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(2003/10/20プロパン・ブタンニュース)

リンナイ社長
山崎善郎氏
“ガスばか人生”山崎善郎社長

 リンナイの山崎善郎社長は、ガス業界の実状に即して行動し、施策を講じ、そして着実に業績をあげている。平成十五年三月期の売上高千八百九十六億八千五百万円、営業利益百三十一億七千三百万円である。連結子会社は国内外に三十一社、みな着実に業績を上げている。
 上海林内はこのほど十周年を迎えた。そして来年三月には南翔に厨房器の工場が完成する。上海万博やオリンピックに向けて発展し続ける中国市場に見事にマッチしている。また、最近ベトナムに行ったが、ホーチミン市の街角ごとにリンナイのガス器具を陳列した店が並んで大変な人気だった。このように海外での活動も盛んだと言えば、山崎社長は五十年前に日本で経験した厨房器具の普及と同じだ。あの時は二口のテーブルこんろを五百八十万台販売したと振り返った。
 厨房器具や給湯・風呂などのガス器具は、食文化や住宅文化と深くかかわっていて、国々で異なる。国内でも地方によって特色が色濃く反映している。沖縄の料理は炒めものが多く、鍋も中国式に底が丸い。だから二口こんろの大きいバーナーが喜ばれる。給湯器も関東の風呂は内釜で追いだき、関西は落とし込みである。これを理解して商品開発のポリシーとしたと言う。
 そして何よりも強調したいことはガス器具の据え付け工事、メンテナンス能力の蓄積と組織化だと言う。「実事求是」というか、わが国では給湯暖房機だが、寒くてオンドル文化のリンナイコリアでは暖房給湯機である。このように実際からいささかも遊離しない。
ガス器具の三つの発展段階
 グリル付き二口のテーブルこんろを昭和三十〜四十年代に販売した。テーブルこんろのヒット商品「R|2Gシリーズ」は四十八年の第一次オイルショックまでに五百八十万台販売した。これが第一段階である。これを売ってLPGの単位消費量を年間二百`にしようとアピールした。テーブルこんろで百二十`、炊飯器で二十六`、湯沸器で六十八`と説明した。当時は外食より家庭での調理が重視された。そこで炊飯器と魚を焼くグリルを付け、二口の一つは高カロリーバーナーにしたのが当たった。
 第二段階は平成元年ころからである。この年の正月、新春リンナイ会でLPG単位消費量年間五百`時代の到来を告げた。翌平成二年の新春の会で給湯器の普及率を十年で八〇%にしようと呼びかけた。昭和四十九年ころ、大相撲の増位山が唄った「そんな夕子に惚れました」がヒットした。リンナイの給湯器シリーズ「ユッコ」のネーミングはここから来た。平成七年(九五年)ころ、シャワーで朝シャンの女学生を狙えと朝シャンキャンペーンをやった。普及率は三〇%を超えると加速して急上昇する。かくて平成十二年(二〇〇〇年)には普及率七四%になった。
 平成十三年(二〇〇一年)に年間LPG一dを使用する第三段階に入ったと呼びかけた。テーブルこんろは「二十一世紀型ガスビルトインこんろ」に進化し、給湯も一つの熱源器から給湯、暖房、床暖等ができるシステムとなったのである。
お客様センターとためしてガス展
 お客様センターの全国展開を平成十三年から始め北海道から九州までサービスショップ二百二十八カ所を配置、それに従事する社員数七百十三人、さらに施行会社登録店が二百三十九店である。コールセンターのフリーダイヤルは、〇五四三二一である。リンナイの器具にはこの電話番号を貼りつけた。お客様は故障時に迷うことなくコールセンターにアクセスすればよい。これによってお客との距離を間違いなく縮めることができた。
 それから昨年八月からLPGの販売店とユーザーとの距離を縮めるために「ためしてガス展」を始めている。今年中に全国四百六十カ所で行う計画であるが、これまでに約四百カ所で実施した。あと六十カ所だ。だが、上には上がいる。伊丹産業さんは近畿エリアだけでも二百カ所もやっている。西日本や北海道で電化攻勢が激しいが、やることをやってさえいれば、お客はガスに来る。LPGの販売業者と共同して二〇〇五年まで「ためしてガス展」を続ける。
 このガス展に参加条件がある。風呂、暖房、床暖など用途別ガス料金、二十立方b以上使用の料金の明示などである。ガスが二百五十`でるから器具を無償で貸与するといった悪弊が生じてガス販売業者の体質を弱めた。これを戒める配慮だと思う。
ガス屋が好き
 山崎社長はガスに惚れ、ガス屋が好きでたまらぬと言う。そしてガスを使っているお客さんを大切にするのはわが社の企業業文化である。器具を設計する人、造る人、コールセンターの一人ひとりにこの精神は行きわたっている。そして内藤明人会長が心血を注いだガス器具製造工場は世界に誇れるものである。ローマは一日にしてならず、この伝統を守りたいと語った。

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