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(2005/5/30プロパン・ブタンニュース)

三洋電機常務執行役員・クリーンエナジーカンパニー社長
島田忠男氏
GHPメーカーの旗艦・三洋電機

三洋コマーシャル販売は、三洋電機の業務用機器の販売部門としてガス空調のトップシェアを占めるGHP・吸収式の販売を担当している。中でもGHPは、昨年10月から新冷媒R410対応機を業界に先駆けて発売するなどGHPメーカーのフラッグシップとして業界の牽引役を担っている。
 三洋コマーシャル販売の社長・若山康平氏は、「三洋オンリーワン商品としてハイパワーマルチ、Wマルチを主力商品に今年度は240億円の事業規模へ挑戦する」と力強い方針を打ち出した。
 三洋GHPの歴史は、GHP年表から抜書きすると1980年に東京ガスからGHP試作の依頼を受け、翌1981年に国家プロジェクト「小型ガス冷房研究組合」(3年間)に参加、1984年に都市ガス3社(東京ガス、大阪ガス、東邦ガス)と三洋で15馬力ガス冷暖房機の共同開発を開始、1985年4月に三洋ガスマルチ(15馬力GHP)を発売した。1987年に他のGHPメーカー3社も発売して4メーカーの業界となった。GHP年表は1987年をGHP発売元年と規定している。
 このような三洋GHPの開発当初から昨年4月に三洋電機コマーシャルグループ海外本部長に就任まで20年余にわたって三洋GHP事業に携ってきた島田忠男氏にその開発の歴史を振り返ってもらった。島田さんは今年4月、三洋電機の常務執行役員になり、クリーンエナジーカンパニー社長に就任した。クリーンエナジーカンパニーはソーラーとコンプレッサーの開発、製造、販売をする会社で、その市場も工場も広く海外に展開している。島田さんはこのところ世界を飛び回っている。
椿山荘でGHP新製品・ガスマルチを披露
 1985年3月5日から3日間、東京・椿山荘で三洋GHP(15馬力3台マルチ)の披露が行われた。5,000人の来場者にGHPによるガス空調の斬新性を印象づけた。このころダイキン工業がビル用マルチ方式EHP(電気駆動式ヒートポンプ)を開発、商品化した。電気式マルチシステムによる個別分散空調機は、それまでガス吸収式冷温水機が強かった中型ビル空調市場までもうかがうことになり、ガス冷房関係者に脅威だった。
 ガスがこれに対抗するには直膨型GHPしかなかった。三洋電機は業務用の電気のパッケージエアコンと同様の機能を持つ15馬力直膨型GHPの開発に成功したのである。
 1992年4〜6月に全国10会場で「ビル用マルチ全国キャラバン」が開催された。メーカー4社がこぞってビルマルタイプを開発・発売したのである。
 このイベントは設計事務所、ビルオーナー、建設会社を対象にしてGHPのビルマルを建設業界に浸透させた。
 また、1994年には大店法の改正で大規模店舗の新規出店やリニューアルが目立った。それはGHPの新たな有望な市場となった。
99年3月に生産累計100万馬力達成
 1997年に三洋電機(空調システム事業部)はISO9001認証を取得した。このときモジュール設計を取り入れた。その代表例は「外形寸法の統一」である。これによって13馬力も16馬力も20馬力の室外機の高さ、幅、奥行きが全部一定になった。そのメリットは開発期間の短縮、品質の向上、生産性の向上に寄与した。1998年に三洋は足利市にGHP専用工場を持った。
 1999年3月には生産累計100万馬力を達成した。2000年9月、足利市の工場にリビングメイト専用ラインを作り発売した。また、2002年に新冷媒R407Cに、そして2004年10月にはR410A機を発売した。
クリーンエナジーカンパニー
 島田さんのクリーンエナジーカンパニーはソーラーもコンプレッサーもそれぞれ1,500億円、都合3,000億円ほどが総売上高の会社である。ソーラーの工場は大阪・貝塚の二色の浜が本拠地で、島根三洋工業、兵庫県加西市のエナジー研究所、鎮岩工場、群馬工場、そして北米にはロス、メキシコ、ハンガリー(今年6月完成)に工場がある。コンプレッサーは中国の瀋陽、大連、青島、インドネシア、メキシコ、そして群馬でCO2すなわちエコキュートを開発している。完成すれば海外で製作すると言う。
 島田さんは、空調ばかりに30年も携わってマンネリになっていたが、新しい分野で新鮮味を感じている。また、これまで完成した商品をやってきた。それはブランド力が物を言ったが、コンポーネント部品は、物がよければ競争相手にも売れる。そんな思いもあると、さして力むでもなく淡々と話してくれた。

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