総合面
エネ庁が取引適正化ガイドライン案 LPガス 流通WG 事案蓄積で明確化
法令順守や自主的取り組み促す
資源エネルギー庁燃料流通政策室は20日に開かれた総合資源エネルギー調査会LPガス流通ワーキンググループ(座長=内山隆・青山学院大学教授)の第9回会合で、制度改正に対応した取引適正化ガイドラインの改正案を示した。問題となる行為や望ましい行為の具体例や考え方を盛り込み「LPガス法などの関係法令の順守や自主的な取り組みを促すための指針」として位置づけた。趣旨・内容に照らして個別事案への判断を積み重ねることで法令解釈を明確化していく。近日中にパブリックコメントを募集し、最初の改正省令施行を迎える7月2日以前に内容を確定する。
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2023年末のLPガス販売事業者数、590者減の1万5791者
6年ぶり500者超減少
経済産業省ガス安全室が17日に発表した2023年12月末時点の全国LPガス販売事業者数は1万5791者となり、前回統計の22年12月末から590者減となった。一部集計漏れのあった18年度を除き、減少幅が500者を超えたのは6年ぶりとなる。
災害時にも強い分散型エネルギーとしてLPガスの活用が期待されているが、同業者間やエネルギー間の競合激化、消費量の減退、後継者難などを背景に、商圏譲渡や経営統合などによって事業者数の減少傾向が加速している。
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首都圏版
シナネンホールディングス、LPガス事業と建物管理事業でシナジー
サービス展開強化
シナネンホールディングス(本社・東京、山﨑正毅社長)は21日、東京・千代田区のグラントウキョウノースタワーで決算説明会を開いた。6月の株主総会で新社長CEOに就任する予定の中込太郎・シナネンアクシア社長が今後の方針を述べ、建物維持管理事業とLPガス事業のエリア融合やサービスラインアップの強化など「地域へのサービスを提供する会社」としての展開を示した。
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地方版
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北海道=エア・ウォーター、乳業メーカーへバイオメタンを納入
日本初の商用利用開始
帯広市のLBM製造プラント
エア・ウォーター(本社・大阪市、豊田喜久夫会長)は10日から、家畜ふん尿を原料とするバイオメタン(LBM)を、音更町にある道内大手の乳業メーカーへ販売目的に初納入した。製造から販売までのサプライチェーン構築のため、同メーカーへ実証的に出荷はしていたが、商用目的のLBM出荷は、わが国では今回が初めてとなる。
東北=青森ツバメ、しょうゆの製造販売開始
「生活物資」届ける業態に 事業譲受 みそ・塩も
青森つばめプロパン販売(本社・八戸市、黒澤周成社長)は青森県事業継承・引継ぎ支援センターの仲介で髙村醤油本店(八戸市)のしょうゆ製造販売事業を譲り受け、4月から事業を開始した。青森つばめはグループとして酒や宅配水も扱っており「生活物資を届ける」業態へのシフトが進んでいる。
(左から)事業譲受からしょうゆ事業に携わる久保沢直子社員、食品衛生管理者の資格を取った北田一幸常務、営業担当の竹達楓華社員
同社によると髙村醤油本店は120年の歴史を持つが、後継者がいないため存続が危ぶまれ、飲食店や食品加工業者などの固定ファンから事業継続を望む声が上がっていたという。「県事業継承・引継ぎ支援センターから提案を受け、後継者不足という地域の課題に向き合いたいと思い、譲り受けることを決めた」(黒澤社長)
中部=℮パートナーとやま、システム調整 稼働順調
「一枚岩」へ前進
富山県を中心に北陸エリアで充填・配送事業を展開するeパートナーとやま(本社・富山市、酒井智俊社長)は、4月1日の事業開始から順調に稼働を進めている。5月中に異なる系列間のシステムや配送員の待遇改善など社内環境の調整に一定のメドをつけ、6月からの本格稼働と秋以降の繁忙期に備える。来年以降も機動性と効率性を一層高めるため改善を進め、一枚岩体制の完成形を目指す。
近畿・四国=イーエルジー(東大阪市)、質量販売の出張講習会を本格化
緊急時対応 質量販売安全に貢献
質量販売緊急時対応講習の実施者として活動するイーエルジー(本社・東大阪市、米島周作社長)は、同講習の「出張講習会」を本格化する。昨年1月から毎月講習を行う同社は、実会場とともにウェブ講習を実施。これらに出張講習会を加える方針だ。米島社長は「各地の実情を把握しながら質量販売について草の根活動を継続する。安全・安心を最優先に事故撲滅に貢献したい。ユーザーの需要を満たし、業界全体の質量販売をかさ上げしたい」と話す。ホームページのみで出張講習会を周知しているが、既に関東や中国地方での実施予定がある。
近畿・四国=油新(滋賀県豊郷町)、漏水調査の業態革新 ガス式探索機を導入
料金明確化で受注3倍
油新(本社・滋賀県豊郷町、青山新弥社長)は昨年5月にガス式漏水探索機を導入、水道漏水調査の時間短縮と料金明確化を実現した。導入前と比べ調査件数は3倍、受注額は2・5倍になった。
漏水調査に投資した理由について、青山社長は「LPガスや石油、設備を扱う店は地域にいくつもある。他社と差別化できる武器を探すなかで選んだ」と話す。同社は従来、掘削による漏水調査を行ってきた。土を掘って埋設配管を見つけ、配管にキャップをして水道メーターの動きを見て、漏洩個所がキャップの上流か下流かを判断する。それを繰り返し、漏洩個所を特定する方法だ。
中国=パロマフェア広島に1050人来場
進化した新製品訴求
「ブライツ」のプレゼンテーションも注目を集めた
パロマ中国支店(河野真二支店長)は4月26日、広島市の県立広島産業会館で「お客様の笑顔を、皆さまと。」をテーマにパロマフェア2024を開いた。1050人が来場した。主力商品を展示し、効果的な提案ポイントを紹介。併せて新製品開発の背景と目的、全国に置く研修センターの案内やパロマ学校のメニュー、カーボンニュートラル(CN)に向けた取り組みなどをパネルで分かりやすく示し、VOC(ユーザーの声)を反映して改善した事例なども紹介した。
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九州=宮崎県協青年部、南海トラフ地震に備え
看護学生と災害時体験
炊き出しセットを使ったハイゼックス炊飯。日南学園看護学科の学生が参加した
宮崎県LPガス協会青年部(渡辺浩希委員長)は1日、日南市の道の駅きたごうで今年度の「災害時応援活動」を実施した。協会側から12人が出席、日南学園看護学科の学生40人、日南市危機管理室の2人が参加した。 青年部の災害時応援活動は3回目。防災設備や食料備蓄を備えた道の駅きたごうの協力で、炊き出しセットとハイゼックスによる炊き出し訓練、簡易トイレ設営、LPガス可搬式非常用発電機の起動体験などを行った。 開会式で青年部顧問の佐々木直哉・宮崎県協会副会長は「能登半島の震度7を皮切りに日南市の震度5弱、豊後水道付近の震度6弱と大型の地震が連続している。災害時や災害後の行動が命を守るうえで非常に重要となる。分散型エネルギーのLPガスは避難所など必要とされるところで必要な分を使ってお湯を沸かし、炊き出しができる。
LPガス可搬式非常用発電機の起動体験も行った
住設・新技術
理研計器、ポータブル型ガスリーク検知器発売 現場ニーズに徹底対応
「SP-230シリーズ」安全で使いやすく堅牢
片手での簡単操作を実現したポータブルガスリーク検知器「SP―230」
理研計器(本社・東京、松本哲哉社長)は、ポータブル型ガスリーク検知器「SP―230シリーズ」を開発し、8日に出荷を開始した。LPガス・都市ガスのガス漏洩を素早く、確実に検知するポータブル型のガスリーク検知器で、現場のニーズに徹底対応し、安全・安心に使いやすさと堅牢性を加えた。
従来のLCD表示画面に加え、LED表示部を搭載したことで見やすさを向上。現在のガス警報点やガス濃度、動作状態を色と目盛りで知らせる。前方を照らすLEDライトとボタン部にバックライトを搭載することで暗所の作業でも手元の操作をしやすくした。ボタン部は、LEDライトや警報・操作音のオン・オフ、ガス警報点切り替え、ショートカットキー割り当てなど、頻繁に使う機能をワンプッシュで操作できるようにした。
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GHPとコ・ジェネ版
GHPコンソーシアムが中期市場予測
25~26年度に3万台超 避難所空調が加速へ
GHPコンソ―シアム調査統計部会は、2024年度からの中期市場見通しをまとめた。レポートでは今年1月の能登半島地震を契機に、避難所となる学校体育館への空調設置が加速すると想定。25~26年度にかけて、GHPの出荷が3万台を超えると予測した。
足元のGHP販売は、更新対象となる過去の出荷落ち込みなどから伸びを欠いている。リプレースの確実な掘り起こしなどで極端な数量低下はないものの、特に更新機の出荷割合が7~8割に及ぶLPガス仕様機については、直近2年間は6千台を下回る販売状況となっている。
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「2024全国縦断GHPフォーラム」、6月末に札幌から開幕
全国7都市を巡回
GHPコンソーシアム(清水尚之理事長)の主要事業であるGHPフォーラムが、6月28日の札幌会場を起点に全国7都市を巡回する。7月に広島、福岡、名古屋、大阪、9月に東京と仙台で開催する。
今年度の開催テーマは「カーボンニュートラルとレジリエンス~GHPによるエネルギー問題への貢献を考える~」とした。環境対策と災害への備えを同時実現する空調システムとして、GHPの有効活用法を掘り下げる。
基調講演では、資源エネルギー庁がLPガス関連政策の最新情勢を解説する。 また、災害バルク補助やレジリエンス強化型ZEB実証事業を活用し、学校体育館や自治体庁舎などにGHPを導入した事例の紹介を会場別にセッティングするなど、内容を充実させてGHP利活用の具体的効果を示す。
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- ダイキン工業、竹中直文専務が新社長に就任へ
ダイキン工業は9日に開催した取締役会で、十河政則代表取締役社長兼CEOが代表取締役会長兼CEOに異動し、竹中直文専務執行役員が代表取締役社長兼COOに就任することを決議した。6月27日に開催する定時株主総会の承認を経て、その後の取締役会で正式決定する。
竹中直文(たけなか・なおふみ)氏 1986年ダイキン工業入社。2003年空調生産本部企画部企画担当部長兼空調開発企画室開発企画担当部長、04年同本部企画部長兼企画部原価企画担当部長、09年空調営業本部事業戦略室長、11年同本部副本部長(事業戦略担当)兼事業戦略室長、12年専任役員SCM担当、17年常務専任役員、18年常務執行役員、20年同人事、総務担当、21年現職。1964年1月31日生まれ、60歳。
<LPG車特集>
ポテンシャル遺憾なく
2023年の自動車用LPガス出荷実績(日本LPガス協会調べ)は前年比5・5%減の34万9656㌧だった。コロナ感染症の5類移行から1年を経ても需要は低位にとどまっている。半世紀超にわたり商用モビリティーを下支えしてきたオートガスとLPG車は大きな潮目を迎えている。一方、LPG車の優位点である経済性、環境性、レジリエンス性は失われていない。特有の強みを生かし事業継続や地域交通の利便性向上に取り組む事業者をルポした。
- 伊丹産業=法人営業を積極展開 今期目標150台
- 富士エネルギー=自治体向け提案強化 「自立型」認証取得 プロパン化を提言
- SAGAMITAXI=生活の足、地域住民に コミュニティーバスも
- サイサン=「1店1台運動」継続 カーリースで支援
- エフ・ケイメカニック=バイフェーエル改造車4500台突破 利便と信頼一層高く
- サーティーフォー交通=全車両の半数LPガス化 乗員と環境に優しく