
間島寬・岩谷産業社長は、17日にウェブで行った2021年3月期決算発表で、カーボンニュートラル(CN)対応について「水素を中心に大きな事業戦略を適時開示しながら投資も積極的に行っていく。また、グループが持つ総合エネルギー、マテリアルなどグループが持つ〝オールイワタニ〟で脱炭素社会の実現を目指していく」とする方向性を強調した。
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首都圏版
エネアーク関東会、6月から独自キャンペーン「エネ・ジョイ」カップ展開
創造と変革で増販競う
エネアーク関東(本社・東京、関谷賢二社長)の販売店会、エネアーク関東会(土橋克美会長)は6月~11月にかけ、独自の販売キャンペーン「『エネ・ジョイ』カップ2021」を展開する。「創造と変革で新しい未来へ~人のつながりを大切に、創造力豊かに新時代を翔けぬけよう~」がスローガン。「ガス増販」「機器増販」の各部門でポイントを積み上げ、総合グランプリを競う。
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<賢者の英断>ある地場卸の決断①、会社の将来見据えて
M&A後も経営者は続投
M&Aの中には、譲渡後も自身が経営者として会社に残るケースがある。見通しが立てにくい世の中で、会社の将来を考えた時、どのような決断が正しいのか。日本海に面する県に所在するX社のA社長の決断に迫る。
地方版
北海道=小中学校家庭教室でこんろ更新運動に動き
道協十勝 行政提言に必要性記載
北海道LPガス協会十勝支部(笹井祐三支部長)が提唱してきた家庭科教室の安全装置のない旧型こんろ取り替え運動に動きが出てきた。毎年春に、帯広商工会議所が国や道、市に行う政策提言に「交換を検討する必要あり」と記載された。中心となって動く日下悦克副支部長も今後の動向に期待する。
東北=泉金物産 新生「山田営業所」が竣工
震災乗り越え地域復興に全力
写真㊤三陸鉄道陸中山田駅近くに再建した 写真㊨八重樫政泰社長㊧八重樫義一郎会長
東日本大震災から10年。泉金物産(本社・盛岡市、八重樫政泰社長)が津波で全壊流失した岩手県山田町の山田営業所を再建した。町内の旧充填所の事務所を営業所にして被災地の復旧を支えてきたが、節目の今年、町の中心部に再び営業所を構え、地域社会の再興に腰を据えて取り組んでいく覚悟だ。8日に現地で竣工式を行い、10日から営業を開始した。
町中心部に浸水域避け
宮古市以南の営業強化
震災前の営業所は、海岸から200㍍の場所にあった。津波の直撃を受けて流失したため、町の中心部から離れた同町山田の旧充填所事務所に仮事務所を開設して営業を再開。そのまま10年間、そこを山田営業所としてきた。
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中部=サーラグループ、ウェブサービスを集約
「サーラのアプリ」でより便利に
サーラコーポレーション(本社・豊橋市、神野吾郎社長兼グループ代表・CEO)を持ち株会社に46社で構成するサーラグループは、iPhone、Android用アプリケーション「サーラのアプリ」=写真=を6日にリリースした。
サーラグループが提供する顧客向けウェブサービスを一つにまとめたもので、①サーラのガス・電気、住まいに関することなど各種サービスへの申し込みや問い合わせ、予約相談などの手続き②ガス・電気、宅配水など利用中のサービスの毎月の使用量(使用履歴)・料金、サーラカード(同グループが発行するクレジットカード)の決済で貯まるポイント残高の照会③キャンペーンやイベント情報、キッチンやこんろのお手入れ方法など暮らしに役立つ情報の取得―などがスマートフォンで簡単で便利に行える。
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九州=ダイプロ、本社で使う電力を100%再生エネ由来に切り替え
年42㌧の排出削減効果
本社ビルで年間約42㌧のCO2排出量削減を見込む
ダイプロ(本社・大分市、小野日出明社長)は4月1日から本社ビルで使う電力を100%再生可能エネルギー由来に切り替えた。トラッキング付非化石証書を活用し年間約42㌧のCO排出量削減効果を見込む。政府が打ち出した2030年度温暖化ガス排出を13年度比46%削減する方針に対応した。
住設・新技術
ホクエイ、容器流出をホルダーで防止 水害対策で6月発売
大型メーター用架台・BN吊り金具も
容器の浮上や横倒しを抑え流出を防ぐ「容器ホルダー」
ホクエイ(本社・札幌市、佐々木隆二社長)は6月、「容器ホルダー」「大型メーター用架台」「BN吊り金具」を発売する。
容器ホルダーは豪雨や洪水災害による容器の浮上と横倒しを抑え、容器流出を防止する水害対策製品。容器流出防止を巡っては6月をメドにLPガス保安規則と例示基準の一部が改正され、ベルトなどで家屋に固定する転倒防止に加え、1㍍以上の浸水が想定される地域ではベルトが外れにくい固定金具の使用や、容器収納庫での保管が求められる。新製品は50㌔㌘容器の浮上を防ぐため容器の頭上にレバー開閉式のふたを備えており、返しの付いたフック形状に付属の容器ベルト2本を固定することで容器の横倒しも防止する。
シナネン「ゼオミック」銀系無機抗菌剤
新型コロナ減少率99.9%以上を確認
シナネンホールディングス(本社・東京、山﨑正毅社長)の完全子会社シナネンゼオミック(同・名古屋市、村尾睦明社長)は、銀系無機抗菌剤「ゼオミック」の抗ウイルス機能について、ゼオミックを練り込んだプラスチックが新型コロナウイルスを99・9%以上減少させる効果を持つことが確認されたと発表した。
ゼオミックがコーティングだけでなく、製品ニーズの高いプラスチック(ポリプロピレン、ABS樹脂)への練り込み用途でも適用できることを実証した。実験は一般社団法人日本繊維製品品質技術センターの協力で昨年12月~今年3月に実施した。
GHPとコ・ジェネ版
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広がる学校体育館へのLPガスGHP
全国の導入事例紹介
全国の導入事例紹介
現在、GHPの有力な設置先ターゲットとなっているのが学校体育館だ。体育館への空調機導入は東京都が先行したが、自然災害が頻発していることから、徐々に全国に広がってきた。近年の自然災害は激甚化しており、去年7月の豪雨では九州から東北までの広い範囲で水害が発生し、9月の台風10号では九州各地で暴風・豪雨による被害があり、大規模停電も発生した。避難所には 非常用電源、空調機、煮炊き用エネルギーは必須であり、その点で、分散型エネルギーであるLPガスは最適なエネルギーであり、LPガス仕様GHPは体育館に最適な空調機といえる。災害対応バルクと電源自立型GHPをセットで導入すれば避難所のニーズを満たすことができ、非常用発電機を設置すれば、より大きな電力の使用が可能となり、標準タイプのGHPも使用できる。そもそも、停電時にEHPを稼働させるには大型発電機の設備が必要なので、設備費が圧倒的に高くなり、ランニングコストもLPガスが有利になる。2020年以降に本紙が報道したLPガス仕様GHPの導入事例を紹介する。
<特集>名古屋支局開設65周年
名古屋支局開設65周年 進化する中部のLPガス
=主な紙面=
☆未来へ~わが社の経営戦略 (12~14面)
☆中部6県協会長に聞く (15面)
☆大府市立中学校体育館GHP導入事例 (17面)
☆次代へ躍進/若手経営幹部座談会 (18~19面)
☆新たな手法で事業領域拡大 (20面)
石油化学新聞社名古屋支局は今年、開設65周年を迎えた。業界草創期からプロパン・ブタンニュースを通じ中部業界とともに歩み、市場の変遷を報道し続けてきた。今、世界は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、働き方や生活様式など従来の習慣を変化させニューノーマル(新常態)へ移行しつつある。LPガス業界でも業務の効率化や顧客接点活動にAIやIoTなど次世代技術を取り込む動きが活発化してきた。また地震や台風、集中豪雨など自然災害が頻発し大きな被害をもたらすなか、レジリエンス対応が重視されるようになり分散型エネルギー・LPガスの評価が高まっている。企業の事業継続計画(BCP)対策や災害時に避難場所となる学校体育館、公民館、病院施設などに必須のアイテムとしてLPガス発電機や空調設備に強い関心が寄せられている。これからの時代はSDGs(持続可能な開発目標)や新政府目標の「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」への対応が求められる。石油化学新聞社名古屋支局は65周年を迎えるにあたり「次の時代へ進化する中部のLPガス」をテーマに、中部日本のLPガス事業者が激変する市場で存在感を発揮するためどう進化していこうとしているのか、多方面から焦点を当て取材した。
- 明和プロパン(三重県明和町)
地域の中心的存在に
割引制充実懸賞企画も 顧客の半数、毎月来店
- ガスコムノムラ(南砺市)
GHP販売余念なく
衣類乾燥機にも手応え
未来へ~わが社の経営戦略
・東邦液化ガス(名古屋市)=揺るがぬ信頼・安心提供
・北日本物産(富山市)=生活支援事業者めざす
・サーラエナジー(豊橋市)=「暮らしのSALA」へ
・日本ガスコム(豊橋市)=ソーラーシェア積極化
・ニイミ産業(春日井市)=選ばれるエネルギーに
・マルエイ(岐阜市)=快適な生活を総合提案
・日本海ガス(富山市)=新築宅にエネファーム
・名古屋プロパン瓦斯(名古屋市)=流通改善へ現場合理化
・上野ガス(伊賀市)=ライフライン事業拡充
・新日本ガス(岐阜市)=社員・顧客と始める未来
・フジプロ(知立市)=災害対応力で地域貢献
・石井燃商(四日市市)=業務効率化へAI導入
・三谷産業イー・シー(野々市市)=来期4万件達成目指す
・福井ツバメ商事(福井市)=人材力で地域盛り上げ
・高岡ガスサービス(高岡市)=工事力生かし顧客開拓
・関西プロパン瓦斯(津市)=リフォームと介護拡大
・共栄液化ガス(中津川市)=ガス外商材で接点創出
・マルヰ(加賀市)=電力増客 異業種連携も
・中村燃料店(高岡市)=SDGs対応を積極化
・松屋(蟹江町)=感謝を形に100年企業へ
発展へ総力結集 中部6県協会長に聞く
・愛知県・後藤庄樹氏=BCPや情報発信強化
・三重県・中井茂平氏=「中核」訓練第2段階に
・岐阜県・澤田栄一氏=脱炭素テーマに勉強会
・富山県・東狐光俊氏=ふれあいサポート継続
・石川県・山本久雄氏=低廉化へ無償配管排除
・福井県・渡辺一正氏=業務用事故撲滅へ全力
電源自立GHP災害対応バルク 大府市、全4中学の体育館に
生徒の熱中症予防 避難所機能を充実
地元協組の提案実る
愛知県は海抜高度の低いエリアが多く、台風など水害の危険性が非常に高い。将来的には南海トラフ巨大地震のリスクも懸念される。一方、国内製造業の中枢として脱炭素化に向けた取り組みにも注目が集まる。近年、岡崎市や知立市、津島市などとともにLPガスの災害対応力や環境負荷低減の強みを高く評価しているのが大府市だ。小中学校へのGHP導入や地元大学との連携など、災害時の避難所として地域住民を受け入れる学校体育館への空調設備導入を積極的に進めている。
ゼロカーボンめざす
災害に強いLPガス 環境負荷低減も評価
大府市の防災への取り組みを語るうえで大きな教訓となったのは2000年9月に発生した東海豪雨だ。水害の恐ろしさを思い知らされた。あの豪雨から既に20年以上が経過した。市ではその教訓を生かし、大雨の際に大量の水が急激に川へ流入するのを防ぐため、調整池の整備や農業用ため池を活用した治水などの総合治水を行っている。市民の皆さまが自ら災害に備えられるよう書き込み式の大府市防災ガイドブックを作成し、全戸に配布している。大府市に気象警報が発表されると職員を緊急招集し市役所には災害対策本部を設置、公民館と石ヶ瀬会館に災害対策本部を開設して万全な対応を図っている。
石油化学新聞社名古屋支局は「次の時代へ進化する」をテーマに、中部地区の販売事業者で次世代を担う若手幹部によるリモート座談会を開いた。愛知、岐阜、三重、富山、石川、福井の各県を代表して6人が出席、中部業界への思い、目指す企業像、強化する事業領域、デジタル化対応など、コロナ後の新常態に向けて意見交換した。
エネルギー間競争が激化し、オール電化攻勢や都市ガスへの切り替えなどLPガス事業者を取り巻く環境は厳しさを増している。こうしたなか生き残りをかけて需要喚起策を推進したり、新たな事業領域に進出し世の中のニーズを満たす企業へ進化を遂げようとする動きも見られる。そうした先進事例やユニークな取り組みの一部を紹介する。
事業領域拡大に挑戦
・大陽日酸エネルギー(蟹江町)=「エネルなび」で多彩な情報発信
・ソバーニ(名張市)=看護師・保健師の資格保有 暮らし周り一手に
・プロシード(豊川市)=野菜や果物を生産 体験型農場を開園
・セシタ(金沢市)=ガスの魅力を歌で訴求 業界イメージ向上に一役