有言実行、日本一のシナネンに | ||
シナネン社長 | ||
鈴木 弘行氏 | ||
ウエーブ・風 話題と肖像画/ナリケンがゆく <188> |
シナネンの鈴木弘行社長は今年3月、同社の8代目社長に就任が決まった。6月から新経営陣となり、新たに事業の挑戦が始まっている。さる7月11日、平成18年度社内決起大会で鈴木社長は「創造力が豊かで実現力の高い活気に満ちた会社」にしようと呼びかけた。「創造力豊か」とは燃料や生活関連商品は差別化しにくい商品だが、サービスによって付加価値をつける。差別化する力が「創造力」である。「実現力の高い」とは、評論家的立場をやめて実行する。そしてさらに高い次元の商売に繋げて行こうというのである。「活気に満ちた」は会社に拘束される1日8時間を漫然と過ごすのではなく、失敗を恐れず新しいことに挑戦する勧めである。 事業環境は、企業の投資負担が増え、競争は激化している。これまでの競争は同業者間のシェア争い(相対的)だったが、これからの競争はいかに「お客さまから選ばれる会社になるか」の絶対競争である。他社の動向とは無関係にシナネングループ独自のサービスを創造して付加価値をつけて行かねばならないと強調した。 プラン236 プラン236は平成15年度を初年度として同19年度を最終年度とする中期経営計画で、最終年度の目標は灯油販売量200万㌔㍑、LPガス小売消費者数30万戸、ROE(株主資本利益率)6.0%である。プラン名の「236」は、ここから採られた。想定した目標達成には一段の努力が必要だが、自信をもってこれを推進すると鈴木社長は述べた。 LPガス小売事業では昨年4月、関東地区のLPガス販売子会社5社(シナネン関東ガス販売、ニチメンエネルギーガス販売、チバネンホームガスの3社統合とミヤネンとアルプス産業の小売部門併合)が統合発足した。統合した関東圏の小売会社の年間売上高約150億円、顧客数は約12万戸、営業拠点46カ所、年間販売量約7万㌧である。これは地域の販売体制の確立を意味し、全国シナネングループの模範となった。これに引き続き今年4月には関東圏卸事業の統合がなされた。グループで卸事業を担うのはシナネン、品川ハイネン、マツバ産業となった。かくて錯綜エリアを無くして効率化を推し進めた。 それだけではない。鈴木社長は、卸事業統合の背景をエネルギー間の競争の激化(特に電化攻勢)、元売の再編、人口・世帯数の伸び悩み、原油価格、CPの上昇などと関連づけてシナネングループ全体で人材やマネーなど経営資源を集中させ、効率的かつ強固な事業体質を構築するものだと説明した。 「プラン236」に沿って関東エリアで小売、卸事業部門の統合に引き続き、今年4月には保安・物流部門のグループ3社(シナネン北関東ひまわりガスセンター、シナネン中央ひまわりガスセンター、シナネン神奈川ひまわりガスセンター)がシナネン北関東ひまわりガスセンター(本社・水戸市)を存続会社として合併した。合併会社の社名は、シナネンひまわりサービスセンター、本社は水戸市、資本金4,000万円である。これは機能別統合である。 鳥インフルエンザに効果、無機抗菌剤 世界的に問題になっている鳥インフルエンザウイルスを100%不活化し、高い抗ウイルス効果がある無機抗菌剤「ゼオミック」は、シナネン子会社のシナネンゼオミックが製造発売している。「ゼオミック」は生地の表面加工や樹脂に練りこみ、塗料化など加工性にも富むから今後、鶏舎用カーテン、養鶏場資材、空調用フィルター、衣料品など抗ウイルス製品に展開していく方針。ゼオミック以外にも製造業では煉豆炭のイシネンもあり、この他の製造業は品川開発が担っている。 鈴木社長の所信表明の結語 社内決起大会で鈴木社長が語った所信表明の結語を要約しておこう。「見えるということの大切さ」。あなたは、「あなたの仕事が見えていますか」。あなたは「他のグループの仕事が見えていますか」。あなたは「会社全体の仕事が見えていますか」。 仕事には定形型と非定形型がある。定形型はシンプル化して効率を上げましょう。非定形型は情報の交換、情報の整理が必要。 「有言」とは「私はこのような仕事にチャレンジしています」。「こういう情報を持っています」。「こういう情報がほしいです」。「上司にはこのように理解してほしい」等々、きちんと発言してコミュニケーションを十分に行うこと。「実行」とは、議論ばかりでなく実現のための行動をできるだけ社外の人と接触して実現力を高めること。 かつて蒸気機関車は1両で数十両の車両を引っ張っていた。新幹線は多くの車両に駆動モーターを持っている。会社も蒸気機関車よろしくトップが敷いたレールの上をそのまま走るような時代ではない。社員一人ひとりが会社の将来を考えて声を出して一致団結して日本一のシナネングループを創ろうと結んだ。 |
プロパン・ブタンニュース/石油化学新聞社(C)