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(2002/09/02 プロパン・ブタンニュース)


全国LPガス卸売協会 専務理事
石川晴善氏
オール電化住宅はほめごろし

 全国LPガス卸売協会専務理事の石川晴善さんに登場願った。石川さんはこの連載企画の36人目である。先ごろ行った日連の後藤純夫専務理事のインタビューが28人目だった。このあと余り時間をおかずに日本LPガス協会の葉梨益弘専務理事と全国LPガススタンド協会の内田賢専務理事のインタビューをしたい。LPG流通中央四団体の専務理事の「そろいぶみ」が実現するからである。日連の後藤専務とLPガス協会の葉梨専務は経済産業省の出身、そして卸協の石川専務とスタンド協会の内田専務が業界出身である。そんなことを考えながら石川専務に電力各社のオール電化住宅の攻勢に対するLPGの対応を質問した。
 石川さんは、卸協には需要開発委員会(荒木穰委員長)があって、昨年の暮れに「オール電化対策について」という冊子を刊行した。全国各地でこの本をテキストに講習会を行った。卸協の小林眞一郎需要開発部長は講師として各地にでかけた。お陰でこの冊子は8000冊も普及した。テキストはオール電化住宅の電気料金をLPガス販売店の料金表と対比ができるように計算式を示した。講習会でも当該地区の電力会社が発表している料金メニューとLPG販売店の料金表との対比をした。
 石川さんはこのような説明に続けて面白いことを言った。電気には電気でなければできないよい面があり、ガスはガスでよいものがある。だが、20万円のIH調理器に対して1万円のガスこんろの世界だからオール電化住宅を恐れるに当たらない。「ほめごろし」にしたらよいと言う。この「ほめごろし」論などは業界出身の専務ならではの発言と言える。
 卸協は平成10年と13年に共同充填と共同配送について調査をした。10年では地域の300軒くらいの需要家をもつ販売店同士の共同充填が主で、共同配送は無かった。
 系列を超えての共同充填、共同配送
 それが3年経った13年度の調査では広域販売会社同士の共同充填、広域販売会社と地元業者との共同充填、共同充填だけではなく共同配送への志向が増した。これは電力各社の深夜電力利用などによる電気料金の値下げ圧力が当然ガス料金の値下げを引き起こす。これはLPガス業界にも波及する。電力会社や都市ガス会社のコスト削減は総括原価主義で、熊手で掃き集めるがごとくに行う。これに対してLPガス業界が個々にそれをなすときは彼らの熊手に対してこちらは耳かきで集めるに等しい。そこで系列を超えて一緒になって無駄を省くことを志向し始めたのである。3、4年前には消費者300軒の業者同士の小規模の共同物流でのスタートだったが、最近では一定地域に5カ所あった充填所を廃止して一カ所に集約すること等が現実に行われて、広域販売業者が系列を超えて配送までを共同化しようとしている。
 情報管理システムを共通化
 物流コストの削減を図るのに共同充填や共同配送を、系列を超えて業務提携するためには情報管理システムを共通化せねばならない。しかし、各社独自のコンピューターシステムでその共通化は容易なことではなかった。
 そこで経済産業省は平成10年度から13年度の4年間にLPガス振興センターを中心に卸協のメンバー会社が参画して自社のシステムを維持したまま互換性をもつ情報管理システムの研究、構築を始めた。それは「チェーンストア協会のJCA仕様」や「金融機関の全銀仕様」と同様のLPガス業界特別版仕様である。それを完成したのである。
 今後このシステムを導入するもののメリットは開発費の90%を振興センターがNECに支払い済みなので、無償で提供を受けられる有利性がある。この情報管理システムの概要は本紙8月19日号1面の記事に詳しい。
 武蔵エナジックスの快挙
 この情報管理システムの第一号事業化が「武蔵エナジックス」で、今年4月にスタートした。これは埼玉県西部の狭山市、所沢市、東京都西部福生の伊藤忠エネクス、シナネン、ミツウロコ等3社の7万軒の消費者に共同充填、共同配送の開始である。このシステムの実証テストには上記3社以外にも岩谷産業、昭石ガスも加わった。石川さんはこの情報管理システムの普及に卸協は全力投球をしたいと強調した。

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