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(2004/3/22プロパン・ブタンニュース)
丸江社長 | |
吉田 孝氏 | |
独創的な丸江のeコマース |
小田原市の丸江の吉田孝社長は、同社五代目の社長である。吉田社長は筆者の訪問に備えて昭和四十七年に発行した『丸江二十周年記念史』の創業時の背景、創業者の心意気、社史所載の年表などを用意して下さっていた。それを見て丸江さんは、神奈川県で一番早いプロパン屋さんだったのかと言えば、もう一人、早い方がいて二番目だと聞いていると言う。
丸江は昭和二十八年の創業で昨年六月に五十周年を迎えた。業界の戸籍係を以って任じている筆者は直ちに判断した。一番早かったのは横須賀市衣笠の「サガミ」の水沢誠三郎さんだった。サガミはご長男の清行社長の時代になっている。清行社長は本社屋の二階を「蝶の広場」というユニークな博物館にして一般に解放している。「蝶の広場」を見学がてらお会いになったら、いかがかと提案した。神奈川県で最も早かった一番と二番の社長さんが温故知新を語り合うのは面白いではないかと思った。
吉田社長は、社長になって四年半が経過したところである。社長就任二年目に会社始まって以来はじめての赤字決算をした。これはたいへん勉強になった。これによって基礎を固めることができたと言う。
現在、丸江は、LPGの直売八千五百軒、代理店営業と合せて年間一万dのLPGを販売する。プロパン八千d、オートガス二千dである。そしてeコマース「ガス器具の丸江オンラインショップ」でユニークな一境地を拓いている。吉田社長は、出身大学も武蔵工大の電気通信学科で、この道の専門家である。
ガス器具のインターネットショップ
ガス器具と住設機器のインターネットによるオンラインショップを始めて三年が経過した。このeコマースは全国を対象にしている。インターネットのお陰でガス器具が全国商品になれるのである。現在、年商一・七億円だが、来年は一・五倍に、近い将来に月々一億円、年商十二億円くらいを目論んでいる。現在、この部門は、社員三人とパート三人の計六人でやっている。売り上げも伸び、件数も増えているので社内に活気が出てきた。販売した商品の決済はどのようにするのかと問うたら、銀行・郵便局振り込み、コンビニ払い、カード決済、代引き等ですべて先払いだから回収のリスクは皆無だと言う。
オンラインショップにはどのようなノウハウがあるかと聞けば、オンラインショップもリアルなショップの出店と全く同じで特別なものはない。リアルな出店でも品揃えや商品の展示・陳列など工夫がいるようにインターネットショップでも社内でホームページが作れなければ駄目だ。寝てもさめてもこればかりを考えたと言う。
オリジナル商品・ezBBQ
インターネットショップでも他と同じ商品を扱っていたのでは価額競争に陥る。これを避けるためには他が扱っていない独自のオリジナルな商品を考えなければならない。来月から発売するバーベキューグリルezBBQはその一つである。ezはイージー、BBQはバーベキューグリルの意味である。
吉田社長の娘さんは米国滞在が長く、そんな関係で社長もアメリカに行く機会が多い。アメリカ人の家庭では必ずバーベキューグリルが庭に置いてある。この文化は日本人の文化にも合うのではないかと考えた。そこでリサーチしてみると売れているのは米国だけではない。フィンランド、イスラエル、英国でもかなり売れている。しかもこれを作っているのはOEM(相手先ブランドによる生産)台湾製である。早速コンタクトして三種類のバーベキューグリルを作らせた。バーナー二本の小型グリル(販売価格四万四千円)、バーナー三本のグリル(同四万九千円)、バーナー三本のステンレス製高級グリル(同七万九千円)である。小田原のロータリークラブの人々に家庭で実演して見せたら直ちに十人中六人から購入申し込みを受けた。
老舗の社長の奮闘
島国日本で地域ばかりを見ていたのではバーベキューグリルを外国から輸入して日本全国で売ろうなどという発想は出てこない。インターネットのお陰で全国商品たりうるのである。地域だけを対象にしてでは輸入販売など不可能である。インターネットショップなればこそである。アメリカではDIY(日曜大工)ショップやスーパーで小型容器にプロパンを詰めて金網の中に格納して売っている。これはバーベキュー用のプロパンなのである。こんなことがわが国でも始まればいいと思うと言う。
神奈川県で一番、二番のプロパンの老舗の社長が、親たちが築いた事業を堅く守りながら時代に即応した新たな路線を構築して事業を発展させているのに感銘を受けた。
プロパン・ブタンニュース2004/3/22 ナリケンがゆく ウェーブ・風 話題と肖像画