総合面
LPガス安全高度化計画、30年に向けスタート
産構審小委で事務局案承認 スマート保安推進へ
産業構造審議会LPガス小委員会(委員長=大谷英雄・横浜国立大学教授)は22日に第14回会合を開き、2030年を目標とする次期保安対策指針「LPガス安全高度化計画」の事務局案を審議した。今後10年間の社会情勢の変化を踏まえ、スマート保安に関する項目が大きく増補されたほか、委員から消費者側の自発的な取り組みを求める提案が出たが、おおむね了承された。若干の修正を加えたうえで4月から実施される。
同計画は、30年の死亡事故ゼロを目指し、国や都道府県、LPガス事業者、消費者など各主体の役割を明確化しながら、現在の事故の状況分析に基づく数値目標(安全高度化指標)の策定、目標達成のため課題ごとに具体的な対策項目を列記したアクションプラン(AP)が特徴。過疎化や高齢化、人手不足、外国人の増加、IoTなどデジタル技術の導入、自然災害の多発と激甚化、感染症対策などの社会環境変化を踏まえて対応し、各自が共同して安全・安心な社会を実現する。
- ガスの在り方研究会が脱炭素などで中間案 メタネーションの位置づけ向上が課題
石川県・能美市、総合体育館にLPガス仕様GHP
電源自立型20馬力13台 災害に強いLPガス仕様
物見山総合体育館
電源自立型GHPを13台設置
能美市(井出敏朗市長)は市内の物見山総合体育館の空調にLPガス仕様のGHPを採用した。すべてダイキン工業製で、電源自立型20馬力が13台(合計260馬力)。バルク(985㌔㌘)3基を設置し、LPガスは大城エネルギー(本社・能美市、西本和喜夫社長)が供給する。石川県でLPガス仕様GHPが体育館に導入されるのは今回が初の事例で、改修工事で休館していた同体育館の再開日4月1日から本稼働する。
室内機は40台。バレーボールやバスケットボールなどが行えるアリーナ(1470平方㍍)、柔道場(300平方㍍弱)、剣道場(600平方㍍)、エントランス、廊下などの冷暖房を行う。
石油化学新聞社、ウェブ情報発信強化
イベントサイト立ち上げ
オンラインイベントサイト sekiyukagaku.online
石油化学新聞社/プロパン・ブタンニュースは24日、LPガス利活用に関する情報発信機能の強化を目指し、オンラインイベントサイト(www.sekiyukagaku.online)=写真=を立ち上げました。従来の会場参加型セミナーを補完する情報収集の仕組みとして、幅広い層に利用していただきたいと考えています。 LPガス需要拡大の実践事例をはじめ、災害対策や環境負荷軽減など社会的課題の解決につながる知見をオンライン動画で提供します。また、石油化学工業関連の先端技術やグリーン技術に関連した情報の提供も検討しています。 配信方式は視聴する場所や時間を選べるオンデマンド形式。有料動画のほか無料動画も提供し、会員登録することで視聴できます。 GHPコンソーシアム(中村恒理事長)主催の「第26回GHP・マイクロコージェネ販売事例論文コンテスト発表動画」を公開中で、有料動画としてコンテストの優秀論文発表14本を配信。無料動画として同コンソーシアム技術顧問の安孫子徹氏による「GHPの進化と今後の展望・地球環境問題とGHP編/技術編・営業編」、東京ガス都市エネルギー事業部商品・サービス部の芦田貴志氏による「XAIRⅢの開発と特徴」の3本を配信しています。 現在公開中の有料動画の視聴料は5500円、GHPコンソーシアム会員は3300円。
<次代の信念>岩下商事(北杜市)・岩下博樹本部長
本業のプライド胸に 顧客と信頼関係構築
岩下商事(北杜市)岩下博樹本部長
本業のプライド胸に
顧客と信頼関係構築
岩下商事の岩下博樹本部長は、不透明な時代を突き進むカギは「LPガス事業者としてのプライドを持つこと」にあると語る。自身が常に心がけ、社員にも日ごろから伝えている言葉だ。同社は岩下本部長の父の邦博氏が社長を務め、配送や工事もマルチにこなすプロフェッショナル集団。保安業務も一部を除き自社で行い、時には時間外の対応に追われながらも地域に根ざした会社として信頼されている。岩下本部長は顧客との信頼関係を大事にしながら日夜LPガス事業に励み、次期後継者としてリーダーシップを発揮する。社員にはいつも「必要とされるエネルギーを供給する仕事。プライドを持って、お客さまにも堂々と接してほしい」と声をかける。
高齢化や働き手の不足に加え、エネルギー間競争の激化、コロナ禍やカーボンニュートラルなどLPガス事業を取り巻く環境は不透明さを増しています。本紙は「次代の信念」のタイトルで、不透明な時代にバトンを受け取る若手経営者に、その思いと次代に向けたLPガスの魅力や戦略を聞く連載企画(不定期)を始めます。ご期待ください。
首都圏版
- 須田商事、水害復旧からのコロナ禍対応 リフォームに軸足
- 鈴与商事、「RE100電気」供給開始 静岡市のCO2ゼロ支援で
TOKAI、コールセンター電話受付業務を自動化
AIソリューション導入
TOKAI(本社・静岡市、小栗勝男社長)は、LPガスのコールセンターに、伊藤忠テクノソリューションズ(本社・東京、柘植一郎社長)が提供する、AIを活用した自動音声対応ソリューション「CTC―AICON」を導入、電話受付業務の自動化を開始した。 対象は、ガス漏れなど7号保安業務に対応する専用番号以外で、対象に保安業務関連の問い合わせを受信した場合は、専用番号に誘導する。
地方版
- 北海道=北海道ガス石狩基地にカーボンニュートラルLNG初入港
- 東北=EGE北日本、自立型GHPで強靭化した新社屋で業務開始
- 東北=<新社長登場>常盤共同ガス・小野寺智勇氏、LPガスで顧客開拓
中部=石井燃商、業務合理化・顧客サービス向上
RPA・CRM導入
石井智光社長
パソコンの中でソフトウエア型ロボットが作業を代行・自動化するRPAには、NTTデータリングサービスの「ウインアクター」を採用した。ウィンドウズ上で操作可能なアプリケーションや個別システムを利用した業務をワークフローとして学習しパソコン業務を自動化する仕組みで、事務作業の軽減を目指す。これまで社員が手作業で行ってきた業務をRPAが代行するため、ほかに時間を割けることができ、生産性の向上や新たなことに取り組む余裕が生まれる。 CRMはセールスフォース・ドットコムのシステムを導入した。営業社員が帰社後に社内で行っていた日報や顧客データのパソコン入力作業、顧客先の機器設置や支払い状況などのカスタマー情報の閲覧を、外出先からスマートフォンでできるようになった。
- 近畿・四国=伊藤忠エネクスHL四国東四国支店、効率向上へ設備刷新
- 近畿・四国=<あきんどネット>共栄プロパンガス、給湯機販売年30台を継続
中国=荒木燃料、災対バルク・GHP・発電機設置
松江市のケアハウスに
「はなうみ苑」に設置した㊤ヤンマーエネルギーシステム製GHP室外機4台㊦ジェネリック製非常用発電機
荒木燃料(本社・松江市、石松俊之社長)は1月、松江市内のケアハウス「はなうみ苑」に災害対応バルク(カグラベーパーテック製たて型1㌧2基)とGHP(ヤンマーエネルギーシステム製20馬力3台、16馬力1台)、非常用発電機(ジェネリック製20㌔㍗1台)を設置した。
はなうみ苑は郊外の閑静な住宅地に立地。「すべての人が自然に笑顔になるための環境づくり」を基本理念とする松江市の社会福祉法人「みずうみ」(岩本雅之理事長)が、60歳以上の人が安心して健康的な生活を送ってもらうため1993年5月に開設した。
九州=脱炭素「あまりに唐突、壮大」
まずは低炭素実現を 環境相ヒアリングで
地域脱炭素ロードマップ策定ヒアリングで発言する栗林宏光氏(最下段)。最上段中央が小泉進次郎大臣
九州ガス(本社・諫早市)の栗林宏光社長は11日、ウェブ会議システムで開かれた小泉進次郎環境大臣による「国・地方脱炭素実現会議における地域脱炭素ロードマップ策定に係るヒアリング(第3回)」に出席し、国が目指す方向性に対し「あまりにも唐突で壮大。まずは低炭素社会の実現を」と持論を述べた。
国・地方脱炭素実現会議は、国と地方の協働・共創で2050年までに脱炭素社会を実現するための「地域脱炭素ロードマップ」を策定するのが目的。第3回ヒアリングには8人が出席した
住設・新技術
- パナソニック、マルチ通信サービス提供 業務効率化をサポート
- 愛知時計電機とクラブネッツ、「ガス業界のDX化について」オンラインセミナー
- ノーリツの新CM、給湯器の除菌機能を訴求
<特集記事>ガスの競争力を高めるDX 第39回 東計会
経営変革で余力活用を
計量の価値高め業界を支援
東洋計器(本社・松本市、土田泰秀社長)は11日、オンライン配信で「第39回東計会」を開いた。IoT・AI時代の到来、労働力の減少、働き方改革、パンデミックによる生活様式の変化に対応し、研究会では「DX by Meter & IoTーR」をテーマに報告。検針や代金回収の自動化、配送合理化などで生まれた社員余力をガス需要の開拓や機器販促に振り向けることがデジタルトランスフォーメーション(DX)の真髄になると強調し、ガス事業経営の変革を訴えた。最先端のエネルギー産業像を学ぶ機会となった。
<春季特集号>
震災・原発事故10年 東北復興へ全力
3月11日、東日本大震災の発生から10年を迎えた。地震・津波で1万5千人以上の命が奪われ、福島第一原発事故が発生するなど被災地に大きな傷跡を残した。現在も約4万1千人が避難生活を続けており復興は決して順調とは言えない。福島では立ち入り禁止区域が残り、2月28日に福島第一原発3号機の使用済み燃料プールにあった核燃料の取り出し作業は完了したものの、廃炉への道のりは非常に険しい。
LPガスは炊き出しや仮設住宅への供給などで災害・復興時の暮らしを支え、エネルギー基本計画でエネルギー供給の「最後の砦」の位置づけを得た。近年は自然災害が多発し防災・減災対策の重要性は一層増している。新型コロナウイルスが拡大し生活様式や常識まで大きく変化するなかでも、LPガス業界は持続可能なエネルギーの担い手として経済や社会生活を支えるため業務遂行の使命を果たしている。
一方、菅内閣が「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」を掲げ、脱炭素社会への流れが一気に加速した。業界もグリーンLPガス研究会を立ち上げ対応を始めたが、化石燃料に連なるLPガスが岐路に立たされているのは間違いない。国民生活とライフラインは表裏一体のものであり、「2011」で山積された課題を残して「2050」に向かうことはできない。脱炭素とエネルギーセキュリティーが矛盾するかたちではなく、両輪として進んでいかなければならない。
春季特集号は東日本大震災を風化させずライフライン事業の使命を再認識し、脱炭素社会の実現に向けたLPガス産業を模索する。
=主な紙面=
☆震災・原発事故から10年(9~11面)
☆脱炭素とエネルギーセキュリティー (13面)
☆流通再編=全国マップと統合・提携事例(14~15面)
☆環境変化対応/需要開拓ルポ(17~19面)
☆国際セミナー・アジアフォーラム(24~25面)
LPガス~東日本大震災後の10年と未来
脱炭素とエネルギーセキュリティー展望
流通再編=全国マップと統合・提携事例
最近の主な流通再編・統合などの動き
新増設や合従連衡 エネ新時代競争力磨く
環境変化対応/需要開拓ルポ
変化対応しニーズをキャッチ 全国事業者の需要開拓戦略
国際セミナー・アジアフォーラム
多様性とコロナに対応 持続可能なエネルギーに
LPガス業界ニュースワード2021