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(2005/2/28プロパン・ブタンニュース)

高山石油ガス社長
今西良雄氏
一芸に秀でれば万芸に通じる

 高山石油ガスの今西良雄社長を山口県下松市の本社に訪ねた。
 まず目に飛び込んで来たのは、掲示板に掲げてある「あいさつと対話」という社長アピールである。副題に「今西社長の年頭の挨拶」とある。「今年は酉年です、鳥は夜明けを告げるために鳴きます。新しい年の出発点として、もう一度商売の原点である「あいさつと対話」を全員が大事にして厳しい環境の中で勝ち残れる会社・SSになるよう取り組んで行きます。また同時にT指数改善に向けて経営のベースであるコストダウンを更に進めて行きます。当面は今年度の目標であるT指数=9円に向けて1〜3月の目標を全SSが必ず達成するよう取り組んで行きましょう」と簡潔に大書してある。
 今西さんは高山石油、高山石油商事、高山石油ガスなど高山グループ各社の社長である。
年商百億円の高山グループ
 高山石油ガスは、岩国、下松、柳井、光、徳山、小郡、防府、新南陽、山口、本郷村など県南にネットワーク、直売で2万2,000戸(年間1万8,000トン)、高山日石ガス会35店の販売店が持つ消費者と合わせて4万戸の顧客を擁する。同社は販売店と一体となり毎年5〜12月に給湯器キャンペーンを展開している。このキャンペーンは、単位消費量の向上のために20年も続けている。その成果は全顧客の給湯器普及率60%以上に現れている。器具のみの卸し先も県下に40店もある。かくて高山石油ガスの年商は33億円、高山石油などグループ全体では年商100億円に達する山口県有数の会社である。
小野賞・4番打者の誇り
 今西社長は、地元、徳山市(現周南市)の人である。徳山高校を卒業して長嶋茂雄、杉浦忠を輩出した立教大学に進学、長嶋、杉浦が4年、今西良雄は1年生だった。六大学野球で黄金時代の立教で今西選手はレフトの強肩で鳴らした。昭和36年、日本石油(現新日本石油)に入社して社会人野球に挑戦した。当時の日石監督は巨人軍の名投手で監督もした藤田元司氏で、昭和36年、37年に都市対抗で連続優勝を果たし今西選手はこれに大きく貢献した。37年の優勝時には5試合14打数6安打5打点、打率4割を記録して都市対抗の三賞といわれる小野賞を受賞、日石4番打者の面目を果たした。この時期の日石野球部長の建内保興さん(現新日本石油名誉顧問)は、優勝の弁で4番打者今西君の先制タイムリーのヒットは頭にこびりついて離れないと述べた。今西さんの野球人生はまだまだ続く。昭和36〜39年は選手、40〜43年はコーチ、54〜57年は監督として日石野球部に尽力した。そして現在は平成16年に母校、徳山高校野球部後援会が創設され、会長に就任している。
高山石油社長に就任
 日本石油に入社して野球ばかりやっていたわけではない。入社して経理課に配属されたので野球の練習が終ってから経理課に駆けつけた。監督を退いてからは本社経理、広島支店勤務など地方勤務を経て平成4年に新日本石油ガスに転籍、大阪支店長、取締役関東第一支店長などを務めた。そして平成8年4月高山石油、高山石油ガスの社長に就任したのである。
 平成8年の春さきだった。本社の建内保興会長から高山石油に行かないかというお話があった。建内会長に高山入りするからにはメーカー育ちが流通の世界に飛び込むのだから日石の籍を抜いて飛び込みたいと申し上げた。そして奥さんには何んとでもしてお前を養っていくと、高山入りの同意を求めた。
常にチェックが大切
 経営者は決断しなければならぬ場面にしばしば遭遇する。野球に置き換えると1対0で負けているときにノーアウトでランナーが出塁した。監督のサイン如何。@おくりバント。この場合、監督は批判されない。おくって走者2塁で3割バッターが2人いても6割にはならない。そこで、Aヒット&ラン、間(あいだ)を抜ければ3塁に進塁する。失敗すれば監督はボロクソである。これを瞬時に判断するのが監督の采配の難しい所である。選手の性格も見なければならない。これは野球から学んだ経営哲学である。
 平成7年1月に起こった阪神・淡路大震災に今西さんは神戸の夙川で遭遇した。当時、日本石油ガス大阪支店長だった。同じ町内で建物の下敷きになって8人が亡くなった。自分は2階に寝ていて脱出にさいして常備灯の置き場も承知していたが、その常備灯は役に立たなかった。電池が切れていた。「備えあれば憂いなし」というが、「備え」があっても時折チェックしておかなければ無いのも同じであると痛感した。会社経営も計画の進捗状況を常にチェックしなければならい。阪神・淡路大震災からの教訓である。
 高山石油ガスでは営業マン1人が500〜600軒の需要家を担当しているが、営業マンは自分が担当しているお客さまから名前を覚えてもらうことから始めよと、今西社長は強調した。

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