CDエリア戦略、3年後が楽しみ
静岡ガスエネルギー社長 
山口富嗣氏


ウエーブ・風 話題と肖像画/ナリケンがゆく <173 >

  山口富嗣社長は昨年6月に実施した「お客様大感謝祭」の話から始めた。昨年6月25、26の両日、静岡ガス静岡工場跡地3,000平方mに東は沼津、三島方面、西は浜松方面の県内全域から2日間で貸切バス延べ11台で2,224組、3,623人を動員、3,378万2,000円の商談を成立させた。売上目標よりもお客様に来てもらい、触れあいを深めることに重点を置いた。静岡ガスエネルギーという会社を知ってもらい会社との接点を増やす。その結果、ガス器具が売れたとしなければならない。だから大感謝祭では日に2回大ビンゴゲーム、大道芸、金魚すくい、朝市・夕市があり、また、土鍋ごはん・簡単料理の実演、最新ガス機器の展示・実演と盛りだくさんだった。そして社員総出で火傷をしながら焼きそばを焼き、手を真っ赤にしてお客さんに運んだ。
 LPガス業界はお客との接触が弱く、都市ガスほど認知されていない。従って安売りに靡いてしまう。大感謝祭を通じて顧客との接点強化を全社員に繰り返し訴えた。
静岡ガスエネルギー発・ミニコミ誌「くらしケチャップ」
 「くらしケチャップ」05・SUMMER(創刊号)、05・AUTUMN(第2号)、06・SPRING(第3号)が既刊である。年に3回、季節の変わり目に発刊する。そのコンセプトは、①なに気ないくらしにスパイスをプラスである。言い換えればライフスタイルにプラスαを提案して、毎日を楽しく…である②メーンターゲットは、20代後半~50代前半の主婦、サブターゲットは、主婦を取り囲む「家族」という枠③双方向性と継続性である。編集は、それぞれの年代を代表する女性6人である。彼女たちの名刺には職制はなく、「くらしケチャップ編集室・編集委員」とある。売らんかなが見えると嫌われるから宣伝臭は出さぬように氣を付けている。1回に4万5,000部配布するが、好評である。アンケートの回答も、返信用切手は別納にしていないが、読者は自前で切手を貼って毎回600通は下らない。
CDエリア制戦略
 『CD(customer delight)』カストマー・ディライト。Customer(顧客)、delight(喜び・愉快・楽しみ)。
 顧客感動、顧客に期待以上のサービスを提供することである。これに対して従来から『CS(customer satisfaction)』顧客満足の概念はあった。従来型のCS訪問の問題点は、担当者が一部かつ不明確で社内全体の一体感がない。そしてどうしても『売り』姿勢になってしまう。また、CS訪問活動に対する評価制度がなかった。このCS活動の欠点を克服した体制と仕組みの創出が急務であった。これを実現したのがCDエリア制戦略である。静岡ガスエネルギーは、親会社の静岡ガスグループのシステム開発会社である静岡ガス・システムソリューション(株)に千数百万円の開発投資をしてCDエリア制のソフトを完成させ、平成17年11月に「CDエリア制戦略」をスタートした。
CDエリアマン
 CD活動体制の中心的存在がCDエリアマンである。固定エリア内固定顧客300件/人を担当して継続的濃密な顧客接点活動を展開する。CDエリアマン65人が選ばれ、65人×300件=1万9,500件がロイヤルカスタマーである。ロイヤルカスタマーは、戸建て顧客=1万5,000、アパート・オーナー=3,000を300件/エリアでブロック化した。
 保安の巡回や器具の修理に出動した者の伝票処理に終わらせないでその内容をデータベース化する。こうして「お客様カルテ」の蓄積、進化が図られる。
 このシステムの愛称をキャディ(Caddie)と言う。ゴルフのキャディがプレーヤーのサポートをするように、われわれはお客さまのキャディになろう…。あるいは新システムCADDIEは、(あたかもゴルフのキャディのように)それを使うCDエリアスタッフのサポートを果たす…ということから、命名した。かくてCDエリアマンは、顧客セグメントを細分化、分析できる。CDエリア制戦略のために開発したシステム「CADDIE」と連携してCDエリア制戦略を器具販売管理面からサポートする「ガス器具販売管理システム」を同時に開発した。このシステムの愛称がプロフィット(PROFIT =利益、収益、儲け)である。このようにしてCD活動を継続成長させることができるし、CDシステム得意先台帳や保有器具データを自動出力できる。
平成17年度LPガス販売
 平成17年1月~同年12月の総売上高83億4,300万円、うちLPガス売上高は、67億6,300万円(前期比12 ・4%増)。LPガス販売量は、家庭用1万1,733トン(同0・3%増)、業務用は新規開拓が進み7017トン(同2 ・5%増)。卸販売は順調に推移して3万3,780トン(同13・5%増)、工業用は3,822トン(同10・7%減)、大口工業用も8,728トン(同16・4%減)だった。既存の客が都市ガスへ移行したためである。これを総合してLPガス総販売量は、6万5,080トン(同4・2%増)だった。都市ガスへの移行、同業他社や電化攻勢を受けたが、当期中の新設戸数は、5,665戸を獲得、当期末の使用戸数は4万5,951戸(同3・6%増)だった。
女性のCDエリアマンの活動
 山口社長は、大きな体躯を乗り出してCDエリアマンの中には女性もいると、彼女らの仕事ぶりを話してくれた。自分のエリアのお客様を訪問するときお掃除キットを持参する。お客さんの厨房機器をクリーニングすのにお客さんのものを使わない。塵芥は持ち帰っている。土、日曜に出勤してセグメントしたお客をエコジョーズお勧め用にリストアップしたり、お得意訪問をしている。3年先が楽しみだと、大いに手ごたえを覚えている体だった。

プロパン・ブタンニュース/石油化学新聞社(C)