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(2003/10/6プロパン・ブタンニュース)

北ガスジェネックス社長
福島 亘氏
沖の白帆のような福島亘社長

 北ガスジェネックスの福島亘社長は、昨年六月に川島光行前社長を引き継いで第八代社長に就任した。同時に日本簡易ガス協会北海道支部長に就任し、業界発展の指導的役割を担っている。親会社の北海道ガスの専務からの転出だった。親会社の北ガスでは情報管理システムの構築に深くかかわった。また人事部長や総務部長の管理部門を担当し、平成八年から始まった天然ガス転換では構造改善に取り組んだ。投資総額八百億円という年間売り上げの倍もある大事業である。投資の半分は導管設備費、残り半分は一軒につき八万〜十万円かかる作業コストである。構造改善は取りも直さず人員削減計画だった。二百人の転換要員のうち百三十人を現状から捻出しようというものである。
 福島社長は堂々たる体躯の方で、静かな物腰で優しく話し始めた。北ガスジェネックスは、親会社をLPGで補完する事業から手を広げて全道に展開するに至っている。浦河に供給先の競走馬のトレーニング・センターがある。勾配がついた直線一`bにおよぶ屋根付きの施設で、馬の脚を洗う大掛かりな給湯設備がある。かつては本州からも馬を送り込んできたが、近頃は牧場主の施設利用が減って二次、三次の設備ができにくくなっている。筆者はかつて東京ガスエネルギーの西室陽一社長から同社の関係会社の美浦ガスも競走馬の脚を洗うためのガス会社で利益をあげていたが、ある日、ガス管を入れ替えるときが来たら途端に会社の存続が危うくなると聞いたのを思い出した。福島社長はせち辛くなった北海道のガス事情をこんな事例から話し始めた。
 岩見沢や恵庭には比較的大きな簡易ガス団地があるが、簡易ガスは守りに入っている。簡易ガスの天然ガス化も今日的問題ではあるが、北海道では一戸当たりの平均消費量が少なく、六ないし七立方b/月では転換は困難である。今後ガス需要を伸ばすのはLPガス法のLPGに限る。暖房・給湯は灯油、直火にあたって暖をとる灯油文化は根強いものがある。ここのところは現実的に割り切ってLPGと石油の両方を売っている。八万軒の顧客にLPガスを供給しているが、エネルギー供給にとどまらず新事業分野への進出を図っている。ハウスクリーニング事業や介護用品販売・レンタル事業が手始めである。
 福島社長の穏やかな語り口からはあたかも波止場で沖の白帆を眺めているが如く舟は静かに浮いているように見えたが、近づいてみればもの凄い勢いでセーリングしているのである。
サハリンT、U
 ロシア・サハリン沖の原油・天然ガスを採掘する二つの国際プロジェクト・「サハリンT」と「サハリンU」がある。前者は米エクソンモービルが主体で石油資源開発や伊藤忠、丸紅等の日本企業が参加、後者は三井物産、三菱商事がロイヤル・ダッチ・シェルと組んで進めるプロジェクトである。その生産量はT、Uを合わせて原油は日量三十九万バレル、日本の原油需要の一割弱、天然ガスの可採埋蔵量は日本の需要の十五年分に相当する。Tは天然ガスをパイプラインで運び、UはLNGにして出荷する計画である。LNG関連施設を抱えている日本の電力、ガス会社はその施設の利用度を高めるために東電や東ガスはUからの購入を既に決めている。Tのプロジェクトは天然ガスをパイプラインで北海道に運び、太平洋を通って本州へ供給する計画である。北海道にとってはサハリンTに期待したが、遠のいた感がある。
KGプランニング
 一〇〇%子会社のKGプランニングは前期売上高二十六億七千三百十五万円だった。通信機器、電材商品の販売が主たる業務である。特にセブン・イレブンの全国にある店舗に照明器具、防犯カメラ、肉まんなどの蒸し器、食品を温めておく陳列棚などを納入している。セブン・イレブンは、今年四月に全国の出店数九千八百店だったからもう一万店に達しているのではないだろうか。これを守備してKGプランニングの売上高は北ガスジェネックスとの連結ベースで二五%強である。このように非エネルギー部門で大きな比重を持つことは大きな意味がある。理想的にはこの比率を五〇対五〇にしたい。KGプランニングは川島光行前会長が社長になり、東京で奮闘して下さっている。
掃除代行や介護用品の販売も
 非エネルギー部門の事業にハウスクリーニング事業がある。家庭の掃除代行業である。昨年九月から四人の社員と委託掃除のスタッフで営業を開始した。今年度は七百八十件を目標にしている。また、今年四月からは介護事業に乗り出した。小樽市を中心に十二市町村を対象に介護用品の販売・レンタルの事業である。小樽市は老齢人口比率が高く二五%(全道平均一八%)と高い。そしてベッド、車椅子など介護用品はその価額の九〇%を介護保険が支給してくれる。九割を国が負担するのである。
 小樽での北海道ガスの知名度は高く、LPGの二十四時間いつでも緊急出動の安心保安体制もあるので、さらに進めて本格的介護まで行うようにしたい。一種のスキマ産業ですねと語った。

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