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(2004/5/10プロパン・ブタンニュース)

大和ガス社長
内田宏人氏
アフタ・エイトに集まろう

  大和(ダイワ)ガスの内田宏人社長は二代目社長である。先代の内田太郎氏は第一次オイルショック時に日連の副会長だった。氏は輸入LPガスのFOB価格の高騰に対して石油需給適正化法案を審議する衆院商工委員会に参考人として出席して雄弁を奮った。このときLPガスの標準価格十`千三百円が決定された。標準価格制にはそれ自体として法的強制力はなかったものの、政府公認価格として全国のLPガス小売価格は同水準にぴたりとはりついた歴史的意味を持った。応接室の壁に先代社長の写真が掲げてある。胸には勲四等旭日小綬章と藍綬褒章の勲章が輝いている。
 宏人社長は四十八歳の男盛り、東京都LPガス協会の理事で城北第二支部長(練馬・豊島区)になって四年目である。十年ほど前から城北支部に携った。当時、支部長は東京都協会長の細野傳蔵さんが兼務していた。支部の会員は百二十社ぐらいだった。会員数のピークは二百社以上あったと細野さんが話していた。今の会員数は六十社、十年で百二十社が半分の六十社になったわけだ。六十社の内LPガスに積極的なものは二十社ぐらいである。切り替え業者が入って来て、十立方b四千円の前半から三千円の後半を提示するのでこちらも下げなければ客がいい顔をしない。そこでガス販売量を増やすために新たな客の開拓に埼玉県大宮と坂戸に営業所を出した。今ではそちらの方が多くなったと言う。LPガスが主力だが、それに枝葉をつけていかなければと、住設、とくに特徴のあるリフォーム事業を始めている。
経営者の自由な語らいの場
 アフタ・ファイブという言葉がある。これはサリーマンが会社の就業時間後に自由な語らいをする解放された午後五時以降の自由な時間をいうのだが、われわれ経営者は五時からそのような時間を持てない。そこで午後八時に若い経営者が集まって語り合おうというのがアフタ・エイトだ。城北第二支部でも親の跡を継いだ若い経営者が多い。主力はLPガスでも灯油、コンビニ、賃貸アパート、住設店などにシフトしている。俺は俺で精一杯やっているが、中々芽がでない。細々と親の遺産で食ってはいるが、LPガスの商売が昔のようではない。それでは何をやるかと言っても分からない。LPガスの商売が悪くなったというが、やはりLPガスが一番良いんじゃないかということになる。それで今まで通りのやり方では結果は目に見えている。そこのところを話し合うのがアフタ・エイトだと言う。
 組織として構えると話が形式的となり面白くない。同じ年代の若い経営者が刺激し合った自由な話し合いは良い結果を生むに違いない。私の親父の内田太郎と東京プロパンの先代社長の小沢敏克氏は大の仲良しで戦友とも言うべき仲だった。この二人は毎年九月に成田山詣でをするのを恒例としていた。二人は成田詣でで業界情勢を語り合ったという。東京プロパンの現社長・小沢洋行さんと私は親たちがやったように今もこれを続けている。成田山詣での仲間を募りたいと言う。
福祉住環境コーディネーターの資格取得
 福祉住環境コーディネーターの資格試験は東京商工会議所が行っているもので、一級、二級、三級がある。私の会社ではLPガスを中心にしながら住設とくにリフォームに力を入れている。そのために社員の電気、水道関係の資格取得を奨励してきたが、目下人気急上昇中の「福祉住環境コーディネーター」の試験に挑戦させている。三級に五人、二級に一人が合格した。一級になればスペシャリストで都道府県の自治体のケアマネージャーになれる。このような試みは住設一般ではなく住設事業での特化を志向するものである。東京ガスでは「温度のバリアフリー」と言っている。バリアフリーは床や廊下の段差だけではない。浴室に入ったとき急に冷たい空気に触れるのは老人に危険である。浴室暖房が必要でなる。これが温度のバリアフリーだ。
 大和ガスのLPガス部門と住設部門の比率は七対三である。因みに同社の規模を示しておこう。需要家軒数七千軒、年商五億円、従業員三十人である。
「三代目唐様に書く貸家札」にならぬために
 私の親父は、「三代目唐様に書く貸家札」とう川柳を引いて家業が二代、三代と孫子の末まで繁栄することの難しさを語った。 
 私の息子は十八歳、三代目のこの子に引き継がせるべく今、私は奮闘しているのだが、LPガスの需要家が五万、十万と大きくなればある程度やり繰りがつき、また小は小なりに何んとかなるものだ。大和ガスクラスが一番厳しいところだと思う。同憂の若い経営者にアフタ・エイトに集まれと呼びかけたい。

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