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(2004/7/26プロパン・ブタンニュース)

東京計器社長
土田泰秀氏
HyC-5業界に大きなうねり

 親しくしているLPガス業界の複数の経営者から東洋計器の土田社長から「HyC―5」の話を聞いて来いと言われた。ある経営者は、「HyC―5」を知って目から鱗がおちる思いだった。またある経営者は、二部制料金や最低料金付ブロック料金などの料金体系は、エネルギー間の競争が激化している今日では「制度疲労」を起していると言った。それではと、松本臨空工業団地にある同社本社工場に土田社長を訪ねた。
 東洋計器は明治四十年に松本市出身の桑沢松吉氏が国産初の水道メーターを開発、販売した技術的基盤のもとに水道、ガスメーターの生産、販売をしてきた。その足どりは、昭和二十四年東洋計器設立、五十三年プロパンガスメーター専門の穂高工場が生産開始、五十九年セキュリティーメーター・システムの開発に成功、販売開始、六十二年水道・LPガスメーターと電話回線を接続して自動検針・自動監視をするテレメーター・システム「りんどう」を開発。県花“りんどう”の名をとっての命名だった。「マイコンU」を開発、販売を開始したのもこの年である。平成二年松本臨空工業団地に新本社社屋・新松本工場と中央研究所を完成。九年本社工場にさらに一棟工場を増設。かくて「マイコンで保安・テレメで合理化」という新しい社会的価値創出に励んだ。なお、昭和五十三年竣工の穂高工場は、ガスメーター月産十万個の設備を持つ。
社員一人一資格
 まずは工場見学をと社長自ら案内してくれた。工場の入り口に計量士、アナログ、デジタルの総合技術士、電話工事一種、二種、三種、電気工事、設備士等有資格者三百三十人の氏名がずらりと並んでいる。社員に一人一資格を号令した社長自身が魁(かい)より始めよで計量士として名を掲げている。技術系出身の社長の心意気と社員一人ひとりの仕事に取り組む真摯な姿勢が見てとれた。新本社工場のガス・メーターの自動組立ラインに案内されたが、室温は二〇度Cプラスマイナス一・五度C、湿度は五〇%に維持され、ガス・メーターの耐久試験では十年分を短時間に実施して記録を保存している。これは法律で定められた十年検定を担保しているのである。平成八年には東洋計器のガス・メーターは、国家検定にかわり高い品質管理レベルの会社に与えられる自主検査による出荷が認められる「指定製造事業者」に指定された。
新料金メニュー「HyC―5」
 HyC―5による「新料金メニュー」は、現在全国で六百社以上のLPガス販売会社が導入して需要拡大に取り組んでいる。床暖房、給湯システム、ファンヒーター等の拡販には、料金メニューによる提案が不可欠であるとして今まではまとめて計測していたガス使用量を、時間帯別・需要帯別に分けて計測するHyC―5をエア・ウォーター赤津常務と共同で考案し、製品化した。電気や電話と同様に多様な料金メニューを作るのである。マイコンメーターの中には流量と時間の情報が入っている。その情報は、保安のためにしか使っていなかった。これを使用ガス器具ごとに分計するのに使えば、給湯の単価や暖房の単価を出すことができると土田社長は考えた。さらに電気料金が時間帯で料金区分をしているから、これも取り入れたらよいと考えた。こうしてHyC―5の考え方は誕生した。
五段重ねの引き出し
 HyC―5のしくみは、五段重ねの引き出しだと言う。五つの引き出し=カウンタには優先順位があって、@時間指定カウンタ1(土日料金)、A時間指定カウンタ2(深夜料金)、B大流量カウンタ(給湯帯料金)、C長時間カウンタ(暖房料金)、D通常カウンタ(厨房のこんろ料金)である。この「五段の引き出し」を使い、ガスを分けて計るという単純な仕組みによって、LPガス事業者は、ファンヒーター拡販用「暖房プラン」や給湯器拡販用「給湯プラン」など、器具販売とお得な料金プランをセットで消費者に提案することができるようになった。また、消費者にとっても、今までのように事業者が決める料金ではなく、自分のライフスタイルや、消費器具によって、お客さま自身で「料金メニュー」の中から、自分に最適なものを、「選択」できるようになったことが画期的である。
 既に千軒以上に料金メニューを展開するカナジュウコーポレーション(神奈川県)では、「晩割」(一八時〜二〇時が二五%お得なプラン)に二百軒以上の申し込みがあった。奥さんが自分の努力で「この時間帯にガスを使えば節約できる」というところが受けているようだ。消費者アンケートの結果からも、この商品は画期的だという回答が三四%ある一方で、開発されて当然だ、今まで無かったのが不思議という回答が合わせて五五%もある。HyC―5は、消費者心理を的確に捉えている。
 この秋には、ファンヒータセールと、料金メニューをセットで打ち出す事業者がさらに増加するのではないかと見ている。エネルギー間競争を勝ち抜くためにも、将来の分散型発電時代にLPガスが選択されるエネルギーとして認められるためにも、用途別・時間帯別の料金メニューは必須となってきている。
簡易ガス事業でもHyC―5で選択約款
 簡易ガス事業でも一定の供給条件の顧客にHyC―5で選択約款が可能である。関東・中部・近畿・中国の経済産業局管内で受理されて、暖房約款などとして需要拡大に寄与している。HyC―5は、LPガス業界に大きなうねりとなって需要拡大に貢献している。


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