(2003/12/1プロパン・ブタンニュース)

中山佳子
(なかやま・よしこ=新日本石油ガス販売部需要促進グループ)
 人気者は世界共通

 先日、旅行中に面白い体験をした。マドリッドのホテルでのこと、夜遅くに到着し、シャワーを浴びた後何気なくテレビをつけていた。さすがにサッカーの国だけあって、多くのチャンネルがその日にあった試合の結果や、試合そのものを再放送していた。
 「サッカー好きにはたまらないだろうな」と画面に映るスーパースター達を眺めながら眠りについた。
 翌朝早めの朝食をとった後、ホテルを出るまでの間再びテレビのスイッチを入れた。すると今度はその画面には驚くべきものが映っていた。
 なんとスペイン語を話す「ドラえもん」だったのだ。ドラえもんとのび太がスペイン語で会話をしている。そのうちジャイアンやスネ夫も登場し、のび太を追い掛け回すいつもの場面。なんとも不思議な光景だった。
 子供の頃によく見ていたアニメが外国でも放送されている…。思わず見入ってしまった。言葉が分からなくても、吹き替えの声が慣れ親しんだ声とかけ離れていても、とてもうれしくなった。
 帰国後分かったのは、スペインに限らずヨーロッパで日本のアニメが放送されることは今では別に珍しいことではないということだ。イタリア語を話す「クレヨンしんちゃん」や、フランス語の「ドラゴンボール」、スペイン語の「ポケモン」や「忍者ハットリ君」等、子供が好きなものは世界共通なのだ。現に、自国とは異なる日本独特の住宅環境や、電信柱の立ち並ぶ道路、そして宿題だらけの学校生活…そんな舞台設定の中で展開していくストーリーであっても、現地の子供たちが違和感なく見ていて楽しんでいるのだから。なんともミスマッチに思えて仕方がないのだが…。
 それにしても、多くのアニメを輸出している日本のアニメ産業の力はすごい。そういえば昨年、宮崎駿の『千と千尋の神隠し』がベルリン映画祭で金熊賞を受賞した。三大映画祭でアニメ作品がグランプリに輝いたのは史上初とのことだった。
 世界中で愛される主人公達−−。日本のアニメの底力を見た気がした。