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(2004/5/24プロパン・ブタンニュース)

日商岩井石油ガス社長
大江 勝氏
夢の実現はお客様との対話から

 今年は「エコウィル販売元年」であると、日商岩井石油ガスの大江勝社長は言う。同社傘下のグループ会社で今年はエコウィル三百五十台を販売すると、はっきりと目標を示した。
 大江社長は、大阪ガスの取締役営業企画部長から日商岩井石油ガスの社長に就任して丸二年が経過した。この間、大阪ガスのガス普及とガス利用機器販売のノウハウを生かして日商岩井石油ガスグループ会社に実践的教育訓練を重ねて社員の目の色を変え、客との対話を活発化させ、機器販売・リフォーム需要の掘り起こし、そして需要家一軒当たりのLPG消費量の増大に見るべき変化を生じさせている。
 営業力があり、よいサービスがあってもよい商品が無ければ致し方がない。幸いファンヒーター、床暖房、浴室乾燥機、給湯熱源機、GHP、エコウィル(1キロワットマイクロコージェネ)と優れた商品にこと欠かない。これらの商品の技術力に販売力が伴って初めて総合力が発揮できるのである。機器販売でも利益を確保してLPガス料金は下げねばならないと言う。
 関西では大阪ガスと関西電力が熾烈な戦争をしているとマスコミは興味本位に書きたてるが、戦争とは違う。利便性でも料金でもお客に気に入ってもらえるか、マーケットインの考え方である。規制緩和が進み、銀行が倒産する事態を誰が想像し得ただろう。LPガス事業とて同じである。そうならないためにはLPガスは電力や都市ガスに対抗できるよいサービス、よい料金、そして優れた提案力で客にリターンせねばならない。そのような実際活動をエンドユーザーに直売をしているグループ会社の日商岩井ガスの業務に照らして説明してくれた。(日商岩井ガスは、東京都東村山市に本社を置き、藤沢市、横浜市、東村山市、柏市に東京の外郭をぐるりとネットし、販売拠点五カ所、リテーラー百五十社を擁するグループ会社である)。
機器販売、年間一人3千万円
 日商岩井ガスは昨年下期に実質三カ月間、社員の直売業務教育がてら二千軒のエンドユーザーに訪問販売をさせた。点検、診断だけではなくリフォーム、機器の提案販売を行った。これによって一軒当たり二・五万円、二千軒で五千万円の売り上げを得た。当初四人でやらしたが、現在は十四人が当たっている。また、昨年下期にミニ・ガス展を十五回行った。イベント来場者は一組当たり五万円の購買で千三百組だったので半年間で六千五百万円の売り上げだった。一回の展示会に五十組ないし百組の来場で一組当たり五万円の実績で今年は四十回を計画している。
 この会社の新家谷(しんきや)隆夫社長も大阪ガス出身で日商岩井ガスに来るまで大阪ガスで兵庫県全体の百五十万軒のお客さんに機器販売をした経験者である。その経験からLPガス事業者のエンドユーザーへの機器販売は一人一年平均五百万円、よくやる店で千万円、もっとやる所では二千万円、利益率は三〇%、都市ガスの場合は三五%、教育費や諸々の経費をみると、そのくらい無ければ収支が合わないと言う。況や機器を投資してガス代で回収しようなどは間違いである。無償配管などはその最たる誤りである。そんなことではガラストップのような高価な機器が売れるわけはない。新家谷社長のところでは一人年間三千万円を目標にしている。
「日商研修会」
 オール電化攻勢もいよいよ強まった情勢下に「LPガス販売店が今後いかにして勝ち抜くか」のノウハウを自社直売部門のメンバーが実践し試行して、そのあり方を模索した結果「エネルギー競争下でお客さまに選ばれ、かつ機器販売利益が上がる有効な手法」を習熟した。これを公開しようというのが「日商研修会」である。この講習会は系列を越えて、どこの卸屋さんでも都市ガスにも門戸開放である。講習会は正午から半日ずつ月に三回で終了する実践教育である。座学と実際にお客を訪問してのセールストークまで行う。会場は日商岩井ガスの東村山本社に併設されたエコ・プラザ二階にある研修センターである。参加費は弁当付き三千円。この研修会にせよ、ミニ・ガス展にせよ、金銭感覚を無視しては長続きしないと言う。
 筆者は、大江社長からお話を伺った翌日に東村山のエコ・プラザの研修センターに行って、ちょうど実施されていた研修会で十人ほどの参加者と講師の日商岩井ガスの武藤章さん(企画部長・開発事業部長)の熱心なやり取りを見学して、これはLPガス業界に新しい風が吹いてきたの感を深くした。日商岩井ガスの今年のスローガンは「夢の実現は、お客さまとの対話から」である。


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