(2004/5/24 プロパン・ブタンニュース)
 業界を勇気づけるが…

 LPガスを石油から独立させて一次エネルギーに位置付けるエネ庁案は、不況とエネルギー間競争に長年もがき苦しむLPガス業界を勇気づけるニュースである。これが需給部会で正式に了承されれば、昨年十月のエネルギー基本計画に続いて業界50年史に燦然と輝く出来事になるだろう。これも国内において半世紀にわたる市場開拓を積み重ね、国民生活と産業活動に貢献したことの証に他ならない。LPガス業界は期待に応えるべく、特に長期エネルギー需給見通しの前提で試算されたコージェネ・燃料電池の普及体制を確立するため、知力を結集する時である。
 2030年の長期需給見通しの策定作業は米国、EUに続くもので、わが国も「エネルギーと環境」の先進国入りを果たそうとする意欲の現れである。LPガスが一次エネルギーの正員となるのは世界中でわが国特有のものだが、原発の新設計画や石油の投入量の変動によってはシェアの低下が有り得るところに危うさもある。それだけに机上の計算を鵜呑みにせず、現場に根ざした真の需要開拓がなされなければ、エネ庁案は絵に描いたモチになる。ただ、エネ庁がこれほどLPガスに期待するのは家庭業務用約2,800万世帯、LPG車約29万台、産業用シェア約10%の実績に加え、潜熱回収型給湯器やマイクロコージェネ、市販が待たれる燃料電池の燃料源として、その適格性を評価したものであろうし、政府が目指す「世界に冠たる省エネルギー国家」という目標と省エネ策に適う現実的なエネルギーと判断しているからに違いない。
 エネ庁が試算した2030年度のLPGコージェネ・燃料電池の導入量は1`h機換算で最大440万台分という意欲的数字である。しかし、業界はそれをそう簡単に達成させてくれるほど、現実が甘くないことも肝に銘じておかなければならない。