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(2003/8/11 プロパン・ブタンニュース)

三井石油・三井石油ガス販売社長
大橋洋介氏
10立方メートル4000円への戦い

  三井石油は平成十三年一月に石油部門を三井石油販売に、翌十四年一月にはLPガス部門を三井石油ガス販売に分社、それぞれの本社管理部門は三井石油に集中した。そして今年三月に大橋洋介氏が前任の谷興知社長を引き継いで三井石油と三井石油ガス販売の社長に就任した。大橋社長の前籍は三井物産理事・エネルギー総括部長である。
 三井石油ガス販売は、全国に六支店、七販社(道南プロパン、東北グロリア、関東グロリア、カンプロ、グロリア北陸販売、九州グロリア、サガプロ)があり、直売需要家は十二万五千戸超である。それに加えてブリヂストン液化ガス以来の特約店がある。昨年は約百四十万トンを販売、全国販売シェア七%で第五位だった。
 このように販路が全国的に拡がっているのは、青森、七尾、極東石油(市原市)、唐津の四つの一次基地に加えて石狩、釧路、川内の三つの二次基地を保有していることによる。とくに青森、七尾に一次基地があることは日本海側への物流上の優位性となっている。
 大橋洋介社長は会員向けホームページの中で、国内のエネルギー状況は自由化が進行しているが、それはLPガス業界にとって脅威とは思わない。真に力があるものが生き残るために同じ土俵で勝負をするチャンスである。業界の再編や新エネルギーの開発によって、LPガスはまだまだ発展できると述べた。
 しかしそうなるためには、LPガス末端価格は電気・都市ガス並みの十立方メートル四千円台まで下がることは避けられない。最終ユーザーからLPガスが選ばれるためのノウハウの集積にホームページやWebコンサルティング、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)の採用等々は大橋社長の穏やかな口調とは裏腹に厳しさをひしひしと感じさせた。
関東グロリア起点の「競創」
 七つの販社はそれぞれの地域で一定の地位を確立しているが、とくに関東グロリアは電気、都市ガス、同業他社との激しい戦いが続いている関東エリアで価格、サービス面で競争力を発揮している。こうしたノウハウを出発点に地域の特約店が長年養ってきたノウハウをお互いに開示して三井グループとして競い合い、競合エネルギーに負けない強固な競争力を創り上げること、それが今年から打ち出した施策スローガン「競創」である。結果として「集団による繁栄」が深化することになる。
Webコンサルティング
 ホームページを全面的に改訂してグループ間コミュニケーションを大きく打ち出した。それは小売のノウハウをホームページを通じて開示する「Webコンサルティングシステム」を導入したことである。ここにWebコンサルティングの一例を示しておこう。
 [事例1]LPガス事業の近未来をどう考えるか[事例2]顧客をベースにした経営姿勢にするには[事例3]目標基本料金設定の基本理念について[事例4]顧客単位消費量を増加するには[事例5]不良売掛債権防止、解消策とは  といった具合である。
LPG販売管理システムをASP化
 ASPはデータセンターでアプリケーションを一括稼働し、サーバーからインターネットを利用して提供する仕組みである。名付けて「e―GGs」と呼び、この六月から関東グロリアが本格稼働させた。特約店・販売店に導入提案をして神奈川や青森で採用が始まっている。共同利用でスケールメリットが発揮できるし、高い安全性のもとで常に最新のシステムが利用できる。三井石油のこれまでのLPG販売管理システム「PGS」(Pグロリアシステム)は三十年余の歴史があり、四十二社、九十二拠点、四十万戸が利用している。今後二年間をメドに新システムに移行するとしている。
三井石油ガス販売のビジョン
 第一段階―昨年は三井石油傘下の基地と直販会社がコスト競争力を高めることに専念した。しかし電気・都市ガスに対抗するエネルギーになるには元売の力量だけでは限度があり、特約店や傘下販売店のコスト競争力を加算して初めて消費者に選ばれるエネルギーになることができる。関東圏でコストダウンの手法と需要開発のノウハウを消費者から選ばれるという目的で特約店と共有する繋がりができた。
 第二段階―電気・都市ガスに競り勝つために分散している経営資源をグループの中に集積し、それを営業戦略に組み立てアクティブに活動する集団になる。そのような活動をサポートするために販売管理システムもASP型にし、ホームページも新しくWebコンサルティングにした。それは正に「競創」である。
 そして「競創」の先にあるものは、近い将来にやってくる燃料電池等の分散型電源事業への参画を念頭に未来への準備である。

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