全農広島県本部（愛称＝ＪＡ全農ひろしま）の県本部長・香川洋之助さんは昭和１９年生まれの桃山学院大卒である。本部長には昨年４月に就任した。県内のＪＡからはもとよりＬＰガス業界でも人望が厚く評判がよい。本部長室はいつも開放的で、フロアを巡回しては若い職員と気さくに会話を交わして誰とでも対応してコミュニケーションがよい。現在、広島県ＬＰガス協会副会長も務め、地元との協調体制も忘れない。時代の変化に即した組織と事業変革
ＪＡ全農（全国農業組合連合会）の統合連合への改組は、平成３年に決まったＪＡ（農協）の合併構想を柱にした合理化計画である。
広島経済連がＪＡ全農と合併してＪＡ全農広島県本部になったのは１３年４月である。これによって県経済連が管轄していた充填所などの施設の所有権はＪＡ全農に移った。旧経済連のＬＰガス販売登録先は経済産業省所管となった。
そして今年（１５年）正月に香川さんは県本部長として職員に次のように抱負を述べた。
「社会・経済の構造改革と規制緩和という大きな荒波の中で農業・農協タタキが活発になり、今年はこの圧力が強まるだろう。批判や提言は謙虚に受けとめ、時代の変化に即応した組織・事業改革を進めなければならないが、ＪＡの組織の存立を否定する批判や言論には断固闘いたいものである。（中略）その意味から次の二つの改革を目標に掲げる。@ＪＡと全農による一体的な事業体制A健全な経営体質にむけての改革」を訴えた。
燃料基地と容器検査所のリニューアル
ＪＡ全農ひろしまは三原燃料基地（三原市）、三次燃料基地（三次市）、広島燃料基地（広島市安佐地区）の三つの基地があるが、平成１２年に三原燃料基地の容器検査所をリニューアルして耐圧試験機も増設して年間処理能力５万本体制とした。新検査所はＪＡだけではなく一般の大手卸業者の委託も受け、その協調が稼働率の向上につながった。同検査所は残ガスを燃焼処理、浄化槽処理もして異臭などを無くした。塗装も粉体塗装に、作業工程も自動に切り替えて環境への対応とコスト削減を図った。
県下三カ所の燃料基地の充填・配送作業を合理化するために単協が所有していた容器すべてを県本部所有にした。これまでに２０万本の容器を買い取った。容器の大型化で配送回数を減らすようにしているが、山間僻地をどうするか模索中と言う。
バルク貯槽は今年３月末で８３７基設置した。その容量別比率は１トン＝３５％、５００キロ＝５２％、３００キロ以下１２.５％、バルクローリーは２.３トン、１.８トン、１.３５トン、１.３トン各１台で、この６月に新たに業務用に２.５トン１台が加わり、５台体制になる。
クミアイ燃料の株式化
農協組織は「ザ経済連」といわれて組織力と経済力を誇った。しかし、これからはそれだけでは通じない。民間活力による企業経営が求められるようになった。やる気や活性化につなげる課題がある。
また、ガス事業は保安体制の確立が求められ、個々の単協の対応には限界があるため、広島県では管内ＪＡとブロックごとに小売強化のため、株式化を推進してきた。
平成２年に株式会社三次クミアイ燃料（桑原謹二社長＝三次農協専務）が資本金３５００万円で７千軒の顧客を持って発足した。同７年に東広島市に株式会社広島中央クミアイ燃料（中村等社長＝広島中央農協組合長）が資本金３５００万円で、１万６千軒の顧客を持って発足。そして同１３年には広島市安佐町に株式会社広島北クミアイ燃料（安福孝昭社長＝元安佐農協組合長）が資本金３５００万円で１万軒の顧客を持って発足した。今後、現行株式会社に加え、二つの株式会社を設立して県内五社化構想に向け、検討中である。
同時に地元大手卸と系列を超えた共同充填・配送にも積極的に取り組んでいる。
集中監視網とあんしんコール・サービス
ＪＡ全農が推進している「あんしんコール・サービス」事業はＪＡグループが全国に持つＬＰＧ消費所帯３２０万世帯の集中監視システム網を活用して@緊急通報A火災警報B健康管理のサービスを付加したものである。農村部を活動の拠点とするＪＡグループが高齢者福祉事業として取り組んでいる。ＪＡ全農ひろしまでも「あんしんコール・サービス」事業の拡大を図っている。
終わりにＪＡ全農ひろしまの指標となる数字を掲げておこう。１３年度ＬＰＧ販売量＝２万７千トン、広島県のＬＰＧ消費世帯＝７４万１千軒、うちＪＡ全農ひろしまのＬＰＧ消費世帯＝約１１万軒、その４０％が集中監視されている。ガス器具の販売ではフェアを３年ほど続けているが、最近は２日で３千人ぐらい動員する。２４号給湯器を中心に大型給湯器を年間２千台ほど販売する。浴室乾燥機に力を入れている。ＧＨＰは年間３百馬力、累積で２千馬力販売した。ＪＡ全農ひろしまは広島県屈指のＬＰＧグループである。
プロパン・ブタンニュース２００３／５／５ ナリケンがゆく ウェーブ・風 話題と肖像画
