(2002/03/11 プロパン・ブタンニュース)
全国LPガススタンド協会常任理事(ヤナギ社長)柳 也主男氏
「遅れてきた4番バッター」

クリーンエネと石油代替エネは同義語ではない
 株式会社ヤナギの社長・柳也主男さんは、全国LPガススタンド協会の常任理事で、低公害車安全普及委員会の委員長である。
 この2月、LPG車がグリーン購入法の低公害車として特定品目に指定された。
 LPG車こそ代表的低公害車であるとしてその普及に尽くしてきた柳さんは、今回のグリーン購入法の特定品目に指定されたことを評して「おくれて来た四番バッター」と言う。LPG車は打力だけではなく守ってよし、走ってよしの三拍子そろった「スグレモノ」だ。
 LPG車の燃料が石油製品だというだけの理由で石油代替エネルギー車のCNG車、ハイブリッドカー、メタノール車、電気自動車等に比して低公害性で差別されるのはおかしい。石油代替エネルギーとクリーンエネルギーは同義語ではない。今、わが国が必要としているクリーンエネルギーと石油代替エネルギーとは峻別されるべきだと言う。
 これについては、平成5年3月に全国LPガススタンド協会の需要開拓委員会が刊行した「低公害車の現状とLPG車普及拡大に向けて」(いわゆるブルーノート)に詳しい。ブルーノートを作った需要開拓委員会の委員長は(株)オカショウ社長だった今は亡き岡田勝男氏で、副委員長が柳也主男さんだった。
 柳さんはそのあとがきに、熱っぽくそこのところを説いている。
 遅ればせながらLPG車が官公庁で購入する指定品目に入った。中央官庁よりも地方自治体の方が早く反応しているようだ。都を初め関東の7都県市では今年度のディーゼル車から低公害車に転換購入予定は、LPG車69台、CNG車104台、ガソリン車144台、電気自動車12台、軽油129台、ハイブリッドカー3台の計461台である。
 LPG車、タクシー以外に浸透
 ちなみに大阪府を含む関西の6府県市で、LPG車69台、ガソリン車344台、軽油267台の低公害車に代わる。札幌市はLPG車10台、ガソリン車336の低公害車への転換購入を決めた。名古屋市でも市バスやごみ収集車、貨物車等70台ほどをCNG車等の低公害車の導入を予定しているが、LPG車を何台とは特定していない。名古屋市ではディーゼル車を「自動車NOx―PM法」が定める使用期限の2年以上前または3年以上前に新規制適合車に買い替えた場合、2年以上前倒しには購入車両価額の7.5%を、3年以上前倒しには10%を補助するとしている。
 また、清掃車は全国で3535台のLPG車が稼働している。これら自治体にLPG車が入るにはLPG車は排気ガス基準や燃費基準をあらためて提出するなどの関門がある、CNG車等の石油代替エネルギー車はフリーパスである。
 民間ではどうか。ヤマト運輸が今年1月末でLPG車(2トン車)1816台を導入した。同社はLPG車を低公害車のエースとして導入に拍車をかけている。「コープかながわ」もLPG車を評価している企業で、1.5トン配送車を中心に1日平均50キロ程度走行しているが、1月末でLPG車は115台、逐次LPG車に切り替えていくとしている。
 LPG車が五分で戦うステータスを      
 柳さんは、LPG車はいいことずくめなんだが、さらなる普及のためには何かと問えば、お客さんはスタンドの数だと言下に言う。
 ここでも恨み辛みになるが、ディーゼル代替のLNGスタンドの新設には国の補助金9千万円の手厚い補助に対してLPGスタンドには3千万円の補助金である。LPGスタンドの経営は苦しい。貯槽の入れ替えともなれば1基で1億5千万円以上を要する。お客さんのスタンド網の充実はよく分かるが、新設はなかなか困難だ。
 LPG車は平成2年に都内で5万7千台が登録された。この年をピークに昨13年には登録台数4万9千台に減少、昭和50年に都内に115あったLPガススタンドは現在100に減っている。この間に個人タクシー等約7千台がLPGから他に転換、代わりにLPGの貨物車が1000台ほど増えた。
 阪神・淡路大震災で立証されたようにLPGスタンドは一つも災害を出さず、LPGの分散型エネルギーの素晴らしさを明らかにしたのだからCNGスタンドとLPGスタンドが二重投資にならないように、大型車両が得意なCNGスタンドとLPGスタンドは住み分けを考えるべきだろうと言う。
 昭和38年に柳社長のお父さんが現在の本社ビルのある所に10トンタンク一基とディスペンサー2基で始めたオートガススタンドだったが、今は本社敷地構内に併設されたスタンドには日本交通のタクシーをはじめ日に1000台を下らぬ車が引きも切らさずLPガスの充填にやって来る。
 その様を見やりながら二代目社長は、日本においてはLPG車こそが最適のクリーン車、CNG車などの石油代替エネルギー車と五分の条件で相撲をとりたいと語った。

プロパン・ブタンニュース2002/3/11 ナリケンがゆく ウェーブ・風  話題と肖像画


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