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プロパン・ブタンニュース 3495号
総合面
- 2050年の世界エネルギー需給、化石燃料の依存続く 電力需要も増加(エネ研見通し)
- 全L協、貸付配管の商慣習実態を調査へ 地方協会に要請
- 立憲民主・後藤祐一議員がLPガスの負担軽減策を追求 岸田首相は検討示唆
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後藤祐一議員
18日に開かれた衆議院予算委員会で、立憲民主党の後藤祐一議員が電気料金や都市ガス料金と同様に、LPガス料金の負担軽減策を総合経済対策に盛り込むよう追及する場面があった。岸田文雄首相は「物価高騰対策の中でエネルギーに対する支援は重要なポイント。優先順位をつけて対策を講じたい」と述べ、LPガス料金の対応策も別途検討する可能性に言及した。
西村康稔経済産業大臣はLPガス価格について「原料費が2割と低く、1年前からの値上げ幅も1割程度と相対的に低い」と説明。中小零細事業者が約6割を占める業界構造から「事務負担もかかってくる。輸入価格動向や事業実態などを勘案して、対応を検討する必要がある」と述べるにとどめた。
- ウィズガスCLUB、CN時代の住宅模索 生活変える契機に
- リンナイ、トヨタなど3社が水素料理を共同開発へ
- 越後プロパン・小出薫社長が物価高テーマに岸田首相と意見交換
首都圏版
- 平本商事(町田市)、創業65周年 地域サポートに拍車
- シライシ(川口市)、CNLPガスを調達 まずは56㌧自消で
- 橋本産業水戸営業所、地域密着で頼られる営業所に 5割増販目指す
地方版
- 東北=奥山商店(山形県山辺町)、自社高齢施設にGHP・発電機を設置 補助金を活用
- 中部=日本ガスコム、30周年をジャンプ台に5年後売上高200億円へ
- 近畿・四国=キョウプロ近江八幡支店・花田彩加氏、顧客の笑顔が源泉
- 中国=岡山県協の新CM「7レンジャー」が安心・安全供与
- 中国=つばめガス(岡山市)、交通安全優良事業所に 日頃の取り組みが評価される
住設・新技術
- ナック、水サーバーの主力製品をグリーン冷媒に転換
GHPとコ・ジェネ版
・GHPコンソーシアム技術顧問・安孫子徹氏、GHPは省エネとCN政策に貢献
・アイシン・髙橋寛玄氏=満足させる4つの特徴
・ダイキン工業・今井尚氏=ZEB提案をサポート
・パナソニック産機システムズ・中根こよみ氏=介護施設のBCP支援
・ヤンマーエネルギーシステム・山田麟太郎氏=総合的にエネ課題解決
<コミュニティーガス特集>
温暖化対応の点から再生可能エネルギーの太陽光発電と蓄電池を使う分散型システムが注目されている。だが自然災害が相次ぐわが国では地震や風水害への強さ、供給源となるLPガスの復旧の早さなどを強みとするコミュニティーガスを基盤としたシステムに優位性がある。人口減や消費原単位の減少などの構造的な課題があるなか、どう未来を切り開くのか。協会本部に方向性を聞き、関係各社の施策や営業現場を取材した。
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日本コミュニティーガス協会古野晃会長
日本コミュニティーガス協会・古野晃会長=安全・強靭化・CNに積極対応
9月29日に開催した第375回理事会で7代会長に選任された。微力ながら誠心誠意努力していきたい。 コミュニティーガス事業を取り巻く環境は少子高齢化と人口減少の進展、消費原単位の減少など厳しい状況が続いている。加えてロシアのウクライナ侵攻により原油、天然ガスなどのエネルギー価格が高止まりし、世界経済に大きな影響を及ぼしている。為替相場も1㌦145円まで値下がりし、円安が急速に進んでいる。これらの影響を受け仕入れ価格が高騰するなど大変厳しい環境下で事業を行っている。
私たちコミュニティーガス事業を営む者の約80%が中小企業者だ。経営基盤も盤石とは言えず、現在の状況が長期間続いた場合、危機的な状況が想定される。
コミュニティーガスは地域に密着してお客さまのニーズを聞き取り、これらを反映させたサービスを強みとしてきた。今後はさらに深化させ、お客さま目線に立つだけでなく、ニーズプラス付加価値サービスを真剣に検討していくことが重要だと考える。事業者単独では限界もあると思う。会員事業者との情報共有など協会一丸で支援していく。
- 分散特性を発揮 地域社会下支え
・エネサンス北海道(札幌市)=発電機を整備 有事即応へ余念なく 訓練で技術磨く
・イシジマ(栃木市)=エネミックス 顧客目線で最適提案 - コミュニティーガス団地最前線/ルポ 安全・快適に付加価値
・名張近鉄ガス=お得感満載の新サービス 生活関連を定額低廉に
・三榛ホームガス=保安徹底 安心に加え安らぎも
・エコア=環状導管で安定供給 毎年点検で顧客接点を深耕 - SDGs率先垂範/有力事業者わが社の施策
・荘内エネルギー=現場巡回 他工事事故起こさず
・松江ガス供給=保安固めスキル向上 社員の資格取得を後押し
・ニチガス=電力併せ総合エネ化 スマートシティー実現へ
・甲賀協同ガス=レジリエンスで地域貢献 災害対応力をアピール
・関彰商事=バックアップ万全に 有事即応へBCP見直し - 薮内雅幸専務理事=災害に強い社会システム構築へ 持てる力最大限にコミュニティーガスは耐震性、埋設導管による風・水・雪害への強さ、復旧の早さ、専任制度(ガス主任技術者)による安心の提供が、導管網で結ぶ地域のライフラインを自然災害から守っている。この基盤こそが災害大国日本でのインフラ環境対応に有効だ。コミュニティーガス事業の足元の課題をどう解決し新時代の方向性に道筋をつけるのか、現況を聞いた。
藪内雅幸専務理事
―コミュニティーガス事業を取り巻く環境をどう見ていますか。
2021年の生産動態統計調査によると、合計販売量は前年比98・7%と低調だった。内訳は家庭用が同98・6%、商業用ほかは前々年比86・4%と大幅に減少し前年からは横ばいだ。
気温がほぼ前年並みであることを考慮すると、少子高齢化、世帯人数の減少、都市部への人口集中など社会的な構造変化の影響を依然として受けていると判断している。
―ガス事故の状況と保安高度化、併せて防災対策について。
コミュニティーガス事業の2022年上期(1~6月)のガス事故発生総件数は9件、前年同期(8件)から1件の増加だった。段階別の事故状況は製造段階が1件、供給段階が4件、消費段階が4件で人的被害はゼロだった。ガス事故に関しては、今年6月に「コミュニティーガス事業の事故事例集」を発行した。これは10~19年の10年間にわたるコミュニティーガス事業でのガス事故の発生状況、傾向、再発防止策などをまとめたものだ。
- 全国コミュニティーガス事業マップ/都道府県別現勢