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(2003/9/1 プロパン・ブタンニュース)

コスモ石油ガス社長
武内正明氏
エネルギーのベターミックス

 コスモ石油ガスの武内正明社長は昨年六月、社長に就任して一年余が経過した。社長に就任するまでの履歴は、京都大学大学院工学研究科博士課程を修了して昭和四十八年に丸善石油に入社、平成七年コスモ石油・本社技術部長、平成九年取締役千葉製油所長、平成十年常務取締役千葉製油所長、平成十二年常務取締役・研究開発部、技術部、安全環境部、購買センターを担当した。
 経歴が示すように技術系の社長である。この一年間、中原前会長が業界関係を、ご自分は社内的な仕事を分担した。これによってLPG事業の経営を知る上で、たいへん助けられたと言う。これまでLPガスを作る側にいて、あとは売ってもらうという感覚だったが、実際に輸入価額や販売価額を決める立場になってLPGに関して新たな認識を得た。そこで@LPガスの元売会社観、A環境の世紀にLPGの対応、Bコスモ石油ガスの経営計画等を話してもらった。
石油と比べてLPガスは
 原油は世界各地に取引市場があって市場性が高いが、LPガスの輸入価額はCP制で決定されてしまう特殊性がある。CPは、原油価額に比して乱高下が激しい上に、割高感もある。昨年、社長に就任早々からCPの高騰には大きな影響を受けた。元売会社の機能も石油は原料(原油)を持ち込んで製油所で加工するから元売自体が製品の生産調整機能を持っている。需給状態に応じて、ある程度製品の数量調整ができる。LPガスは、基地での受け入れ・払出しを中心に倉庫業的色彩が強く、生産調整機能は弱い。また、製品の販売も石油はSSを拠点に顧客を迎えるが、LPガスはボンベによる配送業務で労働集約型である。そして元売の原価率は、LPガスは石油よりかなり高い。輸入価額の変動も激しいので経営は低収益で原価に左右されやすい。これをヘッジするために契約条件の見直しや、先物取引等を行いたいが、LPガスの市場は限定的であるため石油市場のような広範な行動がとりづらい。また、LPガスの元売会社は石油に比べて多く、企業形態も親会社の一部署だったり独立だったり、そして石油会社系あり、商社系ありで、石油とLPGでは似て非なる点が結構多い。集約化では石油とLPGでは大分開きがある。
環境の世紀
 二十一世紀は環境の世紀と言われる。あらゆる分野での環境対応や適合が求められる時代になって来た。LPガスは、従来からも環境に優しいエネルギーと言われて来たが、このほど策定されたエネルギー基本法でもLPガスが天然ガスと共にガス体エネルギーとして位置づけられ、いずれもが環境負荷の小さい化石燃料として特徴づけられたことは、誠に時宜を得たものとして喜ばしい。今後は、この特徴と分散型利用という特徴を活用したLPガスの需要確保・開拓に大いに期待したい。ところで、総合資源エネルギー調査会石油分科会石油部会でとりまとめられた「今後の自動車燃料品質のあり方」では、軽油、ガソリンの硫黄分をそれぞれ二〇〇七年から二〇〇八年において一〇ppm以下になるように措置することが適当との方向性が示された。このような数値レベルになると、石油製品のイメージも一種の化学物質になって来たようになり、大いに変わって来る。このことはLPガスに対しても言える。今後は、いろいろの観点から環境への適合が求められて来よう。この程、武内社長は、日本LPガス協会の技術委員長に就任された。技術系出身社長として、この分野での手腕の発揮も大いに期待される。
朝のパンはグリル、夕飯は土鍋
 オール電化攻勢や都市ガスのLNG拡大などLPG業界への進出はすさまじいものがある。しかし、どんなものでも長所と欠点がある。それぞれの長所を生かして、組み合わせていくことが理にかなっている。電気とガスの場合もまた然り。また、集中供給型の都市ガスと分散供給型のLPガスの機能分担もそれぞれの欠点を補い長所を生かすべきである。この組み合わせをベストミックスと言われているが、本当はベターミックスだろう。ベストならミックスする必要はない。言葉にこだわるようだが、ベターミックスという言い方にこだわりたいと言う。その実践として、ご自分の日常生活で朝のパンはグリルで、夜のご飯は土鍋だきだとか。会う人ごとにミックスの良さを紹介している。
今後のとりくみ
 LPガス事業分野を中心とした経営基盤の強化に努めると共に、一方では連結経営時代に入り親会社のコスモ石油のとりくみと機軸を合わせた運営が基本。親会社と共に二〇〇三〜〇五年度の三カ年にわたる新中期経営計画を策定して実行に入ったところである。
 従来コスモ石油ガスの経常利益は、売上高七百億円の一%前後であったが、この中期計画では二ケタを確保したい、と結んだ。


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