十勝の大地の声を聴き世界に発進
帯広プロパン会長
大友俊雄氏



ウエーブ・風 話題と肖像画/ナリケンがゆく <183>

 北海道帯広市の帯広プロパンの会議室に通されるや「専業ほど弱いものはない」というタイトルの掲示に目が行った。創業者である大友俊雄会長、長男の俊一社長連名の決意表明とも言うべき掲示である。大友会長は、創業の精神「世の中に必要なものは栄える」を受けて「専業ほど弱いものない」という経営哲学の持ち主である。お客さまが求めている様々な欲求に応えねばお客さまに見放され、事業は衰退する。この危機感が「専業ほど弱いものはない」である。
 その為に帯広プロパンは、思い切った多角化を進めている。①LPガス、灯油、重油、石炭の燃料部門②キッチン、バス、工事、リフォーム等の住設部門は、暖房機器の分解・整備から家電製品・健康機器の販売、ロードヒーティング等③店舗を活用したクリーニング取り次ぎ。これでお客が頻繁に来店するようになった④帯広市の郵便局14局とネットワークしてゆうパックの取り次ぎは年間8,000~9,000個に及ぶ⑤十勝ならではのオリジナル食品部門など。かくて、平成17年度の売上高は5億9,000万円、従業員は30人である。
産直ネットワークの商品
 十勝産舞茸のエキスを配合した「舞茸しょうゆ」、長寿源みそ、長寿源ドレッシング、長寿源たれ、オホーツク海水100%の長寿源自然塩、十勝産グリーンアスパラのチルドゆうパック、十勝産朝もぎとうきびチルドゆうパック、十勝産いも、かぼちゃ、ながいも、富良野産ルピアレッドメロン、十勝広尾産新巻鮭、ししゃもゆうパック等々の発売元は皆オビプロ(帯広プロパン)である。昨年、同社が扱った産地直送事業の売り上げは5,000万円に達した。ゆうパックの送料だけでも470万円だった。この産直ネットワークを電子メールやインターネットを活用してさらに拡大するべく取締役部長の大友英二さんは励んでいる。大友会長は、新事業が軌道に乗ったと判断できれば、関連会社として分離し、担当者に経営を任せたいと言っている。
和太鼓平原流鼓友会会長の大友俊雄さん
 帯広市の開基90周年事業に郷土芸能を披露したいということで、広大な十勝平野をイメージして「平原太鼓」が昭和45年に生まれた。民謡をやっていた大友会長は、郷土芸能はその土地から出てくるものと、自ら作曲・振り付けを手掛けた。そして平原太鼓鼓友会の会長を務め、今日に至っている。現在年間3、40回ほど出演要請がある。
 昭和47年札幌冬季オリンピック前夜祭の「全道太鼓競演会」で第一席の栄誉に輝いた。また、平成3年、帯広市開拓120年、市制施行70周年式典で平原太鼓が表彰された。毎年続いている平原まつりでは全道から300人もの打ち手が参加し、合同曲打ちは道内最大級である。市の職員や地域の人々と一緒になって「平原太鼓」を創出した。大友俊雄会長は、その宗家家元の会長である。帯広市観光課の要請で書いた「平原太鼓を思う」という大平会長の文書の一節に「太鼓を始める1年前の昭和44年に妻と2人で大友熱源(現在の帯広プロパン)を開業、正に太鼓と共々の生活だった」を読み、よくぞここまで続けられたとその天分の才能と努力に尊敬の念を禁じ得なかった。
数々の表彰状と感謝状
 大友俊雄会長は北海道知事や帯広市長をはじめ北海道新聞、岩谷産業等から産業経済の発展に寄与、伝統芸能の保存・普及、国際親善・交流に貢献等々による多くの賞状、感謝状を受けている。それを列挙していたのでは本稿はそれだけで埋め尽くさねばならない。特徴的な賞状の二、三を挙げてみよう。
 昨年9月、岩谷産業から受けた「すっぽんドリンク」35万本達成の感謝状、昭和47年1月、第23回札幌雪まつり全道太鼓競演会で第一席の賞状、平成17年8月に徳島市長が大友会長に贈った感謝状、同じころ徳島県知事と徳島県人会連合会は大友会長に徳島交流大使を委嘱した。
 これには少し説明が要るだろう。昭和52年以来帯広、徳島の両市は毎年相互に親善訪問団を派遣して交流を深めてきが、市の財政事情から次回の訪問を両市の姉妹都市締結25周年に当たる平成19年とした。大友会長は長年続いた交流のきずなを絶やすまいと、「阿波踊りを愛する帯広市民の会」(大友俊雄会長)有志が帯広市長のメッセージを携えて阿波踊りに参加して毎年の交流を継続しているのである。
十勝在住の外国人を招いたワインパーティー
 帯広市国際親善交流市民の会(大友俊雄会長)の第30回国際親善市民の夕べは帯広市の迎賓閣で開かれた。会長は「世界を見渡すと紛争が絶えないが、このパーティーでは皆が心を一つにして楽しんでほしい」とあいさつした。出席の500人は、いろんな国の人と知り合えて、ワインも最高と大満足だった。また、同会は帯広市と国際友好都市である中国遼寧省朝陽市に昨年、民間ボランティアとして帯広の森をつくろうと植樹隊を派遣した。毎年継続するとしている。
 大友さんは、十勝の大地の声に耳を傾け、眼(まなこ)は世界に向かって大きく見開いている。


プロパン・ブタンニュース/石油化学新聞社(C)