(2002/07/15 プロパン・ブタンニュース)
神奈川県LPガス協会会長 日本LPガス連合会副会長
菊池鴻逸氏
保安7項目 委託は間違いだった
日連副会長の菊池鴻逸さんは、平成5年このかた神奈川県LPガス協会の会長である。それに先立つ7年間は同県協会の副会長だった。首都圏の激戦区の神奈川県で日々生起する諸々の事件に真正面から立ち向かって対処してきた。また、日連にあっては平成9年に経済部会長に就き、同12年には「LPガス販売指針(LPガス取引適正化・料金透明化に関する自主ルール)」を著した。昨年、村瀬体制がスタートした岡山大会で村瀬体制をサポートする副会長就任の弁で、消費者と販売業者の間にギャップがある。業者がよかれと思って推進していることが、消費者サイドから見ると、そうでもないことがあるようだ。もっと顧客の中に入りこんで仕事をしなければ信頼をかち取れない。消費者が望んでいることは何か。どうしたら業界を理解していただけるか。真剣に考えていきたいと述べた。
今日のインタビューでもそこのところを立ち入って話してもらった。
お客が味方になれば切り替え業者は怖くない
保安業務7項目の委託は、日連としては盲点だった。緊急時対応にしてからが、日ごろLPGの供給をうけている店に電話をしたのに委託された所からやって来る。これで消費者は満足するだろうか。また、集中監視システムにしても一定の規模がなければ実現が困難である。卸主導の系列でなければ実現できない。しかしこれとても10社ほどが組めば設置できる。もっと時間をかけてゆっくりやるべきだ。そうすれば切り替え業者がやって来てもうちはここのところが違うとお客さんに説明ができる。消費者の側に立ってものを考えることができる。保安7項目を委託するのはLPG販売事業に愛着がないからだ。自分の商売の上にあぐらをかいてはいけない。消費者であるお客さんに分かってもらえるまで説得する。消費者が味方についていれば切り替え業者が巧言を用いても怖くない。これはLPG販売事業の原点だ。サッカーではないが、能力、気力、活力、自信をもってやろうではないか。切り替え業者は安い料金を提示してくるが、保安コストは無視されている。背広にも自動車にもグレードがある。当然、価額は違う。
「ためしてガッテン」のビデオ撮りに学ぶ
NHK放送の「ためしてガッテン」の「魚焼きグリル超活用術」は、全放映45分もの2本だったが、電気対策広報として効用が大きいとみて、これを20分のビデオに再編集をNHKに申し込み、製作の運びとなった。経済部会担当副会長としてその製作に立ち会ったが、その製作現場は過密なスケジュールのもとに徹夜作業をも厭わず細かい気の配りようには感心した。料理のビデオ撮りだから野菜をきざむ音の収録にまで注意を怠らない。傍らでその様を見るにつけわが業界も自分の仕事にもっと行きとどいた配慮が必要だと感じた。「ためしてガッテン」の魚焼きグリルのビデオは、競争エネルギーとして真っ向から対立している電気のIHヒーターに対してLPGの優位性をはっきりと見せる大変有効なツールだから各県協会で大いに活用してもらいたい。
電磁波は慎重なる回避を
前門の虎に後門の狼と言うが、差し詰めわれわれにとって虎は電力、狼は切り替え業者である。電力各社はIHこんろ、深夜電力利用の電気温水器をLPG消費者をターゲットに販売を強化してオール電化住宅を宣伝している。電力側は「電磁波問題」は“疑わしきは罰せず”の考え方である。これに対して最近、プロパン・ブタンニュースが作った「電磁波問題を考える」というパンフレットは、電磁波の“慎重なる回避”をめざして適切な解説をしている。同パンフレットは、世界がこの問題にどのように対処しているかを述べている。WHOは人々を電磁界から遠ざけるための施策を指摘。米FDAは携帯使用者の電波曝露が最低限になるよう業界に要請。スウェーデンでは最大2ミリガウスを目安に学校、保育園を移動。英国では16歳以下は携帯を控えるよう国が勧告。スイスでも磁界の規制値を10ミリガウスに設定している等を照会している。電磁波問題は地球環境問題のひとつなのだ。競合エネルギーである電気の「悪口」を言いたてるのではなく、各県協会がこの電磁波問題の勉強用パンフを消費者団体や販売業者に広めて正確な知識を普及することをお薦めする。
プロパン・ブタンニュース2002/7/15 ナリケンがゆく ウェーブ・風 話題と肖像画