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(2002/07/29 プロパン・ブタンニュース)


長野県LPガス協会会長 長野プロパンガス社長
長瀬輝夫氏
上田城の知将 電気にチャレンジ

 長野プロパンガスの長瀬輝夫社長を長野県上田市の本社に訪ねた。JR上田駅から車で15分も走れば上田市東塩田林間工業団地に着く。林間工業団地は名前の通り山林に囲まれた30区画からなる工場団地の一画に長野プロパンガスはあった。本社構内には事務棟の他にプロパン50トン貯槽、ブタン20トン貯槽、LPG充填施設、灯油貯槽、同デリバリー装置、そして小松製作所の定格88kwコージェネレーション等がある。コージェネによる電力は構内の照明をはじめ、コンピューター以外のすべての動力に使われる。また、同工業団地にある三菱化学系のアルマリック上田工場にはLPGの導管供給が行われている。新建材の金属樹脂の壁材を作る工場で、その乾燥にLPGが用いられ、月間消費量80トンほどである。
 長野新幹線で東京−上田間1時間半を、長野プロパンガスの専務取締役だった鈴木健吉さんがかつて書いた「この十年」(昭和三十八年、石油化学新聞社刊、LPガス業界十年史所載)を読んで過ごした。長野プロパンガスの創立当時から昭和30年代に会社がLPGと、そして県業界とどうかかわってきたかを書いている。こんなくだりがある。「昭和二十九年七月九日、資本金百五十万円の株式会社としてわが社が創立される前から山寺君の片腕としてプロパンを長野県に持ち込み、普及に努めた工事主任の長瀬輝夫君も、長野県業界から見たら一番古い従業員として記録さるべき存在です」とある。この長瀬輝夫さんが現社長なのだ。そして長野県LPガス協会会長、日連の常任理事・経済部会長として競合エネルギー・電気対策に東奔西走の毎日である。最近、プロパン・ブタンニュースが刊行したリーフレット「電磁波問題を考える 慎重なる“回避”をめざそう」の製作にさいしても多くの助言をいただいた。
 電事連の講師先生にもの申す
 2月28日に長野市で電気安全環境研究所が「電磁界の健康に関する講演会」を行った。講師はIHこんろから5cm離れていれば人体に何らの影響はないと安全宣言みたいなことを言って、IHこんろのスイッチを切れば電磁波は出ないと述べた。これに対して長瀬さんは質問に立ってスイッチを切っても電磁波は出ている。コンセントを抜かなければいけないと説明して講師先生を納得させた。世界各国では「予防原則」という考え方で「慎重なる回避」をしているのに先生のお考えは楽観的に過ぎるのではないかと、講師先生と30分にわたりやり取りをした。
 また、長野市のLPG販売会社の社長がIHこんろを作っているメーカーの特約店もしていてIHこんろを売るとリベートが大きく、5台も売ればこたえられないと言った。協会長の長瀬さんは、あなたは自分の本籍を忘れちゃいけないよ。そんなにリベートがあるのはお客さんはよほど高いものを買わされている。そして妊婦が電磁波を浴びて胎児によいわけはないと説く。
チャレンジ倶楽部の給湯器販売
 チャレンジ倶楽部というのを平成7年6月から始めている。田村貞男さんというコンサルタントの先生を囲んで系列を超えての勉強会である。競合エネルギーの電気対策は掛け声だけではいけない。ガス器具が売れなければ駄目。と言ってもメーカーの販売促進(販促)とも違う。然らばCSか、CSだけではできないものがある。医者と患者の関係、そこに技術があって信頼と感動がある。これをわれわれと客の間に構築するのである。かくてチャレンジ倶楽部は今、会員20社が月に1度の集まりに1万円の会費を持ち寄って田村先生を囲んで勉強をしている。長野プロパンガスは教室に塩尻市の支店の会議室を提供している。成果は今年、20号以上の多機能器を含め1500台の給湯器を売った。来年は30%増しが可能である。初めは皆だんまりだったが、今では交々意見を出しあって結論を持ち帰り各自の店で実行して成果をあげている。“長野プロパン大学”とでも言おうか。この“大学”の次回のテーマは「チラシ作りのパソコン教室」だそうだ。
 月刊機関紙〈TERRA〉
 長野プロパンがお客さんに配る〈TERRA〉―テラ―という機関紙は、この7月号が通卷94号だから8年も続いているわけだ。〈TERRA〉はラテン語の大地の意だが、「母なる大地に感謝をこめて」と題字脇に注がついている。この編集が中々にいい。筆者は雑誌や新聞の編集者であるが、顔負けである。読者(お客)と心が通じているのである。機関紙〈TERRA〉は、会社とお客とを結ぶベルトの役目を十分に果たしている。
 長野プロパンガスは四日市港にLPGを輸入陸揚げしている日商岩井石油ガスをメーンソースとしている。日商は大阪ガスと資本関係があるので、大阪ガスの情報も得られる。その昔、上田城には真田昌幸という智謀に長けた武将がいた。長瀬さんはLPG業界の知将である。

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