総合面
エネ庁、改正法実効性確保へ議論開始 16社に聞き取りや指導
通報フォームに1900件 改正法実効性確保へ議論開始
総合資源エネルギー調査会LPガス流通ワーキンググループ(座長=内山隆・青山学院大学総合文化政策学部教授)は20日に第10回会合を開き、LPガス法改正省令の実効性確保のための市場監視、モニタリング体制構築に向けた議論を開始した。日置純子・資源エネルギー庁燃料流通政策室長が改正省令施行後の状況を説明。通報フォームに寄せられた通報件数を公表し、情報をもとに全国で16事業者に聞き取りや指導を行ったと報告した。
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<トップインタビュー>T&Dリース・根釜健社長、既存領域軸に新規拡大
クリーンガスを〝深耕開拓〟
今年度からT&Dリース社長に就いた根釜健氏。1987年に太陽生命保険相互会社に入社後、保険契約の安定した利回り確保を担う資産運用をサポートしてきた専門家だ。一方、エネルギー業界については「未知の領域」と語る。新たな世界で どのような成長ビジョンを描くのかをたずねた。 ◇ ◇
―社長就任を受けての抱負は。
約35年にわたり、証券投資や不動産投資を通じ安定した資産運用に取り組んできた。主な取引先は証券会社や銀行、他の金融関連企業。この世界観からすると、エネルギー業界はまったく未知の領域だ。しかし、就任から半年余り経ち、さまざまな地域・規模のお客さまと接するなかで、当社の強みや今後の業界への貢献のかたちが見え始めた。 当社は1966年に日本エルピーガスメーターリースとして創業し、60年近くLPガス業界に寄り添ってきた。現在は太陽生命保険株式会社のもと、T&D保険グループの一角として独自性、専門性の高いビジネス基盤を確立している。特徴的なのはこれまでに得た知見から、インフラ事業に対する与信が銀行系と異なっていること。短期の業績だけで判断をせず、実績、信用度、将来に対する事業の見込みをもとに、実態として堅実な経営をされている企業には安定的な与信を行っているのが当社の強みの一つだ。
首都圏版
シナネンHD、リテール戦略強化へ
新経営体制の成長戦略加速
シナネンホールディングス(本社・東京、中込太郎社長)は14日、東京・千代田区のグラントウキョウノースタワーで中間期決算説明会を開いた。電力事業は需給管理体制の見直しで黒字回復。新経営体制方針の成長戦略に掲げる事業基盤整備とリテールサービス戦略の強化へ事業会社連携の準備を進める。
次世代を担うメンバーでのリテールサービス推進プロジェクトが立ち上がり、国内事業の基盤整備に向けた議論が始まっているとした。事業会社間での商材の錯綜を解消し、エリアに根差した顧客密着の事業体制を整える。
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東京都LPガス協会、小池知事に予算要望
LPガス常設と保安強化で
東京都LPガス協会の尾崎義美会長ら執行部が19日、東京・新宿の都庁第一庁舎を訪れ、小池百合子知事にLPガスの活用促進と保安強化を軸とした予算要望書を提出した。学校など避難所施設に対するLPガス設備常設のための助成金創設を求めるとともに、保安講習会の内容充実強化や国の配送合理化補助金の改善も提言した。
尾崎会長は冒頭、LPガス熱源を全面採用した八王子市学校給食センターに小池知事が視察に訪れたことに触れ、LPガス事業に対する都の理解や支援に謝意を表明。LPガスが災害から早期復旧できるライフラインであり、能登半島地震でも避難者の命をつないできた実績を強調した。 尾崎会長は「LPガス業界として緊急時に対応した強靭な供給体制を確保し、不意の災害でも熱や電力の供給に役割を発揮できる」と説明し、学校や一時滞在施設など避難所となる公共施設でLPガス設備の常設を推進するための助成金の予算化を要望した。
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地方面
北海道=保安教育にIT活用
北海道ENEOSグローブ会、経営幹部が研修
ENEOSグローブ北海道支店(細川征浩支店長)と特約店会の北海道ENEOSグローブ会(梅村卓司会長)は13日、札幌市の札幌グランドホテルで経営幹部研修会を開いた。同社がガス漏れ対応VRシミュレーターを紹介した。
VRシミュレーターを体験する梅村卓司会長(左から2人目)
梅村会長はあいさつで商慣習是正について「LPガスの優位性が維持され、社会から信頼されるよう省令改正を順守しなければならない」と訴えた。国が審議している第7次エネルギー基本計画でのLPガスの位置づけに言及し「業界の未来に向け注目しなければならない」と述べた。研修会の前半はガス漏れ対応VRシミュレーターを紹介した。人手不足や高齢化からベテランの保安担当者が将来不足していく現実を踏まえ、ENEOSグローブ事業創造室がノウハウの継承を目的に開発した。具体的には、VRゴーグルを装着した使用者が仮想空間内でアバターとなってガス漏れ時の対応法を実践し、実地さながらに学べるツール。ガス漏れをランダムに発生できるほか複数人での使用も可能。
東北=タプロス、秋田市内の北都銀行2支店に供給
カーボンオフセットガス
供給証明書を持つ佐藤寛樹社長(左)と北都銀行の伊藤大介取締役常務執行役員
タプロス(本社・秋田市、佐藤寛樹社長)は10月から、秋田市内にある北都銀行の土崎支店と秋田北支店にカーボンオフセットLPガスの供給を開始した。今月12日、秋田市の秋田キャッスルホテルで供給証明書授与式を行った。
10月から来年3月まで両支店に4㌧ずつ、JクレジットでオフセットしたLPガスを供給する。授与式では販売元のジャパンガスエナジーからタプロスへ、タプロスから北都銀行へ供給証明書が手渡された。
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近畿・四国=今治プロパン、CNLPガスを調達しグループ内で自家消費
CO2排出ゼロに
証明書を持つ村上明弘会長(中央左)と村上周子社長(同右)。左端はアストモスエネルギーの松園智郎執行役員、右端は松本健史四国支店長
今治プロパンガス(本社・今治市、村上周子社長)はアストモスエネルギー(同・東京、山中光社長)とカーボンニュートラル(CN)LPガスの売買に関する契約を締結し、受け入れと供給を開始した。今治プロパンの自家消費分と関係会社、四国溶材商事(同・今治市、村上周子社長)に供給する。両社の事務所と容器再検査場のGHPや給湯用途を中心に利用、施設のCO排出量を相殺し実質ゼロにする。今治プロパンはアストモスと災害に強いLPガスの普及促進に取り組んできたが、脱炭素社会への取り組みの一環でCNLPガスの供給に踏み切った。
中国=マルヰ会山陰地区会、災害救援隊が平田ターミナルで訓練
2024年度マルヰガス 災害救援隊全国一斉訓練
マルヰ会山陰地区会(細木晃会長)は10月22日、出雲市のホームエネルギー山陰平田LPGターミナルで「2024年度マルヰガス災害救援隊全国一斉訓練」を実施した。ウェブからも含めて36社74人が参加した。
ターミナルに増設した890㌧貯槽(左奥)。訓練終了後に見学会を行った
細木会長が「毎年のように全国各地で地震や豪雨災害が発生し、尊い命や財産が失われている。今年も新年早々、能登半島でM7・6の大地震が発生した。9月には豪雨災害があり、いまだに避難生活を余儀なくされている方々が大勢いる。訓練の最大の目的は災害救援隊の出動が必要になった時、迅速・安全に対応するための備え。常に準備を怠らないようにしよう」と呼びかけた。
- 九州=佐伯富士甚、大感謝祭に1033組来場 新築・リフォームに拍車
九州=福岡県協、燃転と機器販売促進
1月迄懸賞企画「超LP祭」展開
福岡県LPガス協会(手嶋健児会長)は来年1月までの4カ月間、今年度のガス機器拡販企画「超LP(Lucky Present)祭」を展開している。前回の反応を踏まえ賞品を金券に絞って幅広い世代の需要に応え、賞品単価を上げて参加率アップを図る。
始動した超LP祭。最大5万円分の金券が当たる
全コースとも対象商品1点購入につき1口とカウントし、何口でも応募できる。チラシの応募用紙かキャンペーン特設サイトで応募する。特設サイトからの応募に限り賞品をAmazonギフト券に選択を変えられる。
2月下旬に抽選会を開く。賞品は3月中に各地区協会事務局から会員販売店を経由して顧客に届ける。
住設・新技術
ミノス、創立30周年
顧客のために全力 必要とされる企業へ
三菱液化ガス、日本ソフアック、シナネンホールディングス傘下と変遷の中で挑戦してきた30年の節目を祝った
ミノス(本社・東京、藤野和男社長)は15日、東京・港区のホテルインターコンチネンタル東京ベイで創立30周年記念パーティーを開いた。社員と協賛先の福岡ソフトバンクホークス、横浜光ボクシングジムなどから約100人が出席した。藤野社長は30周年メッセージに「お客さまのために仕事をする。そして、再起動!」を掲げ、品質第一の下で課題に立ち向かい、顧客や世の中に必要とされる企業として邁進することを誓った。
藤野和男社長
藤野社長は開会あいさつで、経営を支えてくれた顧客や親会社をはじめ関係各所に感謝を述べ、「LPガス基幹業務システム『PowerNetG4』を中心に複数のサービスを展開し30年で10倍の事業に成長できた」と紹介。一方、2016年に発生した「ガステージ」の品質問題に言及し、「品質=使命」であると強調した。 今後の発展へ藤野社長は「LPガス業界に特化したクラウドソリューションだからこそ必要とされている。50周年に向け信頼を勝ち得るべく、お客さまのためを大前提に仕事に取り組んでいこう」と呼びかけた。
若菜恵史取締役
若菜恵史取締役は式典三菱液化ガス、日本ソフアック、シナネンホールディングス傘下と変遷の中で挑戦してきた30年の節目を祝った若菜恵史取締役藤野和男社長の副題「Next Challenge 未来へ挑戦!」に触れ「今日から挑戦が始まる。全社一丸となってチャレンジしていこう」と述べ乾杯を発声した。 未来への挑戦戦を鼓舞する企画として、役員と部長が日本一の事柄に挑んだ様子を映像で紹介した。
- NTTテレコン、TBPで配送業務変革 省力化・効率化を支援
ホクエイ、体育館空調向け好評
防球ガードと関連製品
さまざまな設置シーンに対応する(防球ガードと配管カバーの設置例)
ホクエイ(本社・札幌市、小笠原司社長)の体育館空調向けの製品が好評を博している。2種類の材質で取り揃える「防球ガード」と関連商品で室内機周りを保護し、室外機向けにかさ上げ架台の販売や施工も手掛ける。体育館空調の整備を屋内外でサポートする。
防球ガードは2018年から販売を始めた商品で、今期も関東圏を中心に複数の自治体で採用されている。体育館への空調整備が盛り上がりを見せ、2年ほど前から引き合いが急増している。
GHPとコ・ジェネ版
24年電力使用率、需給「厳しい」が急増
課題解決に小電力機器を
東京電力パワーグリッドが公表する今年の東京電力管内の電力使用率について調べたところ、需給ひっ迫を示す目安となる使用率92%以上を記録した日が急増していたことが分かった。1月から10月末までで73日に及び、過去5年間で突出した数字になっている。特に9月は使用率92%以上を記録した日が9日もあった。同月10~12日にかけては連続して98%を記録しており、11日と12日には中部電力から電力融通を受ける事態となっている。
使用率98%は、2022年3月22日に100%を記録して以来の高水準。当時は3月12日に発生した福島沖地震の影響で複数の火力発電所が緊急停止しており、強い寒波が入った22日に東京と東北エリアで初の需給ひっ迫警報が発令された。
電力使用率は92%未満で「安定的」とされ、92%以上97%未満を「厳しい」、97%以上を「極めて厳しい」と区分している。年毎に電力使用率が92%以上のピークを記録した日数を調べると、23年が23日、22年が27日、21年が56日、20年が14日、19年が21日だった。21年の数字が大きいが、この年は年初の寒波と火力発電の休廃止による供給力の落ち込みで電力不足が表面化している。
- 23年度補正と24年度予算のバルク補助審査終了 GHP導入は75事業に
- 東京ガス、GHP事業を分割し東京ガスエンジニアリングソリューションズに継承
ヒートポンプ技術は電化だけではない 定義にGHP追加を
電事連ペーパーに対する私的見解 GHPコンソーシアム 安孫子徹技術顧問
電気事業連合会は7月、需要サイドのカーボン・ニュートラル推進を目的とした「ヒートポンプ等普及拡大に向けた提言」を取りまとめた。ヒートポンプは自然界に存在する越エネルギーを汲み上げ、空調や給湯に利用する技術だ。省エネや省CO2に大きく貢献することから、普及拡大を図ることは国益につながる。ただ、電事連の提言では、ヒートポンプの普及拡大を「電化推進」にひもづけて論じている。ヒートポンプ技術はGHPにも活用されており、電化の専売特許ではない。提言に対する見解を、GHPコンソーシアムの安孫子徹技術顧問に聞いた。
◇ ◇
電事連ペーパーは電源の脱炭素化を前提に、ヒートポンプ等の普及拡大の提言をまとめたものである。脱炭素化の進捗度に沿ったGHPの対応とともに、提言に対する見解を述べたい。
<中部未来創造特集>
元日の能登半島地震では石川県を中心に大きな被害が生じた。8月には初めて南海トラフ地震情報(巨大地震注意)が発せられ、改めて地震災害との向き合い方を見つめ直す機会となった。また、4月にはLPガス法改正省令が公布され、7月に施行された。過大な営業行為の禁止を中心とした従来の商慣習にメスが入った。来年4月からは三部料金制の徹底が義務付けられ、販売事業者にはさらなる変化が求められる。2030年の低炭素、50年のカーボンニュートラルに向けても待ったなしでの対応が必要で、業界を取り巻く環境は激しく動いている。今年も残すところ1カ月あまり。過渡期と言えるこの時期に、未来に向けて創造を続ける中部地区の事業者の「今」を紹介する。
- マルエイ(岐阜市)=女性活躍の風土醸成 営業2年目宮原彩佳さん、経験と成果、自信に
- サカヰ産業(富山市)=生活事業部が急成長 リフォーム軸に体制拡充
- 三谷産業イー・シー(野々市市)=感謝祭で被災地支援 能登半島の美食を紹介
- 名古屋プロパン瓦斯(名古屋市)=質量販売をリード キャンプ用など需要開拓
- 大城エネルギー(能美市)=常設常用提案に拍車 環境貢献へCN玉投入
- 関西プロパン瓦斯(津市)=介護とリフォーム、成長着々 LPガスに次ぐ柱に
中部LPガス消費マップ