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(2004/8/30プロパン・ブタンニュース)

日本簡易ガス協会専務理事
坂本昭二郎氏
熱っぽく地点群コージェネを説く

   日本簡易ガス協会の専務理事・坂本昭二郎さんは、昨年6月中部経済産業局電力・ガス事業北陸支局長を退官して簡易ガス協会の常務理事に、そしてこの6月に同専務理事に就任したばかりである。坂本さんは、現職に就任したばかりで簡易ガス事業の勉強途上にあって業界をコメントするほど正確に把握できていない。それをするには暫くの時間が必要だとして、今日のところは一般市民の目で見た簡ガス事業観だと言って次のように語った。
 オール電化住宅の攻勢などエネルギー間の競争が激しく新規地点群の伸び悩みも見られ、簡易ガス事業は厳しい流れの中にいる。理想的にはこの状況を逆にビジネス・チャンスとして捉えたい。協会のあり方としてはこのビジネス・チャンスをどのように実現するかである。協会は会員の皆さんが会費を払って客の共通のニーズに対して共通の課題を解決して行く組織である。そのような協会活動をするのに共通の課題をどのようにして見付けるかが問題である。
 魅力ある簡易ガス事業にすることだ。それがためには客の顔が見える営業が決め手である。マーケットインの考え方である。そんなことはお前に言われなくとも分かっていると言われるかも知れないが、原点はここだ。客が手を出してくれるような商品を、客が選択するようなメニューを提供することである。このベクトルを重視したい。
簡ガス団地住民の均一性
 簡易ガス事業は長大な導管を敷設する一般ガス事業とは違い、限られた区域への導管によるガス供給形態である。簡易ガス団地は都市周辺部に開発された住宅群で、そこに居住する人々の家族構成、客のレベル、生活水準、世代交代をしながらも年齢層も均質である。したがってそのニーズも似ている。それは東京の麻布や田園調布の住民と比較すればよく分かる。このように似たような人々が住む簡ガス団地はデマンド・サイドのニーズも似て手ごろなフィールドと言える。
地点群コージェネレーション
 新築マンションを中心に地点群単位のコージェネ(ガスエンジン、燃料電池等)の普及は、新規需要開拓に資するだけではなく、簡ガス事業を魅力ある事業にする。それは簡ガス事業者が電気もガスも熱も売りますというエネルギー供給事業者になることである。簡ガス団地でコージェネレーションを採用することは、電気、ガス、熱の「ミスマッチ」を最適に行うことである。似たような人が200世帯いる簡ガス団地で1世帯1`hのコージェネを各戸に200台設置するよりもまとめて最適な運転をする方が効果的である。これを地点群コージエネと呼ぶ。1供給事業者が複数のエネルギーを売ることは電気事業法、ガス事業法、LPガス法、熱供給事業法等の規制の壁があってこれまでは実現が困難だった。だが、業界はこれをクリアしなければならない。それは協会としても大きな課題である。行政もその環境を整備していただきたい。
燃料電池のLPGは付臭剤なしで
 燃料電池の原理は早くから知られ多大な研究投資がなされているが、日暮れて道遠しの感を免れない。その一つの理由に水素のリフォームにサルファーが災いしていると聞いている。そうであるならば燃料電池の原料のLPGには付臭剤を施さないようにしては如何か。輸入LPGはかなり純度が高い。燃料用LPGは危険防止のためにメルカプタンなどの付臭剤を用いているが、燃料電池用LPGには付臭剤を施さない措置を提案したい、とエネルギーの新技術にまで踏み込んだ意見を述べた。
坂本さんの人となり
 坂本さんは鳥取県日野郡日南町で生まれ、米子市の高校を卒業している。米子は大山(だいせん)の麓にある。大山は秋の紅葉もいいが、新緑のブナ林が美しい。西の方では随一のスキー場である。
 自分は好奇心が旺盛で何にでも興味を持ち挑戦するが、ほどほどのところでやめている。何事も自然体でありたい。奇を衒(てら)うことを好まない。休日には家にいないで自然に触れるように心がけている。奥さんと趣味が一致して自動車は年間1万5,000`bを走破すると言う。余ほど眠くならない限り奥さんは運転を代わろうとしないと笑う。
 坂本さんは経済産業省に入省して調査統計部で石油化学製品の指定統計の仕事に携わり、レオンチェフの産業関連表作り、中小企業共済事業団、海外石油資源開発、ガス事業課、熱供給産業室、電気料金改定認可の仕事を経て電力・ガス事業北陸支局長が経済産業省での仕事歴である。
 これらの仕事は背中に日の丸を背負っての仕事だった。これからは違う。厳しい環境にある簡ガス事業をビジネス・チャンスに代える仕事だと、その決意をにじませた。

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