(2004/2/2プロパン・ブタンニュース)

SATOKO
(ピアニスト・本名=岡山聡子)
 アピールする髪型

 先日、滞在先の中国で髪を切った。中国女性のすらりと伸びた手足に艶やかで豊かな黒髪、そして意思の強さを秘めたまなざしをまのあたりにしたら、急に自分の茶色い髪の曖昧さが中途半端に思えたのだ。
 以前から外国で髪を切るのが好きで、言葉が通じない分お互い真剣になるから日本で切るよりワクワクする。そういえば映画「ローマの休日」でも、オードリー・ヘプバーンがローマで何気なく美容室に入り、長かった髪をキュートなショートヘアにしていたっけ。イメージ的に少し美しすぎるが、あの感覚だ。
 髪型にはその国の美意識がはっきりと表れるから面白い。例えば、パリジャンだと、クシャっと少し長めに伸ばしていてアンニュイな雰囲気だが、イタリアの伊達男は、モダンな服にビシッと撫で付けた髪がトレードマークだ。これが嫌味な程決まっている。女性は前髪がポイントだ。日本で切ると、私の場合は面長な顔を目立たせないように、眉の下ぐらいまで長めに切る。まるで髪で顔を隠すかのようだ。それが今回は、面長だという理由で逆に生え際から二a位の所ですっぱりと切られた。あっ!と驚いて声を上げたが相手は全く動じず、テキパキと仕上げられていき、でき上がりはヴィダルサスーンの広告のようなアジアンスタイルだ。以前パリで切った時は、ここまで短くなかったが額の真ん中の長さで切られたことがあり、大人の女性に女らしさと同時にコケティッシュな一面を求めるフランスのスタイルを感じた。この高度な課題はまだまだこなせていないが、皆、私の特徴や個性を見つけ、思い切り出そうとしてくる。ドキドキしながらもその気合に刺激を受ける。
 日本ではカットや色にしても微妙なニュアンスを大事にする。そしてとても丁寧だ。シャンプーやマッサージをこんなに安心して受けられる国はないに違いない。繊細で優しい日本人に一番似合うスタイルとは何だろう。素敵な女性になる為に時間をかけて探していきたい。