(2002/2/25+3/4 プロパン・ブタンニュース)
| 石井晴夫・作新学院大学地域発展学部地域経済学科教授(ガス体エネルギー改革勉強会委員長)は十八日、千葉市・ペリエホールで開いた千葉県LPガス協会青年委員会の勉強会で「ガス体エネルギーの構造改革と新しいLPガス販売事業のあり方」について講演し、ガス市場整備研で提出された「ガス小売自由化のグランドデザイン」は、「全体的に都市ガスに偏った案である」などと指摘した。 |
石井教授の発言概要は次の通り。
@ガス市場整備研で提出されたグランドデザイン(井手案)は、規制緩和の方向を一見志向しているようにみえるが、実際に同案をLPガス販売事業者や簡易ガス事業に適用すれば、むしろ規制強化になってしまう
A当初から「ガス市場整備研」ではアンバンドリング(機能別分離)が論議されていたが、この案では全くといってアンバンドリングによる競争を提起していない。ガス体エネルギーとは都市ガス事業者のみではなく、LPガス事業者が置き去りになっている
B案では事業者区分を「一般ガス事業」「大口ガス事業」「ガス販売事業」とし、道路上のガス導管の所有の有無によってガス事業者を区分している。LPガス事業者のほとんどは「ガス販売事業」の範ちゅうに含まれることをここでは想定しているが、実際にはLPガス供給でもタンクやボンベから道路を一部占有して供給しているケースは多々あり、小規模導管の場合にも「一般ガス事業者」として改めて許可を取得しなければならない。
C供給区域も、グランドデザインでは「一般ガス事業者の導管から一定距離離れている地域では完全に自由競争となり」とあるが、ここでは一定距離の定義を明示しておらず、どのようなガス市場を想定しているか定かでない。
石井晴夫・作新学院大学教授の概要は次の通り。
【ガス小売自由化のグランドデザイン】(ガス市場整備研で提出された井手案)▽この案では事業者区分を「一般ガス事業」「大口ガス事業」「ガス販売事業」とし、道路上のガス導管の所有の有無によってガス事業者を区分している。LPガス事業者のほとんどは「ガス販売事業」の範ちゅうに含まれることを想定しているが、実際にはLPガス供給でもタンクやボンベから道路を一部占有して供給しているケースは多々あり、小規模導管の場合にも「一般ガス事業者」として改めて許可を取得しなければならない。
▽ガス小売自由化のグランドデザインを描く際には、今までの地域独占を基本とするガス事業に競争を導入することが目的である。そのためには、アンバンドリング(機能別分離)によって、貯蔵・製造・輸送(パイプライン)、販売(小売)を分離・分割し、誰でもが各部門に参入できるシステムを構築することが大切である。当初からガス市場整備基本問題研究会では、アンバンドリングが論議されていたが、この案では全くと言ってよいほどアンバンドリングによる競争原理を提起していない。
▽オープンアクセスによって、LPガス事業者もさまざまなガスを仕入れ、販売のビジネスチャンスを広げていく方向にある。
【供給区域について】グランドデザインでは「一般ガス事業者の導管から一定距離離れている地域では完全に自由競争となり」とあるが、ここでは一定距離の定義を明示しておらず、どのようなガス市場を想定しているか定かでない。
【段階的な改革の実施】ガス産業の動向や電力等の規制改革の状況等を踏まえて、段階的な制度改革を行うとしているが、こうした部分的な制度改革は、グローバル化が進展している今日では、不十分かつ一部の既得権益を残すことになり、グランドデザインの目指す目的には合致しない。もちろん、制度変更するための時間的猶予は必要であるが、部分的な改革で猶予のみを与えると、タイムラグが生じ誤った方向性に偏りがちになることも想定される。
【供給区域・供給義務】一般ガス事業者において未普及区域が返上されることになるので、人口増加や都市ガス事業に潜在可能性がある地域では、一般ガス事業者のマーケット対応が拡大する。
また、供給区域内の保護需要家への供給は、従来どおり当該区域を有する一般ガス事業者が独占的に供給することになる。従って、一般ガス事業者は従来からの供給区域には引き続きガスの供給が可能であり、さらに、未普及区域にもマーケットを拡大することができるようになる。
さらに、既存の簡易ガス事業者が一般ガス事業者に転換する場合には、例外的に供給区域の重複を認めることとするが、LPガスに転換した既存の簡易ガス事業者が新たに設備を設置して近隣の需要家にガスの供給を行いたい場合、設備の過剰性の問題をどのようにクリアしたらよいのか全く不明である。
【簡易ガス事業の廃止について】簡易ガス事業は一般ガス事業に統合させ、簡易ガス事業者の一般ガス事業者への身売りを公然と奨励しているが、今までの簡易ガス事業者のたゆまぬ努力と英知を全く無視したもので、需要家の考えや立場も全く理解していない。また、六十九戸以下の需要家に天然ガス供給が可能となるのか、その場合の法制度はどのようになるのか課題が山積みしている。
9項目の行動指針明示(石井・作新学院大教授の講演〈下〉)
■料金設定上の前提条件
1.競合エネルギー時代を迎えたLPガス業界の対応(政策的位置付向上への課題、供給脆弱性指摘への対応、元売・卸・小売の連係強化と経営基盤強化策等)2.クリーンな分散型ガス体エネルギーとしての需要開拓(燃料電池、マイクロガスタービンの技術開発と普及、先進型LPG車の普及、大型バスへの展開、DMEへの対応等)3.家庭からLPガスが支持され続けるためには(認知度と利便性を高める、料金の多様化・高度化を図る、ビジネスモデルの策定、公正ルールによる競争の確保等)。
■契約書と料金との関係
▽契約書ではLPガス料金を「標準料金」と「選択料金」に区分し、そのポイントを説明する。標準料金とは従来の基本料金と従量料金から構成される。選択料金とは標準料金とは別に顧客が選択できる料金メニューを個々のLPガス事業者が導入する場合の料金であり、都市ガスや電気料金の選択約款料金を想定している。
▽標準料金の従量料金は、消費量増や新規顧客獲得を目的とした選択料金メニュー化に結びつける▽供給設備の交換期間は十年(容器は二十年)、費用は基本料金で回収。顧客移動にともない契約を解除する場合は、供給設備未回収相当額を保証金として請求し、投下資本の回収を図る。
▽顧客の囲い込みのためにポイント制などの「インセンティブ付与」の制度を導入する。
■エネルギー産業のビジネスモデル
「経営の効率化」「営業力の強化」「事業の多角化」「環境への取り組み」がキーワード。目標は「費用対効果の検証」「収益力強化」「財務体質の改善」「社内意識の改革」など。
■今後の課題と展望
エネルギー間競争が一段と激化することが想定される中で、LPガス業界が今後とも発展・成長していくために、次のようなことを指摘したい。
▽第一はクリーンで安全・安心なLPガスを周辺分野を含めた■競争力のある製品■につくり変え、競合・ライバルエネルギーに打ち勝つため、販売店はお客様の■御用聞き■に徹する。
▽第二はマイクロガスタービンや燃料電池など新たな技術開発の積極的推進を図り、新しいマーケット(分散型電源・熱電併給)の創造によるLPガス市場の拡充と市場の安定的確保を実現する。とくに、分散型エネルギーの普及・促進を進め、地球環境に配慮したLPG車の普及・促進などを図る(グリーン購入法「特定調達品目」)に指定。
▽第三は充填所の統廃合、共同配送の改善、バルク供給の普及等による流通コストの削減と価格競争力の一層の強化を図る。LPガスの供給問題としては、中国やインドなどを中心とするLPガス新興国の需要増に対して、LPガス供給の減少や輸入価格の高騰などが挙げられる。このため輸入ソースの多角化や新規供給ソースの開拓が必要。
▽第四はLPガスと物性が類似しているDMEの開発と利用可能性の検討や機器開発の促進。
▽第五は業界の枠を超えた新たな提携(アライアンス)関係の構築や、M&A(買収・合併)などによる「規模の経済性」の発揮と企業体力の強化が急務。
▽第六は顧客との密接な関係(信頼の確保)を再構築することで、LPガス供給(販売事業)に付加価値を付け、ガス機器・器具の販売はもとより、メーター類のメンテナンス、パソコンのセットアップや生活関連用品の販売・配達など生活提案型のサービスを提供(「範囲の経済性」の実現)することが必要。新しいリフォーム・ビジネスの展開も含む。
▽第七はLPガス販売事業にとって従来にも増して関連分野への事業多角化が極めて重要、LPガス業界は「総合生活支援型産業」(総合エネルギーショップ)への脱皮を図る。
▽第八は顧客に対して積極的にLPガスの現状や自社情報の提供を行うことにより、顧客との密接な関係を構築する。同時にLPガス販売契約に対する自己責任の原則や消費者責任を明確にするなど消費者意識の改善を図ることが大切。
▽最後にLPガス供給の大切さ、重要性、利便性、地球環境への配慮等、その特性と優位性を積極的に社会にPRし、LPガスをより理解していただくために世論の形成を図ることが重要。
(終わり)