思う存分やれ、責任は俺がとる
全国LPガス卸売協会専務理事
村上光弘氏


ウエーブ・風 話題と肖像画/ナリケンがゆく <167>

 全国LPガス卸売協会・専務理事の村上光弘さんは、部下の眼線にまで降りて行って一緒に悩み実践して、それがうまく行ったとき部下と共々に喜び合う。そして、皆に思う存分やってくれ、責任は自分がとる。成功談をしたいだろうが、困ったこと、トラブル、問題点を言ってくれ、一緒になって苦労しよう。これが自分の信条だと言う。筆者などがこのようなことを言えば気障に聞こえるが、村上さんが語ると少しの違和感もない。村上さんのサラリーマン人生、昭和37年に大学を出て岩谷産業に入社して40年余、社命により14回の転勤をした。業績のよい所は無かった。数字のよい所に行ってこれを守るよりも業績の悪い所をよくすることに喜びがあった。
小倉営業所に9年、中国路で14年
 村上専務は岩谷産業に就職するや直ちに小倉営業所の営業課溶材係を命じられた。大阪から朋輩と2人で夜汽車で小倉に着いた。迎えの人はなく、朋輩とさびしいなと語らいながら北九州市の末広町の工場に行った。ここに社員寮があった。新入社員は1箱30㌔箱の熔接棒を自転車に積んで運んだ。走っているときはよいが、止まると荷が重く後ろに自転車が倒れた。だんだん仕事を覚えて日豊線で延岡、宮崎に行って営業した。大分にも行った。かくて9年間、小倉営業所での勤務が続いた。昭和46年暮から宇部出張所(3年間)、小郡出張所(3年間)、山口営業所(8年間)働いた。山口県で都合14年間生産関連部門の営業をした。
岡山支店長になる
 昭和60年12月1日、岡山支店長を拝命。村上さんは、この時をもって自分がエネルギーにかかわることになった始まりだったと言う。そしてその在職期間の4年4カ月はまことに厳しいかったと振り返る。これまで経験した生産関連部門とは文化が違うのである。また、生産部門から支店長になる者はこれまで殆どいなかった。自分は昭和37年入社であるが、昭和60年に再入社したような気持ちで頑張った。
 えらい所に来たな、といった感じも抱いた。ここで成功しなければ今後、生産部門から支店長は生まれないんじゃないかとも考えた。4年4カ月の成果は、ドンケツから1位になったのである。
京都、神戸、広島の支店長、中四国本部長を務める
 平成2年4月京都支店長、平成4年4月神戸支店長、平成6年6月中四国本部長兼広島支店長。京都支店長のとき、支店を駅前の関電のビルから吉祥院の以前に使っていた事務所に移しコスト・セービングを図った。神戸支店長時には一般高圧ガスの熾烈な商戦を闘い抜いた。その後、地方本部制が敷かれ、中四国支社長兼広島支店長時には広島ガスプロパンの米田正幸会長と手を携えて大量充填、大量輸送を実現した。また、下関市で岩谷産業、伊藤忠エネックス、西部ツバメプロパン(現ツバメガスフロンティア)の充填所統廃合をした。山陰の平田では2次基地の中に3次基地を設けるなど着実に事業を進展した。
鹿島液化ガス共同備蓄に出向
 京都支店長になって丸1年が経過した平成3年4月、鹿島液化ガス共同備蓄の神栖基地への出向を命じられた。茨城県の神栖って何処だと地図で探す始末だった。そして当時、村上さんは京都に単身赴任だった。3月31日に奥さんたち家族が京都に引っ越して来る手筈になっていた。家族は岡山から京都に、ご自分は神栖へ移動した。
 このときの神栖勤務は1年で終わり、平成4年4月には神戸支店長に転出したのであるが、液化ガス共同備蓄とは縁が切れず平成14年7月から同16年まで石油公団に出向、プロジェクトマネージャーとして国家備蓄神栖基地建設を担当した。16年7月に病を得て石油公団出向を解かれ、同年10月に岩谷産業総合エネルギー本部長付になった。病気とは言え、鹿島プロジェクトを最後までできなかったことが悔やまれると言う。
牧野明次会長から全卸協専務にと頼まれて
 平成16年4月、岩谷産業総合エネルギー本部長付で四国岩谷産業に行った。同年5月14日に大阪で素春会(岩谷OB会)があった。ここで牧野社長、渡辺副社長、重松本部長から野坂さんが倒れた、専務理事をという話になったのである。自分は承諾したが、妻を説得するのに時間を要した。こうして5月19日の総会で専務理事に就任したのである。
全卸協が今、やっていること
 ①自主保安確保と保安の高度化…保安に対するコンプライアンスを経営トップ自ら徹底して行うよう周知している。②交錯配送の廃止…全国に供給地点が16万ある。振興センターの調査によれば業界全体で交錯配送ロスは年間190億円にのぼる。全卸協は、埼玉県をモデルに十数社がデータを持ち寄りバルク配送モデルを構築中である。3月までにまとめ、4月には発表できる。③高騰する輸入価額に対応する具体的対策…日本のマーケット事情がCPに反映していない。ワン・ウエイである。3月3日にアナリスト、識者を招いて虎ノ門パストラルで経営研修会を行い、この問題に焦点を当てる。④高効率厨房機器補助事業(日団協経由事業)…今年度予算3億円は使いきり、本制度によって1万8,547台のガラストップこんろを販売した。CO2削減に効果が大きい器具だから18年度もこの制度を活用して弾みをつけたい。
 村上光弘専務理事は、かく語った。


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