石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

ナフサクラッカー 5月稼働率 90 %割れ

多定修年で供給量に制限

2年ぶり低水準も内需は堅調
5月のナフサクラッカーの稼働率が2年ぶりに90%を割り込んだ。稼働率90%は石化業界の好不調の分水嶺とされるだけに、再び厳しい時代の訪れを予感させる。しかし、センター各社によると「石化品需要はコロナ禍の停滞局面から回復基調にある」とのことで、市況などの経済合理性に沿って適切なオペレーションに心を砕いているようだ。

新社長インタビュー

古賀源二社長

宇部エクシモ 古賀源二氏
「当社は親会社のUBEとともに3カ年中期経営計画をスタートし、24年度の数値目標として売上高160億円(21年度実績は約129億円)、営業利益10億円(約6億円)を設定し、ROSで6%以上を目指していく。UBEは『スペシャリティ化学を中核とする企業グループ』を30年の目指す姿としており、当社もグループの一員としてスペシャリティ化を追求し、今中計を足場づくりの期間として30年にはROS10%以上を実現したい。加工やゾル-ゲルなどの独自技術を生かして5G、xEVなどの成長分野に寄与する付加価値の高い商材を提供し、成長へつなげる」
4月1日付でUBEの古賀源二氏(前職は常務執行役員化学事業社長補佐)が宇部エクシモの社長に就任した。同社はUBEの完全子会社で工業製品、電子材料、機能樹脂、繊維、産業資材の5部門で電材、自動車・物流、インフラ・環境、農業・水産、衛生・生活といった用途に展開する。

  • 東洋紡・・・低誘電シート、5G基板向け開発 エポキシ硬化剤も提案
  • 三洋化成工業・・・UV硬化樹脂、硬くて曲がる新素材 ディスプレイ向けなど
  • ダイセル・・・神戸大学と産学連携 機能性食品素材やガス分離膜など研究・技術で交流
  • セーレン・・・新中計、24年度営業益150億円目指す 車シート用合皮が牽引
  • ユニチカ・・・ナイロンフィルム、インドネシア新設備は8月稼働

旭化成100周年 〝A―スピリット〟で未来を切り開け

旭化成は今年、創業100周年を迎えた。その間一度たりとも営業赤字を出さなかったのは健全な危機感と挑戦・変革を厭わない独立自尊の〝旭化成魂〟が脈々と受け継がれてきたからだ。マテリアル、住宅、ヘルスケアの3領域経営で30年に営業利益4千億円、ROIC10%以上、GHG排出量13年比30%以上を目指す。今年度から陣頭指揮を執る工藤幸四郎社長は「これは新たな成長に向けた通過点。当社は挑戦と変革を続ける」と強調する。人びとの〝いのち〟と〝くらし〟にサステナブルな要素を加え、未来を切り開く。

工藤幸四郎社長

次の成長へチャレンジ
30年に目指すありたい姿 新中計完遂は第一歩
――創業100周年の節目に新たな中期経営計画がスタートし、工藤さんは全社で共有する心構えとして「A―スピリットを呼び起こせ」と鼓舞されました。
「A―スピリットとはアニマルスピリットであり〝旭化成魂〟だ。もともとは99年に当時の広報室長(故・山中塁氏)が社内報のタイトルに採用し、当社の社風や文化、社員の気質を表すキーワードとして浸透させた。当社は財閥系企業ではないので自分自身が強くなければ生き残れない、という危機感や気概を常に持っていた。それこそがチャレンジ精神やリスクを取る勇気に裏付けられた旭化成魂だ。社風は自由闊達で、「さん付け」文化に代表される人と人との垣根が低いフラットな関係性、上司・部下とも活発に意見交換し、それを聞く力を持つ議論しやすい職場環境。かつては「野武士集団」とも称された。当社も日本国内で知名度が上がり、コングロマリット経営を適切にマネジメントしていることもあって、若い社員を中心に「安定・安心感のある大企業」というイメージが備わりつつある。それ自体は悪いことではないが、創業100周年を機に今一度リマインドしたいと考えた。それは私自身が「A―スピリットの意気や良し」と思っているからで、健全なる危機感やチャレンジ精神を呼び起こし、次の100年に向けた新たな成長と、スタートした中期経営計画の完遂を目指す。

旭化成100周年 環境ソリューション

専務執行役員事業本部長 小野善広氏

小野善広氏

石化系事業 AN、セパレータ強化
CO2ケミカル 技術ラインアップ拡充
環境ソリューション事業本部は、石化系のベーシックケミカルと次世代型のグリーンソリューション、グローバルに拡大するセパレータの3本柱で持続可能な発展を期す。共通するキーワードは「グリーン」で、これらを適切にマネジメントしていく。
石化系事業はCO2排出源でもある。これをグリーンに転換していくことが今後の重要課題であり、新しいスタート地点に立ったと認識している。サステナブルな社会を実現するうえで触媒をはじめとする化学の技術は極めて重要であり、これを事業として運営しているからこそイノベーションは生まれると確信している。

旭化成100周年 ライフイノベーション

専務執行役員事業本部長 山岸秀之氏

山岸秀之氏

デジタル関連 課題解決提案を強化
電子材料・部品 一体運営で競争力
ライフイノベーション事業本部はデジタルソリューションとコンフォートライフという二つの領域で生活者に主眼を置き、イノベーションを起こすことで、顧客が望む製品・サービスを提供することがミッションとなる。顧客に選ばれてこそ当社は事業化できる。顧客に選ばれる要因は何かを明確に意識している。 デジタルソリューションは、まさに新中期経営計画で掲げた「GG10」(次の成長を牽引する10事業)の一つだ。電子材料事業と、子会社の旭化成エレクトロニクスを含む電子部品事業を一体運営することでスピード感を重視し、日進月歩のデジタル社会のニーズに応える。

旭化成100周年 モビリティ&インダストリアル

上席執行役員事業本部長 桑葉幸文氏

桑葉幸文氏

成長加速 車内装材を牽引役に
コンパウンド 開発拠点を新設
モビリティ&インダストリアル事業本部は、その名が示す通りモビリティとインダストリアルという価値提供分野にフォーカスした事業を展開している。 モビリティ分野はマーケット環境が大きく変わるなか、当社グループが持つさまざまな技術・素材、優秀な「人財」、英知を結集し、安全・快適・環境にやさしい、次世代モビリティの実現に貢献することがミッションとなる。戦略推進部が事業本部の枠を超えた全社横断的な事業戦略を担い、日本をセンターとして欧州(ドイツ)、米国( ミシガン州)、中国(上海、広州)にもモビリティ関連の開発拠点を有し外部との連携も強化している。社内外のコネクトによりマーケットで存在感を発揮し、現在2500億~3千億円のモビリティ関連売上高を30年度には倍増させたい。

THE PETROCHEMICAL PRESS

ダイセル・・・銀ナノインク、新立地視野に増設検討

中国向け 提案強化 来年から本格採用

ダイセルは低抵抗な配線を可能にする銀ナノ粒子インク「Picosil」をプリンテッドエレクトロニクス(PE)の主要用途となるディスプレイや太陽電池の大型市場、中国向けに展開を強化する。既に複数の企業と実用化に取り組み一部は来年早々にも立ち上がる見通し。これをステップに顧客や用途を広げる。インクの量産体制は新井工場(新潟県)に確立済みだが、需要増を見据え25年度までの中期戦略ではBCP対応へ新立地を視野に入れた増設も検討していく。

  • 東ソー・・・金属薄膜材を倍増設 米で3年後完工
  • UBE・・・6月のCPL、20㌦高の2190㌦
  • 三井化学・・・AIシステムで新規用途を探索。 ポリオレ部分にリサイクル材 TPE新グレード
  • SABIC・・・電動化を支援 エコシステムで課題解決
  • AGC・・・素材開発効率化 MIを本格利用
  • プラスチック循環利用協会の会長に岩田圭一・住友化学社長が16日付で就任
  • 石油化学工業協会・・・5月の石化製品生産実績、5月の汎用4樹脂の出荷実績
  • 日本スチレン工業会・・・2022年5月受払表
  • 塩ビ工業・環境協会・・・5月のPVC、VCMの生産・出荷
  • 日本ABS樹脂工業会・・・ABS樹脂の5月国内出荷
  • 日本化学繊維協会・・・5月の合成繊維生産・在庫量
  • 化学製品値上げ
    ・昭和電工・・・グリシンを150円以上
    ・東ソー・・・ポリエスポリオール
    ・クラレ・・・PVBフィルム
    ・デンカ・・・PE配水管10%以上。 カーバイド4万円超
    ・出光興産・・・SPS樹脂50円以上
    ・東洋インキ・・・グラビアインキなど
    ・タキロンシーアイ・・・プレート製品など
    ・トクヤマ・・・カセイとソーダ灰
    ・信越化学工業・・・次亜ソー10円以上

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