石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

上野製薬・・・LCP、四日市で新系列稼働

5年内にはフルへ

上野製薬は、液晶ポリマー(LCP)「UENO・LCP」で四日市工場(三重県)に年産1250㌧の新系列を完成、試運転や顧客評価を経て9月から商業生産を開始した。伊丹工場(兵庫県)に続く生産拠点であり、新系列の稼働によってトータルの生産能力は5割増の3750㌧に拡大し、BCP対応も可能になる。民生機器の電気・電子部品向けを中心とした既存用途の需要増に対応すると同時に、低誘電特性を生かした高速通信関連などへの展開も加速する。早ければ5年内には両工場でのフル稼働を実現したい考え。

  • AGC・・・ウレタン粘着剤、皮膚貼り付け用開発 ウエアラブル機器向け
  • 昭和電工マテリアルズ・・・EBITDA、売上高1兆円で20%へ 新社長に髙橋秀仁氏
  • 石油化学工業協会・和賀昌之会長・・・「石化は安定稼働」 自動車減産の影響小さく
新 話題とその人  トクヤマグループの環境ビジネスコアを担う

アストム社長 柳 裕之氏

アストム・柳裕之社長

アストム・柳裕之社長

世界市場見据え成長へ
HC系イオン交換膜で攻勢
「環境分野向けの事業展開が急速に拡大している。しかもターゲット市場は中国をはじめとしたグローバルだ。流れは来ている。当社はトクヤマグループにおける環境ビジネスの中核を担い、同時に海外売上比率の向上に貢献したい」
トクヤマ55%と旭化成45%出資による炭化水素(HC)系イオン交換膜と電気透析装置メーカーのアストムがここにきて急成長を遂げている。同社の舵を取る柳社長は、前職でアストム取締役製造・技術部長を務め、また長く研究開発畑に携わってきた技術者だ。アストムの持つ高度な技術力と長年にわたる実績、さらに顧客ニーズに膜と装置のトータルソリューションできめ細かく対応する企業風土とマッチし、市場からのフォローの風を上手く乗りこなしているようだ。

<特集>力強く需要回復進む合繊原料

各製品の市場動向と展望
合成繊維原料は、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ需要が力強く回復している。特にコロナ禍からいち早く復調した中国の需要は20年も10%前後の成長を記録し、世界市場をリードした。中長期的にも市場が拡大し続けるのは間違いない。一方、生産設備の新増設ラッシュで競争環境は厳しさを増している。メーカーは技術力やコスト競争力の強化が一段と求められている。各合繊原料の市場動向などをまとめた。

パラキシレン(PX)

  • 21年需要 前年並みか微増予測
  • 新設装置 原油不足で低稼働
  • 主なPX新増設計画

高純度テレフタル酸(PTA)

  • 21年アジア設備稼働率 87%程度まで低下か
  • 中国 メーカー集約の動きも
  • PTA新増設計画

カプロラクタム(CPL)

  • スプレッド 21年は3年ぶり拡大へ
  • 足元は調整局面 新設備稼働延期も
  • 世界のCPL需給バランス
  • CPL新増設計画

アクリロニトリル(AN)

  • 21年世界需要 10%増え過去最高に
  • 中国のABS樹脂向け好調

モノエチレングリコール(MEG)

  • 設備稼働率 60%台で長期推移か
  • 国内各社、価格改定を表明
  • MEG新増設計画

THE PETROCHEMICAL PRESS

  • 積水化学工業・・・CSR調達を強化 サプライヤー管理 資源循環に軸足
  • 出光興産・・・SPS、高速通信向け拡販 ミリ波帯で優位性
  • カセイソーダ国内価格・・・値上げ機運 コスト増、内外価格差が拡大
  • 石油化学工業協会・・・8月の石化製品生産実績、8月の汎用4樹脂の出荷実績
  • 旭化成・・・上海エナジーと合弁で LiBセパレーターを中国・江西省に新設
  • 宇部興産・・・9月のCPL
三洋化成工業・・・ペプチド農業ビジネス化

数年内に利益創出 30年メド100億円に

ペプチドを用いてキュウリの生育を促進。ブドウの機能性成分量向上へ実証実験も開始する

基本計画で会見する樋口章憲社長(左端)と金武祚・PFI社長(右端)。右から2人目が庄司直史氏

三洋化成工業は新事業創出のターゲットにアグリ・ニュートリションを設定した。コアの界面制御技術とバイオテクノロジーを駆使して農作物の生理活性を引き出す特定ペプチドを高効率に生産。これを起点に効率的な葉面散布技術や土壌診断システムなどと組み合わせたペプチド農業で新たなビジネスモデル構築を目指す。宮崎県新富町と連携協定を締結し来年1月から現地での実証研究に乗り出す。また、ファーマフーズ(PFI)と資本業務提携し、アグリ・ニュートリション基本計画を策定。農業の第6次産業化(生産から加工、流通・販売まで)とそのブランド化、ライセンスビジネスも視野に入れ、30年をメドに持続可能な農業システムの確立と100億円規模の利益創出を目指す。
三洋化成は10年以上前からタンパク質の研究に本腰を入れ、その技術は既にバイオ・メディカル事業における人工タンパク質「シルクエラスチン」などで生かされている。一方、ペプチド農業という着想に至ったのは約3年前。一般的に非常に高価なペプチドを農業分野に適用することは難しかったが、同社は得意とする界面制御技術を駆使し新たな低コスト生産技術を開発した。

  • 化学製品値上げ
    ・KHネオケム・・・オキソ類を40円以上
    ・出光興産・・・SPS10月から
    ・サンディック・・・OPSを12円以上

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